アドボカシー(公開日:2011.06.23)
復興構想会議第1次提言「復興への提言」提出 (2011.06.23)
6月20日、「東日本大震災子ども支援ネットワーク」は、復興構想会議に対して以下のとおり意見書を提出しました。
同ネットワークは、被災地の子どもや子育て家庭が置かれている情報・意見交換を密にしながら、子どもの視点からの支援を進めようと5月5日に発足しました。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、賛同団体のひとつです。
復興構想会議御中
東日本大震災子ども支援ネットワーク
運営団体:公益財団法人 日本ユニセフ協会
公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
認定NPO法人 チャイルドライン支援センター
NPO法人/国連NGO 子どもの権利条約総合研究所
復興構想会議第1次提言「復興への提言」案に対する意見
未曾有の東日本大震災・原発事故に対する復興構想会議の奮闘に心より敬意を表明します。
わたしたちは、これまでの活動経験から、以下の点を第1次提言に盛り込むとともに、復興構想会議の議論のなかに子どもの意見を反映させることを要望します。
<提言>
1.復興の基本的視点の一つとして、子どもの視点、子どもの権利という考えと手法をすえ、国連・児童(子ども)の権利条約の趣旨や規定に基づく子どもおよび家族支援、学校・施設等の再構築、コミュニティ・地域の再生を図り、ユニセフのいう「子どもにやさしいまち」づくりを推進すること。
2.法的基盤として、国連・児童(子ども)の権利条約の趣旨や規定を踏まえ、国レベルでは、「子ども基本法」(仮称)の制定、自治体レベルでは、「子ども条例」(仮称)を制定し、子ども支援、子育て支援を推進すること。
3.復興にあたっては、「子ども・若者ビジョン」の趣旨等を踏まえ、当事者である子どもの意見を聴き、子どもたちも参加して復興することを原則にして(防災を含む)計画をつくり、実施していくこと。
<提言の理由>
犠牲・被災の子どもは非常に多いにもかかわらず、その状況の把握が遅れ、子どもがおかれた状況にふさわしい支援や取り組みが充分になされているとは言いがたい状況が続いています。子どもに対してもさまざまな支援がなされていますが、必要なところに適切に届いていない現状があります。子どもたちが表面的に元気であっても安心してはなりません。子どもたちが受けた心身の傷は計り知れないものがあります。
復旧・復興において、おとなの生活の復旧・復興が優先され、それが実現できれば子どもたちの暮らしが元通りになるかのように思われています。そこでは、子どもはもっぱら救済・保護の対象とされ、子どもの暮らしをおとなとともに復旧・復興する取り組みは国・自治体の施策に充分に反映されていません。また、子ども支援の取り組みにおいても、子どもの声がほとんど聴かれておらず、子どもが意見を出せるような状況にすらないところが多いです。こうしたところに、日本社会における子どもをめぐる問題状況の一端が現れているとも言えます。子どもを単に保護の対象にしてしまう子ども観や取扱い、福祉・教育等の縦割り的な行政あるいは国・都道府県・市町村という階層的な行政の弊害、行政と民間との連携の不充分さ等々。
被災者支援・被災地復興においては、子どもの意見を聴き、子どもたちも参加して推進することが必要です。そのためにも、安心・安全な子どもの居場所の確保、安心して話したり相談したりできるツールや人の確保、遊びや学びの権利の保障をはじめとして条件整備や支援が不可欠です。支援にあたっては、孤児や遺児、障がいのある子どもや多文化の子ども、乳幼児から学齢期の子どもや不登校等の子どもなど、多様なニーズをかかえるすべての子どもに必要な支援がなされることが大切です。それには、子どもの権利を基盤とする法律や条例という新たな法的整備が必要不可欠です。そこでは、国際基準である国連・児童(子ども)の権利条約の趣旨や規定を踏まえることが求められています。