アドボカシー(公開日:2022.11.08)
【報告】国際母子栄養改善議員連盟総会の開催
2022年10月21日、参議院議員会館で「国際母子栄養改善議員連盟」総会が開催されました。昨年12月に開催された東京栄養サミット2021以来、初の開催となった今回の会議では、国会議員や関係各省庁、国際機関、企業、NGOなど多くの関係者が参加し、今井絵理子事務局長の司会のもと、山東昭子会長のあいさつとともに開会しました。
まず、永岡桂子文部科学大臣より日本政府のコミットメントとして2021年9月に設立され、日本の優れた学校給食のノウハウを支援対象国に共有する「学校給食コアリション(School Meals Coalition)」について紹介がありました。
次に、来日中のマムタ・マーティ世界銀行副総裁より、すべての人が保健サービスを受けられ、栄養価の高い食事を摂れるようになることの重要性についてコメントがありました。
続いて、栄養改善への取り組みとして、東京栄養サミット2021や今年8月に開催された第8回アフリカ開発会議(TICAD8)に関する進捗報告が企業および各省庁より行われました。
企業からの報告では、味の素株式会社より栄養不良の二重負荷の解決や子どもの栄養改善、持続可能なフードシステムの構築とアフリカの食料安全保障、日本ハム株式会社(代読)からは食物アレルギーケア、DSM株式会社からは母子栄養改善のための栄養補助食品や栄養強化食品について、それぞれの取り組みが紹介されました。
省庁からは、外務省や財務省、厚生労働省、農林水産省、文部科学省、国際協力機構(JICA)より報告がありました。
外務省からは、東京栄養サミット2021の結果が報告されるとともに、次回のフランス栄養サミットに向けた成果の引き継ぎの重要性、またTICAD8のチュニス宣言の概要が共有されました。加えて、日本政府の栄養関連支援事業につき、最近の事例が紹介されました。
財務省からは、途上国の栄養改善に向けた世界銀行のSUN(Scaling Up Nutrition)信託基金や、女性・子ども・青少年のためのグローバル・ファイナンシング・ファシリティ(Global Financing Facility)への拠出について紹介がありました。
厚生労働省からは、産官学などの連携による国内の食環境の推進と世界の人々の健康寿命の延伸、活力ある持続可能な社会の実現を目指して2022年3月に立ち上げられた「健康的で持続可能な食環境戦略イニチアチブ」に関する紹介がありました。
農林水産省からは、開発途上国・新興国の人々の栄養改善に取り組みつつビジネス展開を目指す食品企業を支援する「栄養改善事業推進プラットフォーム(NJPPP)」を通した栄養改善について紹介があり、アジア5ヶ国で行われた職場給食の栄養改善プロジェクトについて報告がありました。
文部科学省からは、日本政府のコミットメントとして2021年9月に設立され、日本の優れた学校給食のノウハウを支援対象国に共有する「学校給食コアリション(School Meals Coalition)」の詳細が紹介されたほか、国内の子どもたちの栄養確保や学校給食を通した取り組みに関して報告されました。
JICAからは、日本発の「食育」の経験を共有し、学校給食の改善を支援する協力事例が紹介されました。
日本栄養士会会長の中村丁次氏、健康食品産業協議会会長の橋本正史氏からもコメントがあり、中村氏からは、学校給食や栄養の人材養成を行いながら戦後劇的な栄養改善を遂げた日本の歩みを振り返り、栄養教育の重要性が強調されました。
橋本氏からは、健康食品産業協議会の役割の紹介とともに、世界最先端の栄養機能食品について、安全性、品質、流動性が担保されることで国民の健康維持・増進に役立つといったことが述べられました。
最後に、自見はなこ内閣府大臣政務官のあいさつで閉会となりました。
来年の4月に開庁されるこども家庭庁における栄養・保健・教育との関連性について、厚生労働省子ども家庭局母子保健課、健康局とともに成育基本法の所管が子ども家庭庁に移ることになり、また、この法律のもとでは、子どもたちと保護者、妊産婦に必要な医療、教育、福祉が提供されることが示され、こども家庭庁が栄養政策についてもしっかりと取り組んでいくことが約束されました。
この会議は、栄養改善のための多様な取り組みについて、関係者から進捗報告がなされるとともに、今後の取り組みについて共有される機会となりました。
セーブ・ザ・チルドレンも引き続き、すべての子どもの栄養改善に向けた取り組みを進め、東京栄養サミット2021で示されたコミットメントのフォローアップを行っていきます。