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アドボカシー
(公開日:2015.08.04)

「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」が国連で合意!

 
2015年8月2日、国連加盟193か国は「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」に合意しました。セーブ・ザ・チルドレンは、この合意がなされたことを強く歓迎します。

2030年アジェンダでは、2015年を達成期限とする「国連ミレニアム開発目標:Millennium Development Goals(MDGs) 」に続く次の15年の目標である「持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals(SDGs)」が設定されました。 SDGsはこれまでのMDGsを引き継ぎつつも、以下のような点で革新的な内容となっています。

・MDGsでは、極度の貧困と予防可能な乳幼児死亡の「削減」が目標とされてきたが、SDGsでは「根絶」することが目指されている。
・「誰一人取り残さない」よう、あらゆる社会・経済層の人々の生活に改善をもたらすことをその基礎としている。
・MDGsは主に開発を主眼にしてきたが、SDGsでは社会・経済に加えて環境の側面を統合し、持続可能性を追求している。
・MDGsは途上国における達成を主眼にしてきたが、SDGsは途上国だけでなく、先進国も対象となる普遍的な目標である。

さらにこれまで様々な障壁に阻まれ、取り組めていなかった以下のような分野も、SDGsには含まれています。

・ガバナンス、平和、包摂的な社会の構築
・ジェンダー、性と生殖に関する健康と権利
・子どもに対する暴力の撤廃
・不平等・格差是正
・気候変動

SDGsを含むこの歴史的なアジェンダは、3年もの歳月をかけて策定されました。トップダウンで決められたMDGsとは対照的に、SDGsの策定プロセスはすべての国連加盟国の参加のもと進められ、市民社会もほぼ参加可能なボトムアップ形式で行われました。

今回合意されたアジェンダは、今年9月の国連総会において、各国首脳により正式に採択されます。採択を機に、各国はSDGs達成のための政策・施策の実施計画に着手することが求められています。

セーブ・ザ・チルドレンは、今回合意された17の目標が採択・実施されれば、貧困をなくすための世界中の取り組みに大きな変化をもたらすだろうと考えています。MDGsは多くの前進をもたらしましたが、一方で、MDGsの「恩恵」を受けた人々と、そこから取り残された人々との格差をもたらしました。MDGsは一部の人々に関しては達成されたと評価されていますが、この新しいSDGsは、「誰一人取り残さず、全ての人々に関して達成された」と評価されるよう、今後の取り組みを迅速に実施していくことが必要です。 そのためにも、最も貧しく、最も疎外された人々にきちんと焦点をあてることが求められています。

セーブ・ザ・チルドレンとしては、今回の合意内容に関して、特に以下の点を歓迎しています。

・2030年までに予防可能な子どもの死をなくすという明確な約束がなされるなど、最終合意案において、子どもにきちんと焦点がおかれたこと。
・ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現、すべての人々に対する質の高い教育の提供、子どもに対するあらゆる形態の暴力撤廃に向けた取り組みに対する約束がなされたこと。これは大きな変化をもたらす約束です。
・収入、ジェンダー、年齢、人種、民族、移民、障害、住む場所やその他国内の状況に応じた様々な社会・経済・政治的グループ別に、進捗状況を把握する約束がなされたこと。
・アジェンダに対する政治レベルの賛同、また、貧困国のオーナーシップが存在すること。

セーブ・ザ・チルドレンは、他の市民社会と協力して、「誰一人取り残さない」ことがSDGsの柱となるよう、当初から働きかけてきました。結果として、新たなグローバルアジェンダにこのコンセプトが取り入れられ、各国が「誰一人取り残さない」ことを約束したことは、MDGsからの大きな変革をもたらしたといえます。実際に合意文書には、193の加盟各国が「すべての目標とターゲットが、あらゆる国家と人々、そしてあらゆる社会階層において達成されることを望む」と書かれています。この文章は、「開発」に対する見方、実施の方法が根本から新しくなったことを示しています。「開発」から最も遠く取り残された人々を、まず「開発」の最初の対象としていくことで、世界の最も貧しい人々、そして何百万もの子どもたちの命や生活に変化がもたらされることが期待されます。

アドボカシー・スペシャリスト 大野容子




 

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