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アドボカシー
(公開日:2023.04.04)

【ポジションペーパー】「子ども予算」は、子どもをまんなかに、子どもを対象に―「子ども予算倍増」の議論に関するセーブ・ザ・チルドレンの考え方

 

20234月から子ども基本法が施行され、こども家庭庁も発足し、政府による子どもの権利・利益の保護・促進に向けた取り組みが本格化します。

 

それに合わせて2023331日には、小倉こども政策担当大臣により「こども・子育て政策の強化について(試案)」が発表され、その内容として盛り込まれた「こども・子育て支援加速化プラン」で、新たに児童手当の拡充、ひとり親世帯を含む子育て世帯への住宅支援強化、学校給食の無償化に向けた課題の整理や高等教育にかかる学費負担の軽減策などが含まれました。

 

セーブ・ザ・チルドレンは、これらの取り組みを歓迎するとともに、教育の私費負担のさらなる削減や低所得世帯に的を絞った対策、虐待・体罰等防止のための啓発活動などについても強化されることを求めます。また、このような動きを確固としたものにするためには、政府の各種取組みが十分な予算措置によって支えられる必要があります。

 

政府は今年6月をめどに、子ども予算倍増に向けた大枠を示し、財源に関する議論と合わせたうえ、政府試案/「加速化プラン」に盛り込まれた施策に関する検討をさらに進めるとしています。

 

施策の検討にあたって、私たちは、子どもの権利の保障を中心に据えた検討が重要だと考えます。

 

少子化対策や子育て支援という「大人からの視点」に加え、子どもが生まれながらに基本的な人権を確保していくという「子どもの権利の視点」、そして子ども自身から声を聴き、それを反映する「子どもの視点」から施策を立て、必要な予算を確保していくことが求められます。

 

セーブ・ザ・チルドレンは、このような観点から、子ども予算倍増の議論に際して留意されるべき具体的ポイントを広く周知し、それに一定の方向性を与えることを目的として、ポジションペーパー『「子ども予算」は、子どもをまんなかに、子どもを対象に〜「子ども予算倍増」の議論に関するセーブ・ザ・チルドレンの考え方〜』を作成しました。

 

このポジションペーパーでは、以下のとおり、子どもの権利の保障のために、特に重点的な予算配分が求められる分野ごとに、予算策定の際に留意すべき点をあげています。

 

1.教育

●小学校、中学校、高校の完全無償化/私費負担ゼロを実現する。

●高等教育修学支援新制度(給付型奨学金、授業料等減免)の所得制限の緩和を行うなど、高等教育無償化の対象を広げ、金額を増やすなど内容の充実を図る。


2.児童手当

児童手当の対象年齢の18才(高校卒業時)までの引き上げ、所得制限の撤廃を歓迎するとともに、その迅速な実行と多子世帯以外への増額などの拡充を期待。

 

3.子どもの貧困

学習・就労・住宅支援、低所得世帯に的を絞った給付金など子どもの貧困に対してより手厚い対策を講じるために十分な予算を確保する。

●ひとり親家庭支援にかかる予算の増加、児童扶養手当の増額やひとり親以外の低所得家庭への適用を行う。

●低所得世帯の子どもへの就学援助・高校生等奨学給付金の増額およびそれらの制度の柔軟な運用を確保する。

 

4.子ども虐待・体罰等

虐待相談対応件数の増加などの状況に鑑み、自治体が児童相談所に対する十分な予算と人員を確保できるように国が積極的に支援する。

●虐待・体罰等防止のために体罰等によらない子育てに関する啓発活動や親・養育者に対する子育て支援予算を拡充する。

 

5子どもの権利の啓発

子どものために働くあらゆる関係者(行政職員、教職員、児童相談所職員、保育士、学童指導員、医療従事者、裁判官、家庭裁判所調査官、ソーシャルワーカー、法執行官など)、子どもの親や養育者、また子どもたち自身に対する子どもの権利の啓発のための予算を増加する。

 

6.財源の議論における原則

現在行われている子ども予算倍増のための財源の議論においては、特に経済的に困難な状況にある人たち、女性や脆弱な立場に置かれた子どもたちなどが、不相応な負担を負うなどの不利な影響を受けないことを確保する。

 

 

私たちは、このポジションペーパーを通じて、子ども予算倍増の議論の中で見落とされがちな論点について広く周知するとともに、政策決定者による施策・予算策定のための一定の指針になるよう引き続き働きかけを行っていきます。

 

■ポジションペーパー全文はこちらから


 

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