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アドボカシー
(公開日:2023.04.30)

スタッフの視点―4人に3人の子どもが「国際協力を進めるべき」と回答。国際協力に市民の目線を

 
国際協力に関する日本政府の基本方針となる「開発協力大綱」が今年前半に改定される。政府は、昨年9月に有識者懇談会を設置し、12月に報告書が発表された後、各地での意見交換会を経て、4月初旬に「開発協力大綱案」を発表、現在パブコメを募集している。しかし、一般の人たちが、国際協力についてどのように考えているのか、果たして政府には届いているだろうか。

セーブ・ザ・チルドレンは、今年1月に子どもと大人を対象に国際協力に対する意識調査を実施した。インターネット調査を通して約1万2,000人(うち15歳〜17歳は約1,200人)から回答を得た。

新型コロナウイルス感染症の流行や物価高騰の影響により、生活に困難を感じる人々が増える中、国際協力を「進めるべきだ」と答えた人が6割近くにのぼり、「減らすべきだ」、「やめるべきだ」と回答した人は合わせて1割に満たない結果となった。さらに、同質問の子どもの声だけをみると、「進めるべきだ」が7割以上、つまり4人に3人の子どもが国際協力を進めるべきと考えていることが明らかになった。



政府開発援助(ODA)は、開発途上国、特に最貧国などにとっては、子どもや大人の今と未来を支える重要な資金であり、暮らしに大きな影響を及ぼしている。そのため、途上国の開発や人道支援に取り組むNGOは、開発協力の第一義的な目的として、貧困削減や格差是正、パンデミックや気候変動などの地球規模課題への取り組み、人権の尊重・推進を訴えると共に、非軍事原則の徹底を求めてきた。しかし、今回の改定では、世界的な安全保障環境の悪化を背景に、開発協力を「外交のツール」とすることが強く打ち出されている。さらに懸念される動きとして、政府はODAとは別枠で、途上国の軍を直接支援する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を新たに導入した。

国際協力は、どうあるべきか。私たちの調査で、国際協力の目的について聞いたところ「国際社会の平和と安定のため」が53%と半数を超えた。また、原則(守るべきこと)に関しては「基本的人権や民主主義に負の影響を与えないこと」が51%と半数を超えたほか、「武器供与など軍事的な支援を行わないこと」が36%となった。重点とすべき分野は、「教育(学校や教員等)、保健医療(制度や人材育成等)などの社会サービス分野の支援活動」が57%、次に「紛争や災害などの緊急時に行う人道支援活動」が45%と続いた。

新型コロナウイルス感染症や地球温暖化、紛争の影響で、先の見えない不安感が日本の社会をも覆っている。しかし、今回の意識調査で、国際協力を推進するべきとの回答が過半数を超えたことは、今こそ国境を超えて世界が連帯し、格差や差別をなくし、平和を築いていくことの重要性、そこに日本が果たす役割の大きさを、子どもも大人も感じているからではないか。日本の国際協力のあり方の議論が大詰めを迎える中、こうした市民の視点が置き去りにされてはならない。

アドボカシー部 堀江由美子

 

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