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アドボカシー
(公開日:2020.10.09)

10月11日国際ガールズ・デー 紛争が少女たちを児童婚に追いやる〜紛争下の子どもを守ろう

 
毎年10月11日は、国連により国際ガールズ・デー(International Day of the Girl Child)として定められています。また、世界が2030年までの達成を目指す、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)では、女性や少女を含むすべての人がジェンダーに基づく差別を受けないことを目指し、「ジェンダー平等の実現」が目標5として設定されています。


サフィヤは14歳の時に、ナイジェリア北東部の武装勢力から誘拐され、花嫁として連れて行かれました。
彼女の息子フセインはその強制的な結婚から生まれました。

このように国際ガールズ・デーやSDGsの目標5が設定されている背景には、少女たちが「女の子である」ということを理由に、生きていくうえでさまざまな影響を受けている現状があります。とりわけ紛争下においては、少女たちの困難はますます大きくなります。

セーブ・ザ・チルドレンが今年2月に発表した報告書『子どもに対する戦争を止める2020:ジェンダーと紛争』は、ジェンダーの違いに着目し、性暴力など少女たちが受けやすい被害・暴力について明らかにしています。なかでも個々の少女の人生に非常に大きな影響をもたらす暴力の一つに児童婚があります。

世界では、毎年1,200万人の少女たちが、貧困などを理由に18歳未満での結婚を強いられており、新型コロナウイルス感染症によってさらに50万人の少女が児童婚の恐れに直面しています(注1)。特に、紛争など人道危機にある少女たちが最も高いリスクにさらされています。児童婚の割合の最も高い10ヶ国のうち、9ヶ国が紛争などに見舞われている最も困難な地域です。

また紛争から逃れて難民となった少女たちの児童婚も大きな問題となっています。例えば、レバノンで暮らす150万人のシリア難民の家族の約半数は、生活に必要な最低限のニーズを満たすことができない貧困状態にあり、このような環境下で少女たちの児童婚の割合が高まっています。レバノンの児童婚の割合は6%と周囲の諸国よりも低いレベルにとどまっているにも関わらず、レバノンに逃れてきたシリア難民の女性のうち、40%が児童婚をしていることが明らかになっており、かなり高い割合となっています

児童婚が少女たちの人生にもたらす影響
下の図からわかるように、児童婚により少女たちの人生にはさまざまなマイナスの影響がもたらされます。



結婚している少女たちの大半は教育を受けられておらず、また、生計手段を夫や婚姻関係にある男性に頼っており、経済的にも個人としても自立することができません。またこのような関係は、少女たちへのジェンダーに基づく暴力の危険性を高めます。思春期で妊娠をしている少女の多くは結婚をしていますが、早期の妊娠や複数回の妊娠は、妊産婦死亡や障害、さらにはうつ病や自殺を招くなど、少女たちの心身の健康への被害を高める要因となります。

児童婚を終わらせるために
このような少女たちの人生に大きなマイナスの影響をもたらす児童婚を終わらせるために、すでに結婚している少女を支援(注2)し、彼女らが自分たちの権利を認識できるようにすることをセーブ・ザ・チルドレンは提言しています。

そのために、法の改正、多分野にわたる国家行動計画の策定と実施が必要です。また児童婚を含むジェンダーに基づく暴力の原因となっている、有害なジェンダー規範を変えるために、少女たち自身、そして地域社会とともに取り組むことが求められます。
 
今年の国際ガールズ・デーのテーマは、“My voice, our equal future (私の声、私たちの平等な未来)”です。少女たちの声がかき消されることなく、その権利が守られることを世界が再度確認し、児童婚をはじめとするあらゆる形態の暴力をなくし、紛争下であっても少女たちが平等な未来を獲得できるようセーブ・ザ・チルドレンは少女たちとともに取り組んでいきます。

グローバル・キャンペーン「STOP THE WAR ON CHILDREN(SWOC)紛争下の子どもを守ろう」についてはこちら

(注1)2020年10月発表:報告書『世界ガールフットレポート2020:新型コロナウイルス感染症が世界中の少女に及ぼす影響』

(注2)結婚前もしくはすでに結婚している少女たちに適切な支援を届けるため、特に児童婚の割合が高い国における児童婚に関するデータを早急に集める必要があります。通常、児童婚に関するデータは、4年から10年ごとに収集されていますが、今、支援を必要としている少女たちを救うためには、より早いスピードでデータを収集する必要があり、これに向け国連人権理事会は、新たなオンラインのプラットフォームをつくり行動を開始していますが、より広範な調査とデータ収集、データ共有が求められます。

 

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