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アドボカシー
(公開日:2024.02.01)

【開催報告】第3回自治体職員向け勉強会「子どもの権利条例と子どもの最善の利益〜制定プロセスに子どもの声を聴き、活かすには〜」を開催しました

 

20234月にこども基本法が施行され、1994年に日本政府が子どもの権利条約を批准後初めて子どもの権利を擁護するための包括的な法律ができました。また202312月に閣議決定されたこども大綱では、子どもを権利の主体とし、子どもや若者の視点や権利を主流化し、権利を基盤とした施策を推進することが明記されています。このような画期的な動きを受け、全国の自治体においても子どもの権利の推進および子ども参加の仕組みの構築と実践がますます求められています。

セーブ・ザ・チルドレンでは、こうした動きを踏まえ、「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」の後援を得て、子どもの権利の理念に基づく自治体レベルでの施策を確固なものとするための子どもの権利条例の制定、およびその制定プロセスへの子どもの意見聴取をテーマとした勉強会を、2024116日に開催しました。今回の勉強会には、対面とオンラインでの参加を合わせ、約50の自治体から約90人の行政職員、地方議員が参加しました。





当日は、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー部長堀江由美子より冒頭あいさつが述べられたのち、東京経済大学現代法学部教授の野村武司氏より、「子どもの権利条例の意義と普及に向けた課題」、川崎市こども未来局青少年支援室子どもの権利担当課長の佐藤直子氏より、「川崎市子どもの権利に関する条例と条例に基づく取組について」と題した講演がありました。その後、富士市こども未来部こども未来課調整主幹の伊藤真也氏、武蔵野市子ども家庭部子ども子育て支援課長の吉村祥子氏、市民団体「江戸川子どもおんぶず」代表の大河内秀人氏より、各自治体での条例制定プロセスにおける子ども参加の取り組みについての報告がありました。続いて、報告者を交えたパネル・ディスカッション、参加者からの質問に基づく質疑応答を行いました。




東京経済大学の野村教授からは、子どもの権利条約に規定される子どもの権利の内容、こども基本法の下で自治体に期待される役割やそれを遂行する体制を整えるための総合条例の必要性、子どもの権利の普及・啓発のためには大人の側の子どもの権利に対する理解が重要であることなどの話がありました。



続いて、川崎市の佐藤課長からは、今年度で施行から23年目を迎える「川崎市子どもの権利に関する条例」の制定の背景、子どもを含む延べ10万人が関与した約2年間にわたる制定プロセス、条例に基づくプレイパークの設置や子ども会議の開催を含む諸事業、庁内での意思統一や子どもの権利救済の実効性確保などの条約の成果などについてのお話がありました。



個別自治体・市民団体からの報告の中では、アンケート、インタビュー、ワークショップ、パブリックコメントを含むさまざまな子どもからの意見聴取方法や子どもの声を条例に反映する際の留意点などについて、それぞれの自治体における状況に照らして経験・課題が共有されました。

 

続くパネル・ディスカッションでは、条例の検討開始段階における子どもの権利に対する理解を含む地域資源や首長のイニシアティブの重要性、不登校やニート(若者無業者)などの子ども・若者のいる施設に出向くなど、あらゆる子どもたちから意見を聴くための対応策、子どもの声をそのまま条例に盛り込むことの困難やそれを実現するための工夫、条例に規定される子どもの権利が形骸化されないための権利救済機関の独立性や体制のあり方などについて意見交換が行われました。

 

勉強会実施後のアンケートでは、「よりよい形で価値ある条例を作り上げたいという、関わる方々のあつい情熱があっての制定であり、その後、その情熱をいかに後継者に伝え、さらに啓蒙活動など継続させていくかが大切であると感じました」、「担当者自ら子どもの居場所に出向き、コツコツとインタビューをする、その精神が子どもの信頼を得ており、それがあるからこそ子どもが本音で答えてくれるのではないか」といった声が寄せられました。一方、「制定後の周知や子どもの意見聴取など、様々な業務を実施するにあたってのマンパワー不足を感じております」、「子どもに意見を聴くには、前提として理解してもらうことが必要ですが、子どもの権利という難しい概念を伝えることに苦労しました」といった条例の制定・実施に子どもの声を取り入れていくことに関する現場の課題や困難も伺えました。

アンケート結果について、詳しくはこちらから。

 

国はこども大綱の中で、自治体こども計画の策定推進に対する支援とともに、条例の策定状況についての「見える化」を進めるとしています。セーブ・ザ・チルドレンでは、子どもの権利条例制定を含む自治体での取り組みについて、国に対してさらなる情報提供や人的・財政支援に関する提言を行うと同時に、自治体に対しても引き続き情報提供や意見交換の場づくりを含め、支援を提供していきたいと考えています。 



【お問い合わせ】

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー部(担当:山内、村上)

メールアドレス:japan.advocacy@savethechildren.org

TEL:03-6859-0015(平日9:3018:00 FAX:03-6859-0069














 


 

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