アドボカシー(公開日:2020.09.16)
新型コロナウイルス感染症への対応−すべての子どもの社会的保護の権利の実現に向けて
セーブ・ザ・チルドレンは、2020年7月の「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム2020(HLPF2020)」での新型コロナウイルス感染症と持続可能な開発目標(SDGs)に関する議論に向けて、新型コロナウイルス感染症拡大がSDGs達成や子どもに与える深刻な影響への取り組みとして、社会的保護の拡充の重要性を訴える報告書を作成しました。
「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム2020(HLPF2020)」は、国連加盟国政府、国際機関、市民社会などが参加し、SDGsの進捗や課題について議論する国際会議です。2016年から毎年開催されており、今年は7月7日から16日にかけて開催されました。
世界人口における子どもたちの割合は3分の1以下であるにもかかわらず、絶対的貧困下に暮らす人の半分は子どもです。セーブ・ザ・チルドレンとユニセフ(国連児童基金)による新しい調査では、緊急対策を行わなければ、2020年末までに低・中所得の国に住む貧困世帯の子どもの人数が1億100万人〜1億600万人まで急上昇する可能性が指摘されています。
これまでも、貧困下で子どもたちは5歳未満で死亡するリスクや、身体的・認知的な発達を阻害する栄養不良といった問題に直面してきましたが、新型コロナウイルス感染症はこれまでにあった格差をさらに拡大し、障害のある子ども、思春期の少女、難民、移民、国内避難民を含む最も貧しく、社会から取り残された子どもたちがさらに深刻な状況に陥ることが予想されています。
多くの科学的根拠から、幼少期に貧困下で暮らした子どもたちは、大人になってからも貧困下で暮らす可能性が高いことがわかっており、世代を超えた貧困の連鎖が危惧されています。そして、新型コロナウイルス感染症拡大による貧困世帯の増加は、世代間の貧困の連鎖をさらに深刻化させています。
そのため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標1「貧困をなくそう」の達成が難しくなるだけでなく、相互に関連するSDGsの各目標に対しても影響を及ぼし、SDGs達成が先延ばしされることが予想されます。
この危機的状態に対応するための重要な方策が社会的保護です。新型コロナウイルス感染症によって、社会的保護の重要性は世界中で認識され、2020年6月12日時点で195ヶ国・地域が社会的保護に関するプログラムを計画、導入、もしくは採用することを決めています。
その具体的な方法として多く用いられるのが現金給付です。世帯収入を調査し、その結果に応じて貧困下の子どもを特定することは困難ですが、一律給付による児童手当は、どのような状況下の子どもも取り残さないことが多くの調査から確認されています。
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの社会的保護への投資の合理性を、以下の4つの根拠をもとに示しています:
・現金給付は子どもの死亡率低減に効果がある。
・幼少期の現金給付は慢性的な栄養不良を予防できる。
・現金給付によって子どもが教育を受けることができる。
・現金給付は児童婚や児童労働を含む、さまざまな子どもの問題の発生を阻止できる。
これまでも、貧困下で子どもたちは5歳未満で死亡するリスクや、身体的・認知的な発達を阻害する栄養不良といった問題に直面してきましたが、新型コロナウイルス感染症はこれまでにあった格差をさらに拡大し、障害のある子ども、思春期の少女、難民、移民、国内避難民を含む最も貧しく、社会から取り残された子どもたちがさらに深刻な状況に陥ることが予想されています。
多くの科学的根拠から、幼少期に貧困下で暮らした子どもたちは、大人になってからも貧困下で暮らす可能性が高いことがわかっており、世代を超えた貧困の連鎖が危惧されています。そして、新型コロナウイルス感染症拡大による貧困世帯の増加は、世代間の貧困の連鎖をさらに深刻化させています。
そのため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標1「貧困をなくそう」の達成が難しくなるだけでなく、相互に関連するSDGsの各目標に対しても影響を及ぼし、SDGs達成が先延ばしされることが予想されます。
この危機的状態に対応するための重要な方策が社会的保護です。新型コロナウイルス感染症によって、社会的保護の重要性は世界中で認識され、2020年6月12日時点で195ヶ国・地域が社会的保護に関するプログラムを計画、導入、もしくは採用することを決めています。
その具体的な方法として多く用いられるのが現金給付です。世帯収入を調査し、その結果に応じて貧困下の子どもを特定することは困難ですが、一律給付による児童手当は、どのような状況下の子どもも取り残さないことが多くの調査から確認されています。
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの社会的保護への投資の合理性を、以下の4つの根拠をもとに示しています:
・現金給付は子どもの死亡率低減に効果がある。
・幼少期の現金給付は慢性的な栄養不良を予防できる。
・現金給付によって子どもが教育を受けることができる。
・現金給付は児童婚や児童労働を含む、さまざまな子どもの問題の発生を阻止できる。
また、社会的保護は、出生登録の増加、ワクチン投与を受ける子どもの増加といった副次的な効果も期待されることが私たちのこれまでの支援活動などから確認されています。
子どもの権利を実現し、SDGs達成に向けて責任をもって取り組みを進めていくためにも、セーブ・ザ・チルドレンは、各国政府をはじめとして、国際金融機関や国連機関、市民社会、学術、民間セクターに対して社会的保護が果たす中心的な役割を認識することを求め、以下を提言しています:
・緊急対策として子どもとその家族への社会的保護の保障範囲の拡大
・政府やドナー国による社会的保護政策やプログラムへの積極的な後押し
・政府による危機的状況における保健・栄養サービスの利用者負担撤廃の支援
・多様な分野や組織との協働による紛争の影響を受けた脆弱な世帯への緊急人道支援の実施
・国家貧困削減戦略、政策、プログラムにおける子どもの貧困に関する定期的な測定と明確な優先化
・社会経済グループ間の格差がどのようなペースで変化しているかなど、格差の動向に関する報告
・貧しい国々の社会的保護制度の構築を支援する世界社会的保護基金の創設と財政的支援
提言を含む社会的保護に関する報告書『この世代を守るために、すべての子どもの社会的保護への権利の重要性を再確認する』
報告書 日本語訳
報告書 英語