アドボカシー(公開日:2021.09.07)
Build FORWARD Better〜新型コロナウイルス感染症後、教育制度をより良く、より前進させていくことが重要
「私たちはより良い未来を夢見て、成功したいと思っています。どうか私たちの声を聴き、私たちの夢を実現するための支援をしてください。強くて能力の高い次の世代を創るために、私たちを支えてください」−マヤさん、レバノンの少女
2021年9月6日、セーブ・ザ・チルドレンは、世界の教育危機に関する報告書『もっと改善された未来を(Build Forward Better)』を発表しました。
気候変動による影響や、新型コロナウイルス感染症ワクチンの不足、難民・避難民の増加、学校への武力攻撃、デジタル環境やデジタル化の未整備などにより、48ヶ国の何億人もの子どもたちの教育が、崩壊の危機に瀕しています。
新型コロナウイルス感染症が教育に影響を及ぼすようになってから約2年が経過しましたが、世界のどの国の教育も「通常」に戻っていません。今すぐ行動を起こさない限り、安全で包摂的な質の高い学びへのアクセスが危ぶまれています。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行(パンデミック)後の世界について「Build Back Better(より良い復興)」ということが言われています。しかし、パンデミック以前より、2億5,800万人の学齢期の子どもたちの6人に1人が、教育を受ける権利を奪われていました。以前の状態に戻すというよりも、希望と前向きな変化を起こすために、以前とは異なる形で「Build Forward Better(より良い前進) 」を目指すことが必要だと私たちは考えます。
パンデミックに加え、気候危機や紛争、難民の増加なども各国の教育制度や経済に影響を与えています。こうした危機の発生頻度は増加し、またその期間も長引くようになっています。
この報告書では、感染症や気候危機、紛争などの現在や将来のリスクに対して、どの国の教育システムが最も脆弱であるかを分析しています。その結果、コンゴ民主共和国やナイジェリア、ソマリア、アフガニスタン、南スーダン、スーダン、マリ、リビアが最もリスクが高く、シリアとイエメンが続きます(注)。
さまざまな危機が教育に及ぼす悪影響を効果的に回避するには、予測もしくはリアルタイムのデータに基づき、危機発生に先手を打てるような柔軟な計画を持つことが必要です。以前と比較して、現在では、気候危機や政治・紛争力学、伝染病の発生とそれらがもたらし得る影響を、確実性を持って予測できるようになっています。利用可能なデータがあれば、意志決定者は、さまざまな危機が起こる前に、その影響を軽減するための事前の策に対して、予め用意した資金を拠出することが可能になります。
各国の教育省が人道支援団体と力を合わせ、危機発生前からデータに基づき、先を見越した対応をしておくことで、子どもたちの安全で質の高い教育を受ける権利を守りやすくなります。こうした危機発生以前に準備をしておくためには、各国の教育省が、教育計画にリスク軽減・リスク管理を制度として組み込むことが必要です。
セーブ・ザ・チルドレンは、新型コロナウイルス感染症の対応から得られた教訓をもとに、以下の8つの行動計画が必要だと考えます。低所得国および中所得国の政府や支援国政府、国際機関、市民社会、民間企業、支援団体などが早急にこれらの行動をとることが求められます。
報告書全文(英語)はこちら
日本語概要(準備中)
(注)この報告書は、最近のアフガニスタンにおける危機発生の前に書かれたものです。セーブ・ザ・チルドレンは、40年以上にわたってアフガニスタンの子どもたちを支援してきました。アフガニスタンについての最新情報や活動に関しては、スタッフ・ブログ で紹介していきます。
2021年9月6日、セーブ・ザ・チルドレンは、世界の教育危機に関する報告書『もっと改善された未来を(Build Forward Better)』を発表しました。
気候変動による影響や、新型コロナウイルス感染症ワクチンの不足、難民・避難民の増加、学校への武力攻撃、デジタル環境やデジタル化の未整備などにより、48ヶ国の何億人もの子どもたちの教育が、崩壊の危機に瀕しています。
