日本/国内災害(公開日:2023.05.30)
【シリーズ第2回:災害時(さいがいじ)の多様性(たようせい)についてかんがえる】災害と障害のある人
《災害と障害のある人》
みなさんは災害がおこったとき、障害のある人も一人で安全に避難できるようにするには、どうしたらよいと思いますか。
耳が聞こえない人、目が見えない人、車いすの人など・・・。きっと想像してみるだけで、手助けやサポートがないと安全に避難できないこと、避難をしても不便が多いことがわかると思います。
また、障害のある人のなかには、心臓や肺などの外見からはわかりづらいところに障害がある人、状況を理解することに時間がかかる人 、自分の気持ちを整理したり表現したりすることが苦手な人、避難所での生活など、大きな環境の変化にこころが対応できない人などもいます。
じっさいに日本でおこった過去の災害では、たくさんの障害のある人が適切なサポートを受けることができずに、多くの被害にあってしまいました。
2011年の東日本大震災では、障害のある人の死亡率が全住民の死亡率の約2倍もありました(「震災と障害者」<4>東日本大震災における障害者の死亡率|平成24年版障害者白書 - 内閣府 (cao.go.jp))。また2016年の熊本地震でも、多くの障害のある人が必要な支援を受けられずに取りのこされてしまったのです(熊本地震 「また、取り残されるのか」被災地での障害者支援の実状- 記事 | NHK ハートネット)。
こうした被害を少なくするために、どういったことが必要になるのでしょうか
《海外での取りくみ:ネパール》
まず、セーブ・ザ・チルドレンが活動したネパールでの取りくみについてお話します。
ネパールはうつくしい自然にめぐまれた国で、世界一高い山エベレストがあります。国はインドと中国にかこまれており、多様な民族がいるのが特徴です。
しかしネパールは、地震、地滑り、土砂崩れ、豪雨、洪水、雪崩、寒波などの自然災害に加えて、多様な民族がいる分、争いが多く、経済的に貧しい人が多い国でもあります。そのため、障害のある人のデータがまとまっていないことが多いです。
データがまとまっていないということは、どこの地域にどれくらいの人数の障害がある人がいるのか、どのような障害があるのか、性別や年齢などがわかっていないということです。
災害がおこったときには、障害のある人の被害がどのくらいだったのか、どのような場面でこまっているかを知ることもできないため、サポートが適切におこなわれないことになります。
最近では、セーブ・ザ・チルドレンをふくむ支援団体などを通じて障害のある人のデータを集める取りくみがおこなわれています。
また、防災イベントに障害のある人たちの参加をうながし、さまざまな状況にある人たちに対応した災害対策もすすみはじめています。
ネパールでは障害がある人いがいにも、女性、子ども、いろいろな民族のリーダーが防災イベントに参加し、積極的に意見をのべていくことで、災害時にだれも取りのこさないという意識をもって動きはじめているようです。
《日本の取りくみ》
海外につづいて、日本の取りくみについても紹介します。災害がおきたときの障害のある人へのサポートのひとつに、福祉避難所があります。
福祉避難所とは、一般的な避難所では生活をすることがむずかしく、障害など特別な配慮を必要とする人が過ごす避難所のことです。
福祉避難所に避難することができる人は、お年寄り、障害のある人、妊娠している人、赤ん坊、けがや病気がある人などと、その家族だけです。
福祉避難所は、そうした人たちへサポートする環境が一般の避難所よりも整っている必要があるため、一般的な避難所が、学校や公民館であるのにたいし、福祉避難所は老人ホームや保育園などであることが多いです。みなさんが住んでいる地域の福祉避難所はどこか、ぜひ調べてみてください。
※自治体によっては、サポートを必要としない人が福祉避難所に避難してくることを防ぐために、どこが福祉避難所に指定されているかを発表していないところもあります。
《まとめ》
今回、海外と日本の障害のある人たちにたいする災害時の取りくみについて紹介しましたが、今回紹介したこといがいにも、さまざまな取りくみがあります。しかし避難する道がバリアフリーでなかったり、障害のある人への理解が進んでいなかったりなど、まだまだ解決されていない問題もたくさんあります。
そうした問題を解決し、災害時に、障害があってもなくても、みんなが安心・安全に避難し、生活できるよう、自分自身の意識やできることをぜひ考えてみてください。
次回は、災害時の外国人や外国にルーツがある人たちについて、お伝えしていきます。(つづきはコチラ)
過去のシリーズの内容はこちら
【シリーズ1回目:災害時の多様性について考える】災害と多様性
《多様性に配慮した災害への備えについて、もっと学べるサイト》
●・防災のことを考えてみませんか 〜防災マニュアル(障害当事者の方へ)〜 東京都福祉保健局(tokyo.lg.jp)
●・災害時要配慮者への支援|東京都防災ホームページ(tokyo.lg.jp)
※このブログは2023年5月に作成しました。
防災に関する最新の情報は内閣府のホームページをごらんください。
(国内事業部インターン 野田麻子)