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アドボカシー
(公開日:2022.12.12)

【12月12日はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)デー】誰もが望む世界をつくろう。すべての人に健康な未来を。

 
毎年、12月12日は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC: Universal Health Coverage)デーで、誰もが、どこにいても、お金に困ることなく、質の高い保健・医療サービスを利用できる状態をつくるよう、世界に呼びかける日です。


ウガンダ西部の保健医療施設で受診待ちをするお母さんと子ども

今年のUHCデーのテーマは、「Build the World We Want: A Healthy Future For All(誰もが望む世界をつくろう。すべての人に健康な未来を)」。

「健康への権利」は、すべての人が持つ基本的な人権であるにも関わらず、子どもたちを含む脆弱な立場に置かれた世界の人口の約半数の人たち¹が、最低限の保健医療サービスさえ利用することができていません。

すべての人が、将来にわたって質の高い保健医療・栄養サービスを利用できるようになるには、保健医療施設の改善や、医療に携わる人材の育成などが不可欠です。そして、各国政府が責任を持ち、それぞれの国で保健医療・栄養サービスを提供する体制をさらに強化していく必要があります。

セーブ・ザ・チルドレンも、すべての子どもたちが健康な未来を築いていけるよう、さまざまな国や地域で活動するとともに、日本政府を含む各国政府に対し、保健医療分野への資金拠出と保健システム強化への取り組みの拡充を訴えてきました。

ウガンダの保健医療施設での活動
ウガンダ西部は、子どもの慢性栄養不良率が42%と国内でも高い地域です。また、15歳から49歳の女性の32%が貧血の低栄養状態であり、これは、妊娠期の胎児の発育に影響を及ぼします。

子どもの慢性栄養不良を改善するには、母親の健康、新生児期から乳幼児期にかけて母乳育児を進めることや適切な時期に補完食(離乳食)を子どもに食べさせることなどが重要です。

しかし、各世帯では、ほとんどの人たちが、保健や栄養に関する知識を持たない状況で、早い時期に母乳育児をやめたり、補完食を開始したりする家庭が多くみられます。

加えて、適切な情報やサポートを提供する保健医療施設からのサービスも不足しており、施設の職員と村で活動するボランティアも栄養改善に必要な知識を持っていません。


このような現状を受け、私たちは、保健医療施設の職員や村で活動する保健ボランティアの人たちに対し、栄養に関する研修や、村の保健医療施設での栄養に関する相談窓口の開設を行いました。

研修では、子どもの成長に必要な栄養や補完食に必要な食材とその調理方法の勉強を行いました。また、地方の病院とも連携し、地域の保健サービスの強化を行い、年間で約8,000人の子どもの慢性栄養不良の改善につながっています。


ウガンダ西部にて栄養健診を受ける子ども

アフガニスタンでの保健人材の育成
2021年8月の政変から1年以上が経過したアフガニスタンは、紛争や政情不安、自然災害、新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、さまざまな要因により、深刻な人道危機に陥っています。

特に、深刻な干ばつや、農作物の不作、経済状況の悪化などにより、国内の95%の人々が十分な食料を得ることができておらず²、多くの子どもたちが急性栄養不良に陥っています。

セーブ・ザ・チルドレンは、アフガニスタン北部のバルフ州で、栄養改善のための活動を実施しました。アフガニスタンには、コミュニティに根差して保健栄養活動を行う、地域保健ワーカー(Community Health Worker:CHW)という政府認定のボランティアがいます。

私たちは、バルフ州において、CHWの能力強化のため、特に母子の栄養ケアや家庭での衛生習慣に関する研修を行いました。

CHWは、家庭訪問や地域の集会を通して、研修で学んだ知識を地域の人たちへ伝えました。そのほか、中等度の急性栄養不良の子どもたち200人を特定し、養育者に補完食の作り方を伝える調理実習を行い、出来上がった食事を、その子どもたちへ提供しました。




CHWが中等度の急性栄養不良の子どもを特定している様子

UHC達成おいて特に重要なことは、子どもたちを含む最も脆弱な立場にある人たちに焦点を当てることです。

保健ボランティアや、地域保健ワーカー(CHW)は、こうした人たちと接する機会が多く、公平な保健医療・栄養サービスを届けるうえで不可欠な役割を果たしています。地域の保健医療従事者をサポートすることは、子どもを含むすべての人の健康への権利実現に近づけることにつながります。

セーブ・ザ・チルドレンは、これからも、すべての子どもたちが、必要とする質の高い保健医療・栄養サービスを利用することができるよう働きかけを続けていきます。


(アドボカシー部 島村由香、海外事業部 梛野耕介・清水奈々子)

¹ World Bank and WHO: Half the world lacks access to essential health services, 100 million still pushed into extreme poverty because of health expenses
² Afghanistan: Food insecurity and malnutrition threaten ‘an entire generation’ | | 1UN News

 

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