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日本/国内災害
(公開日:2023.04.13)

【活動報告】放課後児童クラブの防災について考えるワークショップを実施

 
放課後児童クラブ(学童保育)は、放課後や土曜・長期休み期間などの子どもの居場所として、防災や災害時の対応においても重要な役割を果たす施設です。
しかし、学校などと比べると、防災活動や災害への備えは、公的な支援も含めて必ずしも十分ではありません。

2022年からセーブ・ザ・チルドレンは、毎年のように大雨の被害が出ている佐賀県のNPO法人佐賀県放課後児童クラブ連絡会と連携し、武雄市と太良町、大町町の学童保育を中心に、災害対応能力を向上するための支援活動を行ってきました。

2022年6月に、学童保育支援員を対象とした「子どものための心理的応急処置(子どものためのPFA)」研修を実施し、自然災害など普段と異なる状況下において、子どものこころを傷つけずに対応する方法を学ぶ研修を実施しました。
 

(2022年6月に実施した「子どものための心理的応急処置(子どもためのPFA)」研修)


8月には、災害などの緊急時に使用する施設用の大型救急箱を、武雄市、太良町、大町町の学童保育に配布し、各自治体も訪問しました。

「こういうものが施設に1つあると、とても助かる」と、大型救急箱を受け取った学童支援員からは、よろこびの声がありました。




また、自治体が佐賀県内の多くの学童保育の運営を管理しているため、11月には自治体の担当職員を対象とした研修「放課後児童クラブの防災を考える〜倉敷の事例から学ぶ〜― 備え・発生時の対応・その後の取り組み ―」を実施しました。

研修では、2018年の西日本豪雨で被害が大きかった岡山県倉敷市で児童館や学童保育などの子ども関連施設を当時担当していた職員から、学童保育の被災経験を共有してもらいました。その後、防災の専門家からの講義を受け、参加者同士で県内の学童保育の防災について考えました。

 
(2022年11月に実施した自治体職員向け防災研修)


2022年の取り組みに続き、佐賀県内の学童保育の災害対応能力のさらなる向上を目指して2023年3月2日に、武雄市、太良町、大町町の学童保育へ非常用持ち出し袋を配布するとともに、災害発生時や避難訓練の際に非常用持ち出し袋が有効に活用されるよう、学童保育支援員を対象にした非常用持ち出し袋の中身や利用方法について考えるワークショップを実施しました。

ワークショップ前半では、2011年の東日本大震災を学童保育支援員の立場で経験した福島県学童クラブ連絡協議会の山田和江氏から、東日本大震災の体験と、現在学童保育で行っている防災活動について話をしてもらいました。

東日本大震災の時、電気を使わずに使用できる石油ストーブのおかげで暖を取ることができた話や、携帯電話を2台持っていたことで充電が足りなくならずに保護者と連絡することができたこと、また子どもたちを安心させるためにおやつがとても役に立ったことなど、地震発生後の断水、停電の中で実際に役に立ったものを紹介してもらいました。

そうした経験をもとに、現在学童保育で行っている防災活動として、職員会議での防災に関する勉強会や、子どもたちにもわかるように廊下にハザードマップを掲示すること、子どもたちが普段から遊んでいる遊び道具を非常用持ち出し袋に入れていることなどが共有されました。





後半は、実際にどんなものを非常用持ち出し袋にいれておいたほうが良いのか、参加者同士でグループに分かれて話し合うワークを行いました。

それぞれのグループからは、「小さなハサミなどもあると便利」、「子どもは不安になるとおもらしをすることもあるので小さなビニール袋や、ビニール手袋もあればいいと思う」、「非常用持ち出し袋にカイロは入っているが、佐賀は逆に暑いことの方が多いので冷やすものもあった方が良い」など、それぞれが関わる学童保育施設として何が必要なのか、様さまざまな意見が上がりました。
 


(2023年3月2日 グループワークの様子)

ワークショップ後のアンケートには、「防災について自分、児童を守ることを考えさせられた」、「子どもたちに寄り添った物の必要さ、季節によって必要なものが違うのでチェックが必要」、「全く非常用持ち出し袋についてクラブ内で共有していなかったのでいつ何が起きるかを想定して話しあいたいと思った」などの感想が寄せられ、このワークショップが学童保育の防災について改めて考える機会になったことがうかがえました。

今回のワークショップや過去に実施した研修を通して、学童保育施設での防災マニュアル作成への関心が高いことが分かりました。今後は、地震などの災害が起こった時に学童保育でどのような対応が必要か、学童保育支援員と自治体職員が一緒に考える機会を開催する予定です。

セーブ・ザ・チルドレンは、今後も地域の団体や自治体と連携し、学童保育の防災に対する意識向上と災害対応能力強化の活動を行っていきます。



(国内事業部・中川 千明)

 

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