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アドボカシー
(公開日:2020.11.20)

紛争下では毎日25人の子どもが殺され、重傷を負っている−報告書『殺害と重傷:紛争下の子どもたちへの終わらない権利侵害 』発表

 
2019年に創設100年を迎えたセーブ・ザ・チルドレンは、第一次世界大戦後、敵味方の分け隔てなく子どもたちを支援したエグランタイン・ジェブにより1919年に創設されました。昨年から、紛争下の子どもたちを守ることを訴えるグローバルキャンペーン「Stop the War on Children〜紛争下の子どもを守ろう」 を世界中で展開しています。

セーブ・ザ・チルドレンは、2018年から3年間、紛争下の子どもたちの状況についての報告書を発表してきました。今年は、世界子どもの日である11月20日に最新の報告書『殺害と重傷:紛争下の子どもたちへの終わらない権利侵害(Killed and Maimed: A generation of violations against children in conflict)』を発表しました。




この報告書では、ここ10年で平均すると毎日25人の子どもたちが殺され、あるいは重傷を負ったことが明らかにされています。これらの殺傷の多くが、人口密集地への空爆や砲撃、地雷の使用、そしてその他の爆発性武器の使用によるもので、その結果、家族が離ればなれになったり、何万人もの子どもたちが命を奪われたり、あるいは生涯にわたる傷を負っています。

今、世界では4億2,600万人の子どもたちが紛争地に暮らしており、この人数はこれまでの記録の中で2番目に多い人数です。また、2018年から2019年にかけて、最も激しい戦闘が行われた地域に近接して暮らす子どもたちの人数は、400万人から900万人へと大幅に増加しました。

この報告書と同時に発表された、セーブ・ザ・チルドレン・ドイツによる100年にわたる各地での戦争や紛争の生存者によるフォト証言集『私は生きている:戦争の一世紀を生き延びた子どもたち(I Am Alive: How Children Survived a Century of Wars)』では、第一次世界大戦以降のさまざまな紛争を子ども時代に経験した107歳から生後15日までの人たちの写真やストーリーが紹介されています。

 
バングラデシュ南東部ロヒンギャ難民キャンプで誕生したラジーヤさん(生後15日)

ミャンマー・ラカイン州で2017年に発生した暴力と人権侵害により、多くのロヒンギャの人々がバングラデシュに逃れ難民となりました。写真のラジーヤさんの母親であるジャナトさんも難民となった一人です。

ラジーヤさんが難民キャンプで生まれたとき、体重はわずか2.6キロだったといいます。ジャナトさんも重度の出血に苦しみました。親子は、セーブ・ザ・チルドレンが運営するプライマリー・ヘルスケアセンターで過ごし、その後無事退院しました。しかし、難民キャンプにある家は壊れかけており、生後間もないラジーヤさんにとっては危険な環境です。
「ラジーヤがここ(難民キャンプ)で学べるよう祈っています」とジャナトさんは話します。

紛争下の子どもたちや、紛争の影響を受ける子どもたちを守るために、各国政府や紛争当事者が具体的な行動をとることが重要です。セーブ・ザ・チルドレンは、各国政府に対し以下の3つの分野で行動を起こすことを求めます。

1.国際人道法をはじめとする国際的な基準や規範を遵守すること。
攻撃から教育を守ること、人が集まる地域での爆発性武器の使用を避けること、そして人道支援が妨害無く利用できるようにすることなどが含まれます。

2.子どもに対する権利侵害を犯した加害者の責任(アカウンタビリティ*)を問うこと。
国際的な調査のメカニズムに対して必要な資金と人的資源を投入し、国連による子どもに対する重大な権利侵害の監視報告メカニズムを支援すること、そして、加害者に対し政治的、法律的、経済的な制裁を一貫して課し続けるなどが含まれます。

3.子どもたちを暴力や虐待、搾取などから守り、回復を支援するための具体的な行動をとること。
子どもたちを暴力から守る活動(子どもの保護)への十分な投資を行うこと、そして子どもたちが質の良い教育を受けられることを保障し、平和維持・政治ミッションに子どもの権利の専門家を配置することなどが含まれます。  


『殺害と重傷:紛争下の子どもたちへの終わらない権利侵害』
全文(英語)はこちら
概要(日本語)はこちら

『私は生きている:戦争の一世紀を生き延びた子どもたち』
全文(英語)はこちら

STOP THE WAR ON CHILDREN−紛争下の子どもを守ろう− 特設サイト URL

*アカウンタビリティーは「説明責任」と訳されることが多いですが、ここでは本来の意味である「説明する責任のみならず、結果生じた事象に対する責任をとること」を指しているため、「責任」と訳しています。

 

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