アドボカシー(公開日:2021.07.21)
気候変動と子どもたち―「気候変動に関する子どもアンケート」を実施しました
世界的な脅威となっている気候変動問題。気候変動が私たちにもたらす影響は甚大であり、迅速な対応が求められています。その緊急性から気候変動は気候危機とも呼ばれています。セーブ・ザ・チルドレンは、気候危機・気候変動に関し、国際社会や政策決定者に対して子どもや若者の声を届け、彼ら自身が変化の主体となれるよう、子どもや若者のイニシアティブとアイデアを支えることを目指しています。
私たちは、アジア地域において、子どもたちの気候変動に対する認識や関心を調査するため、「気候変動に関する子どもアンケート」を実施しました。日本では、15歳から17歳の計516人の子どもたちから回答がありました*。今回は、日本の子どもたちのアンケート結果をご紹介します。
気候変動に関して、学校で十分な情報を得られていない
「気候変動について聞いたことがあるか」という質問では、「頻繁に聞く」が45%、「時々聞く」が39%と、気候変動について聞いたことがある子どもが大多数でした。ここでは、居住地域や性別などによる顕著な差は見られませんでした。一方、回答した子どもたちの18人に1人は、気候変動について「全く聞いたことがない」(「いいえ」と回答した)こともわかりました。
気候変動に関する情報源についての質問では、回答者の86%が「学校の授業」、59%が「テレビ・ラジオ・新聞・書籍または雑誌」、38%が「オンラインニュース、SNS、NGOからのニュースレター」をあげました。
しかし、「学校で十分な情報を得ているか」という質問に対しては、68%が「不十分である」と回答しています。「気候変動の影響で心配している点」では、1番多い回答が「気温上昇」、2番目に「海面上昇」、続いて「異常気象」でした。
求められる「気候変動に関するより多くの情報と機会」
「気候変動に関するキャンペーンやイベントなどの活動に参加したことがあるか」という質問には、「一度も参加したことがない」が81%と最も多く、ほとんどの子どもたちが活動に参加した経験がないことがわかりました。ただし、活動に参加したことがないと回答した子どものうち、42%が「機会があれば参加することにとても興味がある」、あるいは「多少興味がある」と答えました。
活動に参加したことがあると回答した子どもたちの経験はどうだったでしょうか。「参加したとき、大変だったことは何ですか」という質問に対し、「大人が主導していたため、自分の役割が限られていた」と答えた子どもが74人中25人、「内容を理解することが難しかった、または自分が住んでいる地域とは関連しなかった」と答えた子どもが19人いました。そして「新型コロナウイルス感染症の影響で活動は中止された」と答えた子どもが18人でした。「政府は自分たちの声を聞いてくれなかった」と答えた子どもも6人いました。
次に、活動に参加したことがないと回答した子どもたちに、「気候変動に関する活動に参加しなかった理由」を聞いたところ、1番多かったのは「勉強で忙しい」で49%、次いで「情報を得る機会がなかった」が25%でした。また、「イベントが本当の変化を起こすと思わない」と答えた子どもも14%いました。
それでは、どのように子どもたちの活動への参加を促すことができるでしょうか。「参加のためにあると役立つこと、必要なこと」は何かを聞いた質問に対して、最も多かった回答は、「気候変動に関するより多くの情報」でした。続いて多かったのは、「より多くの子どものキャンペーンや子ども・若者が主導するイベントの機会」、「さまざまな人が参加できるより多くの機会」で、子どもたちが参加できるよう情報や機会が求められていることが明らかになりました。
子どもたちから、世界のリーダーへ
【行動を求める声が多数】
自由回答では、「気候変動や環境に関する世界のリーダーへのメッセージ」や、子どもたちが求める変化について聞きました。「自分たちの世代ではあまり悪影響がないからと言って、私たちやそれより後の世代に問題を先送りにしないで欲しい」、「今だけではなく、未来も考えてほしい」といった、これからの未来を想う切実な声から、「原子力・火力発電から再生可能エネルギーへの迅速な移行、二酸化炭素削減への具体的な取り組みへの資金的な支援」、「クリーンエネルギーの開発、排出量や化石燃料の規制」といった取り組みの推進、さらには「既存の利害やお金にこだわり、出来ない理由を探すのはやめにしてほしい」、「早めに行動しないと取り返しがつかなくなる」、「今、本当に現状を変えられる人が何もしないと若い人たちが守る世界がなくなる」など、対策が遅れている現状を指摘し、行動を求める声も多くありました。
