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アドボカシー
(公開日:2020.09.29)

活動報告:9月9日教育を攻撃から守るための国際デーに参加型オンラインイベントを開催しました

 
今年、国連総会で9月9日を「教育を攻撃から守るための国際デー」とすることが全会一致で採択されました。セーブ・ザ・チルドレンは、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチとともに、この国際デーにあわせ「教育を攻撃から守る国際デー 参加型オンラインイベント 紛争下の教育を攻撃から守ろう〜写真や数値を見て、あなたはどう考えますか〜」を開催しました。


イベントには、180人を超える高校生から社会人が参加し、各発表を通して、参加者とともに教育への攻撃について学び、どのようにしたら子どもの権利を実現できるかを考えました。

私たちが2019年より実施しているグローバルキャンペーン「STOP THE WAR ON CHILDREN 紛争下の子どもを守ろう」(SWOCキャンペーン)でも、国際法や国際的な基準を遵守し、すべての子どもたちの安全を確実に守るべきであることを強く訴えています。なぜなら、実際には世界の多くで、本来守られるべき教育機関や子どもたちが紛争の犠牲になっているからです。

開会の挨拶で、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン事務局長三好は、教育はあらゆる子どもの権利の中でも最も重要な権利の一つであり、すべての子どもたちが有する権利であること、しかし、世界各地、特に紛争地域でこの権利が奪われていること、そして本イベントを通して紛争から遠い日本の私たちの責務について理解や議論を深める場になることを期待していると話しました。

続いて、国連や国際機関、国際NGOから紛争下の教育を守ることについてその重要性や、そのための取り組みなどに関して発表がありました。

■「教育を攻撃から守るための国際デー」採択の背景とSDGs:
国連広報センター所長 根本 かおる氏


ゲストスピーカーのトップバッターである国連広報センター所長の根本かおる氏より、まずは、国際デー採択にいたるまでの歴史・背景や国連の取り組みについて包括的な話がありました。

根本氏は、国連創設75周年、SDGs達成のための「行動の10年」がスタートしたこの大切な節目の年に、国際デーが宣言されたことをとても喜ばしいとし、教育が基本的な人権であると同時に、SDGsのすべての目標の達成に向けた進展を促進するものであることを強調。

紛争の影響下にある子どもたちにとって学ぶことはほぼ唯一の心の拠り所であり、学校が攻撃され、教育システムが崩壊すれば、平和で、繁栄した、持続可能な未来を築くことはできないと強く訴えました。

■写真と数値から見る「攻撃される学校と生徒たち」(Education Under Attack2020より):
セーブ・ザ・チルドレン アドボカシー室川口


セーブ・ザ・チルドレンアドボカシー室の川口は、最新の報告書『攻撃される学校と生徒たち(Education Under Attack2020)』をもとに、2015年から19年にかけて、世界92ヶ国で1万1,000件以上の教育への攻撃や教育施設の軍事利用があり、2万2,000人以上の教師や生徒、教育関係者が殺害される、傷つけられる、拉致や逮捕、拘束・拘留されるといった現状を伝えました。また、統計データにくわえて、紛争下の子どもたちや教育関係者の体験談も紹介し、教育への攻撃の実態を詳しく説明しました。

■国際人道法の遵守に向けて:
赤十字国際委員会(ICRC)政治・政策顧問 榛澤 祥子氏




赤十字国際委員会の榛澤祥子氏からは、国際人道法がどのように紛争下の子どもの教育を守るための枠組みであるか、国際法の仕組みも含め図版や事例を使用した解説がありました。また、紛争下において順守されるべき国際人道法が実際に守られていない現状に対し、ICRCは紛争当事者に粘り強く働きかけるなど活動を行っていることも紹介されました。

■国内の機運を高めるために〜「学校保護宣言」:
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)日本代表 土井 香苗氏


ヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗氏からは、国際的な政治宣言である「学校保護宣言」がどのように誕生し、発展してきたかについて背景事情とともに解説がありました。また、その解説の中で、学校が軍事利用される原因や子どもたちに及ぼす影響についての説明もありました。

そして、現在(2020年9月9日時点)105ヶ国が支持する「学校保護宣言」を日本政府が支持していない現状に対し、高校生や、NGOをはじめとする市民団体が協力してが協力して「紛争下の子どもの教育を守るために政治を動かそう」と取り組む様子を紹介しました。最後に、「私たち一人ひとり、必ずできることがあります」という参加者の背中を押すような力強いメッセージがありました。

■SWOCキャン―ペーンを国内で推進するユース:
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンStop the War On Children(SWOC) ユース
 国際基督教大学1年 朝倉凜花さん


セーブ・ザ・チルドレンSWOCユースチームで活動する大学1年生の朝倉凜花さんは、国内で紛争下の子どもの教育を守るために取り組んでいる自身の活動を紹介しました。
朝倉さんは、今年4月に教育協力NGOネットワーク(JNNE)が主催するSDG4教育キャンペーンに参加した際に、同じく参加者であった小学5年生から大学生1年生までのユースたちから「教育は生きるために必要である」、「世界中の子どもたちの可能性は家計や環境に邪魔されるべきではない」といった声があったことを紹介しました。

また各政党に対する政策提言の経験をもとに、「自分は未熟だと不安だったが、活動する中で、まず行動を起こせば行動をしながら学んで行けると気付いた」と振り返りました。そして、「学生には資金も経験も少ないが、学生も社会を変革できる一員であり、学生にしかできないこともある」と述べ、今回のイベントに参加した教育を守る活動に関心を持つ若者の背中を押すようなメッセージもありました。



最後に、閉会にあたり、小熊慎司衆議院議員矢倉かつお参議院議員より、イベント全体での議論を踏まえた決意表明がありました。
小熊議員からは、「子どもたちを戦争の犠牲や標的にしてはならない、学校の戦場化は許してはならない」という姿勢を日本政府が明確にする大切さについて話がありました。矢倉議員は、教育が人権や未来の基盤であること、若い人の声には他者の幸せのために自分は何ができるのかという使命感があり「若い世代の声にこそ課題解決の力がある」と述べ、政治が呼吸を合わせていく必要があること、そして、一人が決意を持てば世界は変わっていくとの言葉もありました。

終了後の参加者アンケートでは、次のようなコメントが寄せられました。
「世界の市民として私にもできること、しなければならないことがあると改めて気づくことができた」
「同じ大学生が実際にさまざまな行動を起こしている点が印象に残った」
「実際の数値を知ることで、いかに教育への攻撃が深刻なものであり、すぐにでも解決されるべき問題であるかが分かった」
「日本の報道では描写されない現状を知る事ができた」
「実際に議員の方が政策にどう生かしていきたいか、どう行動していきたいと考えているか知ることができて良かった」

各登壇者の発表、また参加者からのコメントを受け、セーブ・ザ・チルドレンは国内外のステークホルダーとともに、紛争下の教育や子どもたちを守るための活動を引き続き推進していきます。
■グローバルキャンペーン「STOP THE WAR ON CHILDREN 紛争下の子どもを守ろう」特設サイトもぜひご覧ください>>

【活動報告を執筆したインターンからの後記】
私自身も現在参加しているSWOCユースの活動などを通し、すでにこのような課題に関心を持っている方だけではなく、今こういった課題について触れる機会が少ない人たちにも関心を持ってもらえるよう、ユースだからこそできる行動を起こしていきたいと考えています。

(執筆:セーブ・ザ・チルドレン アドボカシー室インターン/SWOCユースチーム 山口彩恵)

 

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