アドボカシー(公開日:2020.10.01)
新型コロナウイルス感染症 さらに50万人の少女が児童婚の恐れ−報告書『世界ガールフットレポート2020:新型コロナウイルス感染症が世界中の少女に及ぼす影響』発表
セーブ・ザ・チルドレンは、1995年に開催された第4回世界女性会議*で「北京宣言・行動綱領」が採択されてから25周年(北京+25)を迎える今年、報告書『世界ガールフットレポート2020:新型コロナウイルス感染症が世界中の少女に及ぼす影響(Global Girlhood Report2020 How COVID-19 is putting progress in peril)』を発表しました。
報告書では、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)がもたらす経済的影響により、今年中にさらに50万人の少女が児童婚を強いられる恐れがあると指摘しています。また、年内にさらに100万人の少女が妊娠する可能性があることも示されています。
児童婚については、これまでに、今年中に1,200万人の少女が結婚を強いられるという予測もありましたが、この数値にあわせて、さらに50万人が今年中に結婚を強いられるという結果になっています。
くわえて、報告書では、次のことが明らかになっています。
報告書では、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)がもたらす経済的影響により、今年中にさらに50万人の少女が児童婚を強いられる恐れがあると指摘しています。また、年内にさらに100万人の少女が妊娠する可能性があることも示されています。
児童婚については、これまでに、今年中に1,200万人の少女が結婚を強いられるという予測もありましたが、この数値にあわせて、さらに50万人が今年中に結婚を強いられるという結果になっています。
くわえて、報告書では、次のことが明らかになっています。
• 過去25年間で7,860万件の児童婚が未然に防げたが、新型コロナウイルス感染症の発生前の時点で児童婚の根絶に向けた動きはすでに鈍化していた。
• 利用できるデータは限られているものの、紛争や自然災害、疾病の流行などの人道危機の影響を受ける少女が、児童婚の最大の危険に直面している。児童婚率が最も高い10ヶ国のうち9ヶ国は、脆弱国家と見なされている国々である。
• 新型コロナウイルス感染症による学校閉鎖で16億人の子どもたちの教育が中断された。そして、エボラ出血熱流行時の状況から少女には就労へのプレッシャー増大や児童婚のリスク、妊娠中の少女の通学禁止、学習機会の喪失により、多くの少女が復学することはないと考えられる。加えて、遠隔学習の選択肢がない少女は特にそのリスクが高くなる。
• ジェンダーに基づく暴力は、新型コロナウイルス感染症発生前から広く起こっており、世界では少女の10人に1人が、現在または以前の交際相手や、現在または元配偶者からのレイプや性暴力を経験していると推定されている。また新型コロナウイルス感染症により、世界中でジェンダーに基づく暴力の報告が増加している。
• 国連は、今後10年間でさらに200万件の女性性器切除(FGM:Female Genital Mutilation)が、新型コロナウイルス感染症パンデミックの結果起こると予想しており、それによる大半の影響を被るのは、14歳未満の少女である。
インド・ビハール州に暮らす16歳のスニータさんは、12歳の時に学校を退学し結婚を強いられました。現在、村で児童婚反対を訴え、地域で少女の権利について啓発を行うイベントに参加しています。
「ある日、親戚が何人か来る予定だと言われました。その時初めて、自分が結婚することを知りました。私は、まだ幼く友だちと一緒に学校にも通っていたため、本当に恐ろしい気持ちになりました。そして、その瞬間、私の夢はすべて打ち砕かれました。私と同年代の少女全員に伝えたいことは、結婚を先延ばしにし、夢を叶えるために必要なことは何でもやりなさいということです。」
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長インゲル・アッシンは次のように訴えます。
「新型コロナウイルス感染症パンデミックで、より多くの家族が貧困に陥り、たくさんの少女が家族を支えるために働き、食事も無いまま過ごし、そして、病気になった家族を世話する役目を負い、退学を余儀なくされています。一度退学をした少女が復学する可能性は、男子よりもはるかに低くなっています。
特に人道危機においては、暴力や性的搾取のリスクが高まることは、食料不足や経済不安の深刻化と相まって、多くの親を、自分の娘を非常に年上の男性と結婚させるしかないと感じさせてしまいます。児童婚は、少女の権利を侵害し、うつ状態や生涯にわたり暴力を受けるリスク、身体への影響、そして出産による死の危険をも増大させます。
毎年およそ1,200万人の少女が結婚し、うち200万人は15歳の誕生日を迎える前に結婚しています。今年だけでもさらに50万人の少女たちが、こうしたジェンダーに基づく暴力にあう危険に晒されています。50万人という人数は、私たちが把握できている範囲の数値であり、氷山の一角に過ぎないと考えられます。
パンデミックにより、ジェンダーに基づく不平等がさらに悪化し、過去数十年でようやく手にしてきた進歩を覆す可能性すらあることに疑いの余地はありません。私たちは、何としてでもこれ以上状況を悪化させてはなりません。
各国の指導者は、少女たちが教育をはじめ人生を変える機会を逃さないよう、この世代の少女たちを守るために団結すべきです。そして、自らの選択で未来を描き進んでいけるように少女たちは意思決定に加わるべきです。」
■報告書『世界ガールフットレポート2020:新型コロナウイルス感染症が世界中の少女に及ぼす影響』(全文、英語)はこちら
■概要(日本語)はこちら
*世界女性会議:女性の人権や社会的地位をテーマに、女性の地位向上を目指して開催される国連の会議。1975年、国連の「国際婦人年」を記念してメキシコで第1回会議が開催された後、5年に一度開催されてきたが、1995年に北京にて第4回会議が開催された以降、開催されていない。アジアで初めて開催された北京会議ではNGOも活発に議論に参加し、ジェンダー、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)などといった観点を盛り込んだ「行動綱領」と「北京宣言」が採択された画期的な会議となった。