新型コロナウイルス感染症が教育に影響を及ぼすようになってから約2年が経過しましたが、世界のどの国の教育も「通常」に戻っていません。今すぐ行動を起こさない限り、安全で包摂的な質の高い学びへのアクセスが危ぶまれています。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行(パンデミック)後の世界について「Build Back Better(より良い復興)」ということが言われています。しかし、パンデミック以前より、2億5,800万人の学齢期の子どもたちの6人に1人が、教育を受ける権利を奪われていました。以前の状態に戻すというよりも、希望と前向きな変化を起こすために、以前とは異なる形で「Build Forward Better(より良い前進) 」を目指すことが必要だと私たちは考えます。
パンデミックに加え、気候危機や紛争、難民の増加なども各国の教育制度や経済に影響を与えています。こうした危機の発生頻度は増加し、またその期間も長引くようになっています。
この報告書では、感染症や気候危機、紛争などの現在や将来のリスクに対して、どの国の教育システムが最も脆弱であるかを分析しています。その結果、コンゴ民主共和国やナイジェリア、ソマリア、アフガニスタン、南スーダン、スーダン、マリ、リビアが最もリスクが高く、シリアとイエメンが続きます(注)。
さまざまな危機が教育に及ぼす悪影響を効果的に回避するには、予測もしくはリアルタイムのデータに基づき、危機発生に先手を打てるような柔軟な計画を持つことが必要です。以前と比較して、現在では、気候危機や政治・紛争力学、伝染病の発生とそれらがもたらし得る影響を、確実性を持って予測できるようになっています。利用可能なデータがあれば、意志決定者は、さまざまな危機が起こる前に、その影響を軽減するための事前の策に対して、予め用意した資金を拠出することが可能になります。
各国の教育省が人道支援団体と力を合わせ、危機発生前からデータに基づき、先を見越した対応をしておくことで、子どもたちの安全で質の高い教育を受ける権利を守りやすくなります。こうした危機発生以前に準備をしておくためには、各国の教育省が、教育計画にリスク軽減・リスク管理を制度として組み込むことが必要です。
セーブ・ザ・チルドレンは、新型コロナウイルス感染症の対応から得られた教訓をもとに、以下の8つの行動計画が必要だと考えます。低所得国および中所得国の政府や支援国政府、国際機関、市民社会、民間企業、支援団体などが早急にこれらの行動をとることが求められます。
- 新型コロナウイルス感染症からの回復:子どもたちが安全に学校に戻り、学びを再開できるようにすること
- 危機への備え:すべての国は、将来の危機に備えて、子どもたちの学び、そして安全と健やかな成長(well-being)を確保するための準備計画を持つこと
- 学校に通っていない子どもたちを対象に:パンデミック以前から差別を受け、学校に通っていなかった子どもたちが、安全な学びの機会を得られるようにすること
- 安全・安心な教育:暴力や武力攻撃、気候危機の影響から子どもたちの学びを守ること
- 資金調達の規模の拡大、方法の調整:必要とされる教育資金に対する不足額を早急に拠出すること。また、危機回避のための事前の行動が可能になるよう、資金調達方法を調整すること
- 正確なデータ:迅速な意思決定のために、より多くの改善されたデータを収集すること
- 衡平性と子どもの参加の重視:格差や差別の影響を最も受けている子どもたちに最初に手を差しのべること。また、事業実施の分析、設計、実施、評価に子どもたちを参画させること
- 権力の移譲:意思決定権や資金を、各国・各地域の市民社会に移譲していくこと
報告書全文(英語)はこちら
日本語概要(準備中)
(注)この報告書は、最近のアフガニスタンにおける危機発生の前に書かれたものです。セーブ・ザ・チルドレンは、40年以上にわたってアフガニスタンの子どもたちを支援してきました。アフガニスタンについての最新情報や活動に関しては、スタッフ・ブログ で紹介していきます。