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アドボカシー
(公開日:2014.05.07)

国連子どもの権利条約新議定書(第3議定書)が発効しました(2014.05.07)

 

414日、国連子どもの権利条約新議定書(第3議定書)が国際的に発効しました。同議定書は国連・子どもの権利委員会に対する個人通報制度を創設するためのもので、20111219日に国連総会で採択され、2012228日にジュネーブの国連欧州本部で開催された共同署名式をもって各国政府の署名・批准に開放されました。

その後、2014114日にコスタリカ政府が10番目の批准国となり、同議定書第19条の規定により、3カ月後に国際的に発効することとなったものです。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2009年秋より、同議定書の実現を目指すグローバルキャンペーンの日本での事務局を務め、20134月には同議定書のガイドブックを出版しました

 

個人通報制度とは,権利侵害を受けた個人が裁判等の国内的救済手続きを尽くしても,なおその救済を得ることができなかった場合,関連する国際的・地域的人権条約機関に直接的に申立てをおこない,その救済を求めることができる制度のことです。国際的な通報制度は今や人権保障にとって必要不可欠な標準的制度と考えられており、例えば女性差別撤廃委員会に対する個人通報制度を定めた議定書には、英国やドイツ、オーストラリアやタイ、さらに韓国やモンゴルを含む103カ国が加盟しています。韓国、モンゴルは自由権規約委員会に対する個人通報制度を定めた議定書にも加盟しています。また、ヨーロッパ、米州、アフリカには地域的な個人通報制度が設けられています。

子どもの権利条約第3議定書も国連総会で採択されてからわずか2年の間に45カ国が署名、10カ国が加盟しました。タイは20121025日、ドイツは2013228日に同議定書に加盟しており、モンゴルも2013104日に署名をしています。

日本政府は国連人権理事会および国連総会で子どもの権利条約第3議定書の共同提案国となり、さらに国連人権理事会におけるスロバキア政府代表による同議定書案の趣旨説明直後、菅沼健一大使(当時)が「子どもの権利の保護の実現のために、個人通報制度が積極的な役割を果たすことを強く希望します」と発言、その前向きな姿勢は各国政府代表のみならず国際的な市民社会組織からも高く評価されました。

 

また、同議定書の手続き規則さらに作業細則を子どもに優しい内容とするためにこれらの作成過程に世界各地の子ども達の声を反映させるための取り組みが行われ、日本の子ども達の声はビデオメッセージとして2012228日の共同署名式の会場で公開され、さらに国際的な子どもの権利条約NGOグループ[1]を通じて国連・子どもの権利委員会に届けられました。



 さらに、2013年に子どもへの暴力に対する国連事務総長特別代表事務所が世界の子ども達の声を踏まえて同議定書の子ども向けガイドブックを作成した際にも、日本の子ども達がガイドブック案に関する感想・意見を提出しています。

 

日本政府は主要な9つの国際人権条約に基づく個人通報制度には一切加盟していませんが、自由権規約第1議定書への加盟国が115カ国、女性差別撤廃条約選択議定書への加盟国が104カ国に達した今日、その加盟は時間の問題です。

子どもの権利条約新議定書前文にも書かれているように、国際的な通報制度は国内的および地域的な子どもの権利保障制度を強化し補完するものと考えられています。

日本が、同議定書への加盟を一つの契機として韓国・モンゴル等の北東アジア諸国との連携を強化すれば、域内の国境を越えた人権侵害事例(人身取引や不法な国際養子縁組,子どもの奪取など)への取り組みは格段に強化されることでしょう。

 

日本政府が子どもの権利新時代を象徴する国連子どもの権利条約第3議定書に早急に加盟し、アジア太平洋地域における地域的子どもの権利保障制度の発展に向けて国際的なイニシアティブを発揮することを希望したいと思います。

 

(報告 森田明彦)





[1]子どもの権利条約NGOグループは、1983年に子どもの権利条約作成過程への参画を希望する20NGOによって設立され、子どもの権利条約採択後は世界各地における子どもの権利条約の履行状況の監視や技術的助言を行ってきた。2013年にChild RightsConnectと改称。現在構成団体は80。子どもの権利条約NGOグループは、第3議定書実現を目指す国際キャンペーンを2008年より開始、日本でもその趣旨に賛同したNGO2009年秋から「国連子どもの権利委員会に通報(申立)出来る制度を作ろう!キャンペーン」(「子どもの権利条約NGOグループ/日本」)をスタートさせた。



 

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