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日本/国内災害
(公開日:2024.02.01)

「こどもひろば」の必要性とその課題とはー能登半島地震 緊急子ども支援

 
私たちは、2024年1月4日からこれまで、地震の深刻な影響を受けた七尾市や穴水町の避難所で「こどもひろば」を開いてきました。

あそびやまなびの場を突然奪われた子どもたちは、大きなストレスを抱えていることがあります。
「こどもひろば」は、避難先で子どもたちが普段していたようなあそびやまなび、友だちと過ごすことができる安心・安全な空間であり、より日常に近い生活を取り戻すための手助けとなります。


たびたび「避難所でなぜあそびが必要なのか」、と聞かれることがあります。
あそびは、子どもの知的、社会的、情緒的、身体的な発達に不可欠で、災害だからと言って子どもの発達を止めることはできません。

また、避難先で、子どもが安全な空間で安心して日常に近いあそびや活動ができることにより、子どもが困難や逆境にうまく適応する力(レジリエンス)を支え、強化し、こころと体が健康でいられることに役立つと言われています。

加えて、「こどもひろば」が毎日同じ時間に実施されることで、避難所でも生活リズムを維持することができ、学校などの再開時も災害前の生活リズムに戻りやすくなります。



一方、こどもひろば開設には、子どもたちの安全と安心を確保するための場と運営を担う大人がいることが必要です。開設にあたり、以下の6つの組織間共通の原則があります(※)。

●子どもにとって安心で安全な環境であること
●子どもを受け入れ、支える環境であること
●地域の特性や文化、体制、対応力に基づいていること
●みんなが参加し、ともに作り上げていくこと
●さまざまな領域の活動や支援を提供すること
●誰にでも開かれていること

しかし、内閣府の「避難所運営ガイドライン」では避難所に子どものためのあそび場や学習スペースの配置を検討することが明記されているものの、努力義務の取り組みにとどまっているため、準備の段階から取り組まれていません。

その結果、災害後に避難所が開設されても、「こどもひろば」を運営するスペースや備品、運営を担う大人がいないこともあります。

また、防災活動の段階から避難所に「こどもひろば」を開設するための訓練や、地域の大人たちへの運営のための研修を行うことも重要です。

災害の影響を受けた子どもたちは、大人と同じように苦痛を経験しますが、認知の発達の途中にあるため、大人と同じように感情を表に出したり、共有したりすることができないことがあります。

「こどもひろば」では、あそびのなかで子どもたちがポロっと災害の体験を話したり、あそびの中で表現することもあります。

そして、子どもたちが自然に感情を表現したり、共有していくことで、少しずつ災害のことを自分のなかで整理したり、理解していき、こころの安定につながると言われています。

子どもたちも大人と同じように、困難や逆境を乗り越える力を持っています。災害の影響を受けた子どもたちが自らの力を発揮し、少しずつ困難を乗り越えていけるよう、さまざまな方々と連携しながら支援を続けていきます。


(精神保健・心理社会的支援エキスパート 赤坂美幸)
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能登半島地震 緊急子ども支援へご寄付をお願いいたします
https://bit.ly/3Sj8AKu


参考資料:
(公財)日本ユニセフ協会、(独)国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所、災害時こころの情報支援センター

子どもにやさしい空間(Child Friendly Spaces: CFS)設置・運営研修
子どもにやさしい空間(Child Friendly Spaces:CFS)設置・運営研修〜準備編〜 - YouTube


(※)英語では、「Child Friendly Spaces(CFS)」と呼ばれ、国際的な人道支援の現場では、これを略してCFSと呼び、国連児童基金(ユニセフ)や子ども支援専門の国際NGO(非営利組織)などが、自然災害や紛争の影響を受けた地域の子どものために実施しています。CFSの呼び名は異なっても6つの原則は共通しています。

 

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