日本/国内災害(公開日:2017.08.25)
【九州北部豪雨緊急支援】 福岡県朝倉市で「子どものための心理的応急処置」の研修を緊急実施
セーブ・ザ・チルドレンは、8月2日の夜、福岡県朝倉市において緊急下の子どものこころのケア「子どものための心理的応急処置(Psychological First Aid for Children 以下、子どものためのPFA)」*の紹介研修を実施しました。朝倉市は、7月上旬に九州北部を襲った記録的な豪雨で最も被害を受けた地域の一つです。同市から、公立・私立保育所の保育士、放課後児童クラブ支援員を対象とした研修を、と依頼があり、急きょ実施することになりました。
今回、研修の告知から開催まで短期間であったにもかかわらず、市関係者の予想を上回る約140人が参加しました。被災から1ヶ月も経たない非日常的な状況下で、保育士や放課後児童クラブ支援員の方々が子どもたちとのより適切なコミュニケーションを模索している様子がうかがえました。
研修では、セーブ・ザ・チルドレンの職員と日頃から「子どものためのPFA」普及に向け連携している災害医療支援機関より、河嶌讓先生(国立病院機構災害医療センター医師、厚生労働省DMAT・DPAT事務局)が、災害時における一般的なストレス反応、子どもの認知発達段階別のストレス反応、「見る、聴く、つなぐ」というPFAの行動原則、とりわけ「聴く(傾聴)」のポイントや一人で問題を解決しようとせず専門家に「つなぐ」大切さなどを伝えました。さらに、実際に被災して間もないため、支援する側にかかるストレスを軽減する「支援者支援(セルフケア)」についてもお話ししました。
参加者の中には、研修の中で紹介したストレス反応を実際に示す子どもと接している保育士の方も少なからずいたようです。そうした方々からは、
「実際に災害を経験し、子どものこころのケアもどこまでが正解なのか分からなかった。研修でそれがよく分かって助かった」
「自分の対応がどうだったのか確認ができた」
「具体的な言葉かけを教えてもらい、助かった」
「手さぐりの状態でやってきたが、今回の研修に参加してまだやれることがあると、気持ちも落ち着くことができた」
といった声が寄せられました。また、
「言葉をあまり知らない、言えない子どもたちが遊びを通してこころの回復をしていくことの大切さを実感した」
「PFAを保護者にも伝えたい」
「支援することばかり考えていたが、セルフケアの大切さを知った」
という感想もありました。
研修会では、福岡県精神保健福祉センターと朝倉市が制作した子どものこころのケアに関する資料も活用し、いざというときに子どもを支える地域資源を再確認しました。
今回の朝倉市での「子どものためのPFA」研修が、被災直後の子どもや子ども支援関係者のこころのケアに役立てばと、強く願っています。
最後に、夜遅い研修に最後まで参加してくださった保育士、放課後児童クラブ支援員の皆さん、また短期間で研修開催の準備に奔走してくださった朝倉市子ども未来課の皆さんに感謝いたします。
*子どものためのPFAとは
「子どものためのPFA」は、世界保健機関(WHO)などが作成したPFAマニュアルをもとにセーブ・ザ・チルドレンが2013年に開発した、子どもの認知発達段階の特性にあわせて、災害時にストレスを抱えた子どものこころを傷つけずに対応するための手法です。現在、災害医療をはじめとする緊急・復興支援に関わる関係者から注目を集めています。