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日本/国内災害
(公開日:2023.04.06)

【2022年台風15号緊急・復興支援】静岡県の被災地域を訪問

 
セーブ・ザ・チルドレンは、2022年9月末に発生した台風15号によって深刻な被害を受けた静岡県において、被災した子どもたちへの緊急・復興支援を実施しています。

 

2022年10月にスタッフを現地に派遣し、関係団体や自治体からの聞き取りを基に、行政の支援が届きづらい私立の被災保育園に必要な備品を届けたり、保育施設の職員や保護者などを対象とした「子どものための心理的応急処置」に関する研修、子どもたちへの居場所支援を行ってきました。

発災から半年近くが経った2023年3月、復旧・復興の状況や支援先の様子などを確認するために、再び現地を訪問しました。

保育施設への備品支援
被災した私立保育園を支援した際に関係者によると、2022年台風15号のように広域の災害においては、私立も含めて施設再開に向けた公的支援制度が適用されるものの、対象は建物や据え付けの家具に限られるそうです。

あとから取り付ける家具や備品は公的支援の対象外になり、民間の保険が適用されますが、金額が超過した場合は運営元の自己負担になります。

そのため、施設の運営や管理に関わるものを優先せざるを得ず、結果として、子どもたちに直接関わるおもちゃや遊具が後回しになってしまうということでした。

そうした状況を受け、私たちは、公的制度や保険で対応できない備品や子どもたち用のおもちゃや遊具を中心に支援を行いました。

支援先のいくつかの園からの声を紹介します。
「(2022年)9月の台風水害により、園の玩具や絵本が使えなくなってしまい、子どもたちも残念がっていましたが、コンビカーやブロック、絵本などを頂けて、子どもたちも新しい玩具をとてもよろこんで使っています。子どもたちの笑顔が増え、感謝の気持ちでいっぱいです」
 


「『新しいおうちだ〜』とうれしそうにする子どもたち!おうちの中にはキッチンがあったり、外にはベンチやバーベキューコンロがあったりと、新しいタイプのおうちによろこんで遊んでいます。おうちの中がギュウギュウになるほど、子どもたちから大人気です」

子どもたちは、遊びの中で、自ら考え行動したり、感情を表出したり、人と関わったりなど、さまざまな学びや経験を積み重ねていきます。

遊びは子どもの成長と発達に欠かせないもので、特に災害後など普段と異なる環境や制限された生活の中においては、子どものこころの安定を助け、困難を乗り越える力にもなる重要な要素の一つになります。
 


高等学校への部活動関連備品支援
保育園だけでなく、学校も台風15号により大きな被害を受けました。ある高等学校では、校舎の浸水被害に加えて部活動に関する被害も大きな状況でした。

部活動の備品は公的制度の対象外になるため、購入は部員の家族が負担することになります。

そのため、静岡県の教育委員会からセーブ・ザ・チルドレンに支援要請があり、該当の高等学校で被害が特に大きかったアーチェリー部と郷土芸能に関する部活動などの再開に必要な備品の支援を行いました。
 


部に所属している子どもや先生からは次のような声が寄せられました。
「今回の台風で、私たちの弓具や部室は荒れ放題でした。あの光景を見たとき、この先のアーチェリー部はどうなってしまうのか未来への不安で頭がいっぱいになりました。そんな中、皆様からご支援をいただけるという明るいニュースを聞き、安心して部活動が再開できると思い、うれしさと感謝の気持ちでいっぱいになりました」

「アーチェリー部は、部室、練習場ともに床上60センチ以上の浸水被害を受けました。特に部室の被害は大きく、部で所有しているものをはじめ、生徒が個人で所有している弓や矢は、全て泥水に浸かってしまいました。被災直後は、被害の大きさに対する驚き、これからの活動への不安に包まれていました。何から手を付けていいかわからず、途方に暮れていたとき、ご支援のお話をいただき、顧問、生徒ともに安堵いたしました。早速、いただいた支援金で弓や的、照明等の設備品を購入し、被災前と同じ練習環境に戻すことができました」

  

高等学校の先生からは、発災から半年近くが経つ中、やっと校舎のエレベーターを直すことができたという話もあり、災害からの復旧・復興にはまだまだ時間がかかることが伺えます。

セーブ・ザ・チルドレンは2021年に、災害後の学用品の支援について、実際に被災した経験のある自治体からの聞き取りを基に現状の制度の課題などを報告しました(詳細はこちら)。

しかし、災害の影響を受けた子どもたちがふたたび被災前と同じ生活に戻るためには、学用品に限らない支援や制度が必要になるなど、他の課題も浮き彫りになりました。

私たちは引き続き、公的な支援制度で賄いきれない点を中心に、緊急時の支援活動を行い、復旧・復興に向けた中長期的な関わりを持つとともに、既存の制度が改善・拡充されるよう国や自治体へも働きかけていきます。

※今回紹介した声は、原文から一部抜粋し文意の変わらない範囲で編集しています。

■派遣スタッフは、抗原検査など、感染症専門家の助言に基づいた感染予防対策を行ったうえで活動を行っています。

(報告:国内事業部 山田心健)

 

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