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アドボカシー
(公開日:2024.11.16)

紛争下の犯罪が2023年過去最高に―子どもたちにとって世界はかつてないほど危険な状態に

 
―セーブ・ザ・チルドレンの報告書によると、紛争下で子どもたちに対して行われた重大な権利侵害の件数が2023年に過去最高水準に達し、3万1,000件以上が記録されていることが明らかになった。
―1日平均31人の子どもたちが犠牲になった。
―パレスチナとスーダンで、子どもに対する犯罪が最も増加した。
―2023年には、4億7,300万人の子どもたち(世界の子ども人口の19%)が紛争下で生活している。
―世界の軍事費は昨年19兆1,000億米ドルに急増したが、平和と紛争予防への投資は低水準にとどまり、国連の持続可能な開発目標を達成するためには4兆米ドルが不足している。


セーブ・ザ・チルドレンの新しい報告書[1]によると、紛争下での子どもたちへの重大な権利侵害の件数は、2023年に14%増加し、2005年の報告開始以来最高となりました。
報告書『Stop the War on Children(子どもに対する戦争を止めよう)』は、このような記録が始まって以来、紛争における子どもたちに対する重大な権利侵害が確認された件数を分析したもので、その犯罪には、殺害、傷害、誘拐、性的暴力、武装集団への徴用、学校や病院への攻撃、子どもたちへの人道的アクセスの制限などが含まれています。
報告書によると、紛争下での子どもに対する重大な権利侵害[2]が記録されたケースは、2023年に3万1,721件発生し、これは1日平均86件の子どもに対する犯罪に相当し、2022年に記録された前回の記録を上回りました。

犯罪の総件数が最も多かったのは、8,434件の重大な権利侵害が確認されたパレスチナで、これは総件数の4分の1に相当し、前年に比べ170%と大幅に増加しました。次いで、コンゴ民主共和国(3,805件が検証され、2022年の2,420から増加)、ソマリア(2,290件が検証され、2022年の2,783からわずかに減少)でした。

重大な違反が相対的に最も増加したのはスーダンで、2022年以降、317件から1,759件へと5倍に増加しました。
2023年には、紛争下で子どもたちが犠牲になった事例が、世界中で1万1,338件記録されました。
これは、1日平均31人の子どもたち、つまり1つの教室の子どもたち全員が命を落としたり、傷つけられたりしたことに相当します。その3分の1以上がパレスチナの子どもたちでした。

また、紛争下の子どもたちに対するもう一つの重大な侵害である人道的アクセスの制限も、前年の3,931件に対し、2023年には5,158件と歴史的な高水準に達し、10年前の11倍以上となりました。パレスチナでは、2023年に3,250件の人道的アクセスの制限が記録されましたが、これは世界中のあらゆる紛争のなかでも過去最高の件数となりました。

さらに、報告書は、過去30年間で、紛争下で暮らす子どもたちの数が驚異的に増加していることを明らかにし、その人数は2023年には4億7,300万人、つまり世界の子どもの人口の19%に達します[3]。この割合は、1990年代半ばの世界の子ども人口の約10%からほぼ倍増しており、紛争下で保護される子どもたちの権利が侵害され続けていることを意味します[4]。

報告書は世界の軍事費を分析し、2023年には2.4兆米ドル(イタリアのGDP全体を上回る)にまで増加する一方、平和と紛争予防への投資は減少していることを明らかにしました。暴力の経済的影響は、予防、抑止、その結果への対処にかかる費用を含め、上昇しており、2023年には購買力平価(PPP)ベースで19.1兆米ドルに達します。

ソマリアのプントランドに住むシャルマーケさん(12歳)は、祖国で続く紛争できょうだいを失い、平和を切望しています。シャルマーケさんは次のように話します。「願いがひとつあるとすれば、ソマリアの平和です。平和というのは、私たちが長い間感じていないもので、私たちの多くはそれがどのような感覚なのかさえ知らないのです。私のような家族が恐怖に怯えて家から逃げ出す必要のない国、子どもたちが怖がらずに学校に通える国になることを願っています。ソマリアは紛争で壊れてしまいました。」

セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長のインゲル・アッシンは、次のように述べています。 
「世界が子どもたちにとってより危険になっていることに疑いの余地はありません。人類の多くにおいては、子どもの権利とその保護に前進が見られますが、紛争状態にある国々では、状況は急激に悪化しています。

世界の軍事費は増加の一途をたどる一方、紛争予防への投資は減少の一途をたどっています。この結果は壊滅的です。コンゴ民主共和国、パレスチナ、スーダン、ウクライナ、その他多くの国々で紛争が続いており、子どもたちや学校、病院に対する攻撃が恐ろしくエスカレートしています。
こうした権利侵害は、世界的な抗議行動に火をつけましたが、私たちは平和のための現実的で意味のある誓約を目にしていません。

各国は行動を起こさなければなりません。紛争における行動基準を守る必要があります。加害者の責任を追及しなければなりません。人道的アクセスを保護しなければなりません。平和のための長期的計画が必要です。そして、子どもたちの回復力と復興を支援する必要があります。何百万人もの子どもたちの未来は、迅速かつ断固とした世界的な行動にかかっているのです」。

セーブ・ザ・チルドレンの分析によると、国連加盟国のうち、紛争下の子どもたちを保護するための国際的な法的・政治的文書に署名しているのは、その半分にも満たないという驚くべき数字も明らかになりました。
国連加盟国の20%以上に当たる43ヶ国が、12の文書のうち6つ以上に署名または承認しておらず、その多くが武力紛争に関与しています。同時に、武器の売却は紛争に拍車をかけ続け、子どもの権利侵害で悪名高い行為者に武器が譲渡されています[5]。

平和な子ども時代を過ごすことは、平和な社会の構築に不可欠な要素です。コロンビアで開催される「子どもに対する暴力に関する世界閣僚会議」において、政府指導者と市民社会が会合を開く準備を進める中、この報告書は、世界中の子どもたちがより安全な未来を築くために、世界的な行動を強化する緊急の必要性を強調しています。



報告書「Stop the War on Children: Pathways to Peace」は こちら



[1] Analysis by Save the Children of the 2024 United Nations annual report of the Secretary-General on children and armed conflict, based on data reported and verified in 2023. The analysis also draws on previous Save the Children mapping of the number of grave violations in the reports on children and armed conflict from 2005–23. Unlike the annual UN reports on children and conflict, we have included verified incidents of military use of hospitals and schools under the grave violation attacks on schools and hospitals when we add up the grave violations in each conflict setting.

[2] The six grave violations against children: the UN Security Council has identified six grave violations against children in situations of armed conflict: killing and maiming of children; recruitment or use of children in armed forces and groups; rape and other forms of sexual violence against children; abduction of children; attacks against schools and hospitals; and denial of humanitarian access to children. These grave violations were defined on the basis of their egregious nature and their severe impact on children’s wellbeing. In addition to the six violations, the annual UN has verified cases of detention of children since 2012 and presented them in the report. 

[3] Updated data on the number of children living in conflict zones conducted by the Peace Research Institute (PRIO), Oslo based on Uppsala Conflict Data Program’s Georeferenced Event Dataset (UCDP GED) cross-referenced with population data from Gridded Population of the World (GPW) and from the UN (2023).  

[4] Figure 2, page 5. The share was 9,7% in 1995.

[5] Including the Safe Schools Declaration, Paris Commitments and the Explosive Weapons in Populated Areas (EWIPA) declaration.
 

































 

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