セーブ・ザ・チルドレンは、2021年7月17日に、オンライン報告会「休眠預金等活用法に基づく新型コロナウイルス対応緊急支援助成 中間報告会〜子ども支援の現場から〜」を開催しました。

セーブ・ザ・チルドレンは2020年秋から休眠預金等活用法に基づき新型コロナウイルス対応緊急支援助成事業を実施しています。今回の報告会では、助成開始から半年が経ち、それぞれの事業の取り組みや事業を通して見えてきた課題などを、実行団体や専門家を招いて共有しました。

本報告会は、子ども支援に関わる方や、子ども支援に関心をもつ方など、56人が参加しました。

報告会の前半は、「地域に根差した子ども支援」をテーマに、岡山県笠岡市で活動する認定NPO法人ハーモニーネット未来の宇野均恵さん、岐阜県岐阜市を中心に活動する一般社団法人よりそいネットワークぎふの中川健史さん、そして沖縄大学で子どもの貧困や子ども支援について研究している山野良一さんとともに、パネルディスカッションを行いました。

今回の助成事業は、特に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた子どもたちを対象に支援している団体を選定しました。当日報告会では、そうした団体から、非正規雇用形態での就業などにより 経済的に困難な状況におかれやすい家庭が、新型コロナウイルス感染症の流行で、さらに深刻な影響を受けている現状の紹介などがありました。

また、休業要請などが最も厳しかった昨年春頃に比べ、今年の春は、保護者からの相談件数 が大幅に増えたという報告もありました。これに対して、 昨年春頃は「ここを乗り切ればどうにかなる」、「自分だけではなく皆が大変なのだから我慢しなければ」といった意識が強かった一方、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、限界が来ているからではないかという指摘もありました。一層の中長期的な官民の支援が求められています。

後半は、「外国につながる子どもの支援」をテーマに、フィリピンや中国にルーツを持つ子どもたちへの学習支援を行っているNPO法人キッズドアの今井久子さん、ペルーなど中南米にルーツを持つ子どもたちへの学習支援や進路相談などを行っているNPO法人日本ペルー共生協会神奈川の高橋悦子さん、そして一橋大学で外国につながる子ども・若者支援について研究している山野上麻衣さんとともに、パネルディスカッションを行いました。

「外国につながる子ども支援」のテーマでは、特に、親や子どもが適切な情報にアクセスしづらいことや、そもそも学校現場が、外国につながる子どもを受け入れている意識が足りない、などの課題が浮き彫りになったことについて言及されました。一方、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけにIT化が進み、遠隔で通訳ができるようになったり、繋がった実行団体のスタッフに気軽に相談ができるようになったりと、助成事業の効果も見えてきたといった報告もありました。

参加者からのアンケートでは、「現場で活動する団体の生の声を聞けて、必要な支援とは何かを考えることができた」「コロナの感染リスクが収まってからも気持ちを寄せ続けることが必要だと思いました」といった声が寄せられました。

セーブ・ザ・チルドレンでは、2022年3月まで本助成事業を通して、脆弱性の高い子どもの支援や社会啓発、政策提言に引き続き取り組んでいきます。

（助成事業担当 鳥塚早葵）

＜JANPIA及び休眠預金等活用法について＞

「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」（休眠預金等活用法）は2016年に成立した法律で、この法律に基づき、10年以上取引のない預金等（休眠預金等）を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度が2019年度より始まりました。JANPIA（一般財団法人日本民間公益活動連携機構）は休眠預金等活用法に基づく指定活用団体として、休眠預金を活用した民間公益活動の促進を目的として設立された団体です。金融機関に預けられた休眠預金は、預金保険機構から指定活用団体へ交付され、そこから資金分配団体へ、更に資金分配団体から実行団体へと助成されます。詳細はJANPIAのHPをご覧ください。https://www.janpia.or.jp/kyumin/