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アドボカシー
(公開日:2017.06.01)

【2017 年世界子どもレポート】「奪われた子ども時代(Stolen Childhood)」を発表しました

 
61日の国際子どもの日に、セーブ・ザ・チルドレンは、世界の子どもたちの現状を伝える、2017 年世界子どもレポート「奪われた子ども時代」を世界各国で発表しました。子どもたちが人生において、育ち、学び、遊ぶために安全に過ごせるべきである子ども時代が、どのような「子ども時代を奪う要因(Childhood Enders)」により奪われてしまうのか問題提起しています。不十分な保健サービス、紛争、激しい暴力、早すぎる結婚・妊娠、栄養不良、教育を受けられないこと、児童労働等がそうした要因としてあげられています。


特に、性別や民族などその子どもが「誰であるか」、あるいは「どこに住んでいるか」により、特定のグループに所属する子どもたちが排除されていることを問題視しています。持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、そういった最も取り残された子どもたちを優先して、子ども時代を奪う要因に立ち向かう必要性があると、私たちは本レポートで強調しています。

また、本レポートでは、どの国の子どもたちが、子ども時代を十分に過ごせているか、あるいは奪われているかを評価した「子ども時代が守られている国ランキング」を発表しています。その指標は5歳未満児の死亡率、発育阻害にある子どもの割合、学校に通っていない子どもの割合、児童労働に従事する子どもの割合、結婚している少女の割合、少女の出産率、紛争により家を追われた子どもの割合、そして子どもの殺害被害率です。172ヶ国を対象としたこのランキングの1位はノルウェーとスロベニア、最下位(172位)はニジェール、日本はスイスと並び16位でした。

日本はランキングで16位となり、上記の指標においては、上位の国々との差はわずかで、日本の子どもたちの子ども時代は総体としては守られていると言えます。しかし、このランキングは、あくまでも世界の中での子どもたちの状況を浮き彫りにするためのものであり、日本の子どもたちの置かれた状況に課題がないわけではありません。日本においても、子どもの6人に一人が相対的貧困の状態にあり、児童相談所における2015年度の児童虐待相談対応件数が過去最高となっています。これは、日本も批准している国連子どもの権利条約で保障されている、生活水準への権利(第27条)や、虐待・放任からの保護(第19条)が守られていない状況と言えます。

子ども時代が奪われないまでも、子どもの健やかな成長が阻害される要因となる課題が多くある一方で、子どもの権利の保障に対する日本社会の理解はまだ不十分です。まずは大人が、子どもの権利を守り、子どもが健やかに成長できる社会を築くことに、コミットしなければなりません。

<提言>
世界中のすべての子どもたちが子ども時代を充分に過ごせるように、セーブ・ザ・チルドレンは各国政府に対して、以下のような提言をしています。

【1】分野横断的な提言
1) 子どもたちに投資すること

2) すべての子どもたちが公平に扱われることを保障すること

3) その子どもの背景や出身に関わらず、すべての子どもを考慮し、データに取り入れること

【2】個別具体的な課題に対する提言
1)政府による質の高い保健・栄養サービスの提供を行い、予防可能あるいは治療可能な原因によって命を落とす子どもをなくすこと

2)国際保健総会(WHA)において定められた国際栄養目標達成に向けて各国が栄養に関する国家目標を持ち、栄養不良により未来を奪われる子どもをなくすこと

3)すべての子どもたちに、衡平かつ安全で質の高い教育を受ける機会を与えること

4)社会慣習を改善し、また、良質な情報やサービスへのアクセスを確保し、結婚や妊娠によって子ども時代を奪われる子どもをなくすこと

5)行政上の対策を構築し、また、各家庭の所得増加を促進することにより、暴力や児童労働によって命を落とす子どもや若者をなくすこと

これらの提言を政府に届けるために、セーブ・ザ・チルドレンは全世界において同時に署名活動を行っています。署名はこちらの特設ページからお願いします。

2015年、世界のすべての国々が、SDGs2030年までに達成することを合意しました。SDGsは、すべての子どもたちが保健、教育にアクセスでき、そして守られる権利、言い換えれば「子ども時代を過ごす権利」を享受する未来を描いています。特に重要なのは、この目標に合意した各国のリーダーは、所得、地域、性別、アイデンティティに関わらず、社会のあらゆる階層・グループにおいて、SDGsが達成されることを約束している点です。さらに、最も取り残された人々、つまり社会で最も排除された人々をまず優先することも約束したのです。

この「誰一人取り残さない」という約束こそ、守られなくてはならない約束です。その約束が守られてこそ、私たちは世界中の何百万人もの子どもたちの人生を変革する可能性を実現し、最後の一人の子どもまで、子どもたちが享受するべき子ども時代を保障することができるでしょう。

レポート全文(英語)はこちら
レポート概要(日本語)はこちら
「奪われた子ども時代」の特設ページ(動画、署名)はこちら


 

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