日本/国内災害(公開日:2024.12.20)
【パート1】能登半島地震のあと、子どもたちが感じている気持ちや疑問への一問一答
能登半島地震から、間もなく1年を迎えます。
セーブ・ザ・チルドレンは、主に被災地域の子どもたちを対象に2024年7月に「2024年能登半島地震子どもアンケート〜震災から半年いま伝えたい子どもたちの声〜」を行いました。
アンケートには、子どもたちの地震や復興への思いがたくさん寄せられました。協力してくれた皆さん、ありがとうございました。
2,000件を超える回答の中には、地震の怖さ・不安な気持ちが書かれているものも多くありました。
災害などの緊急事態に直面すると、不安や恐怖、悲しみを抱くのは自然なことです。でも、その気持ちにどう向き合い、受け止めていけばよいのか、あまり知らない人もいるかもしれません。
そこで、心理の専門家の力を借りて、子どもたちの気持ちや疑問に一問一答の形で答えてみたいと思います。
質問は、アンケートから、複数の子どもたちが書いていた内容の自由記述を選び、組み合わせたりして8つ作成しました。
パート1では、Q1〜Q4までの一問一答を紹介します。(パート2はこちら)
能登半島地震で被災した子どもたちをはじめ、さまざまな災害の影響で不安や心配な気持ちになっている子どもたちの役に立てるよう願っています。多くの子どもたちに届くよう、ぜひ周りの方への共有や拡散をお願いします。
協力:(公社)日本公認心理師協会、(一社)日本臨床心理士会
<回答>
地震のことは、突然の衝撃的な出来事だったので、自分で思い出そうとしていなくても突然、思い出されてしまうこともあるかもしれませんね。思い出した時、どのような気持ちになるでしょうか。思い出した時に、強い不安、緊張、怖さがありますか。それとも、「今は、大丈夫」とホッとした気持ちになるでしょうか。思い出すこと自体(記憶)は、「危険」ではありません。自分が、「今、安全な場所にいること」を実感していけることで、出来事に対する捉え方も書き換え(アップデート)されていきます。それに伴って、少しずつ思い出した時の不安や恐怖が減っていくでしょう。
<回答>
また地震が来たら…その時、一人だったらどうしよう…そんなふうに考えると、不安で怖くて心細くなってしまいますよね。その気持ちを友だちに話してみたことはありますか。あなたの気持ちに共感してくれる人が多いことに気づき、まず心細さがやわらぐかもしれません。次に、安心できるだれかと一緒に、どうなることが怖いのか、それに対してできることは何かを考えてみてください。家族とはぐれてしまう恐怖であれば、そうなった時の連絡方法を前もって決めておくのです。また、深呼吸や自分だけのおまじないなど、不安感や恐怖心をやわらげる方法を身につけておくことも大切だと思います。みんなと一緒に今できる準備をしておけば、必ずうまく対処できるはずです。
<回答>
いつも一緒にいた大切な友だちがそばにいない、そんなさみしさを感じているのですね。まちから出て行く人もいて、まるで置いて行かれたような気分なのでしょうか。もしかしたらそれは、地震の後に経験したつらい気持ちを、だれにも分かってもらえないと感じているからなのかもしれません。もし、今ここにその友だちがいたなら、どんなことを伝えたいですか。それをこころの中で言葉にできそうですか。そして、今その言葉を受け取ってくれそうな身近な人はだれですか。全部でなくても、少しだけでも分かってくれる人です。それは、家族やクラスの友だちや先生かもしれません。そして、はなれてしまった友だちも分かってくれる一人かもしれません。
<回答>
被災地の多くの人が同じような気持ちを感じていることと思います。
あなたが言う通り、どんなにニュースなどで被災地の様子を見ても、被災地以外の人には本当の大変さが伝わらないことがあります。それに、時間が経つにつれ被災地のことを考えることが減ってきたりします。それは被災地のみんなにとって、とても悲しくなることですね。それに対して、どうしたらよいか…なかなかよい解決策を見つけることはできないかもしれません。ただ、一人ひとりが忘れない努力をすることや、あなたのように、「忘れないで」という気持ちを発信することはとても大事なことだと思います。
日本は災害が多い国です。みんなが、他人事だと思わず、考えていけるといいですね。
※Q5〜Q8を紹介したパート2はこちら
【参考(大人の方向け)】
セーブ・ザ・チルドレンは、緊急下の子どものこころのケア「子どものための心理的応急処置(子どものためのPFA)」の普及啓発に取り組んでいます。子どものためのPFAは、特別な心理的知識がなくても、災害などの危機的状況で子どものこころに配慮した支援ができるよう、支援者が取るべき行動や姿勢を示したものです。詳しくはこちらのページをご覧ください。https://www.savechildren.or.jp/lp/pfa/
(報告:国内事業部 田代光恵)