【子どもが理解できるような情報発信、参加の機会を】
また、「子どもが気候変動や環境問題に興味を持ったときに調べられるよう、国や組織が運営しているホームページを子どもでも理解できるように作ってほしい。もしくは、子ども用のホームページを作ってほしい」や、「どんな対策をしているのかを若者にもわかるように教えてほしい。気軽に自分の意見を伝えられる手段が欲しい」といった、気候変動への取り組みについて子どもたちや若者が理解できるような情報発信や参加の機会を求める声もありました。
さまざまなメッセージが寄せられましたが、最後に紹介したい回答は、「地球は1つしかないので各国が1つになって、議論して環境問題を考えてほしい」という声です。
いま、子どもたちから日本をはじめとする各国のリーダーに対し、各国が一丸となり、迅速な議論と対策を講じることが求められています。
「気候変動に対する子どもアンケート」は、日本以外にアジア地域の数ヶ国で実施されています。今後、日本を含む各国のデータをまとめた報告書を出す予定です。
また、セーブ・ザ・チルドレンは、7月5日から8月15日まで、気候変動をテーマとした「国際アートコンテスト」を開催しています。対象は17歳以下の子どもたちで、世界で起きている気候変動に対する思いやメッセージを、アート作品を通じて表すコンテストです。多くの子どもたちの参加をお待ちしています。
国際アートコンテストについて詳しくはこちらのサイトをご確認ください。
*日本での調査概要
・調査期間:2021年5月25日から27日
・対象者など:日本国内に居住する15歳から17歳までの子ども
私たちは、アジア地域において、子どもたちの気候変動に対する認識や関心を調査するため、「気候変動に関する子どもアンケート」を実施しました。日本では、15歳から17歳の計516人の子どもたちから回答がありました*。今回は、日本の子どもたちのアンケート結果をご紹介します。
気候変動に関して、学校で十分な情報を得られていない
「気候変動について聞いたことがあるか」という質問では、「頻繁に聞く」が45%、「時々聞く」が39%と、気候変動について聞いたことがある子どもが大多数でした。ここでは、居住地域や性別などによる顕著な差は見られませんでした。一方、回答した子どもたちの18人に1人は、気候変動について「全く聞いたことがない」(「いいえ」と回答した)こともわかりました。
気候変動に関する情報源についての質問では、回答者の86%が「学校の授業」、59%が「テレビ・ラジオ・新聞・書籍または雑誌」、38%が「オンラインニュース、SNS、NGOからのニュースレター」をあげました。
しかし、「学校で十分な情報を得ているか」という質問に対しては、68%が「不十分である」と回答しています。「気候変動の影響で心配している点」では、1番多い回答が「気温上昇」、2番目に「海面上昇」、続いて「異常気象」でした。
求められる「気候変動に関するより多くの情報と機会」
「気候変動に関するキャンペーンやイベントなどの活動に参加したことがあるか」という質問には、「一度も参加したことがない」が81%と最も多く、ほとんどの子どもたちが活動に参加した経験がないことがわかりました。ただし、活動に参加したことがないと回答した子どものうち、42%が「機会があれば参加することにとても興味がある」、あるいは「多少興味がある」と答えました。
活動に参加したことがあると回答した子どもたちの経験はどうだったでしょうか。「参加したとき、大変だったことは何ですか」という質問に対し、「大人が主導していたため、自分の役割が限られていた」と答えた子どもが74人中25人、「内容を理解することが難しかった、または自分が住んでいる地域とは関連しなかった」と答えた子どもが19人いました。そして「新型コロナウイルス感染症の影響で活動は中止された」と答えた子どもが18人でした。「政府は自分たちの声を聞いてくれなかった」と答えた子どもも6人いました。
次に、活動に参加したことがないと回答した子どもたちに、「気候変動に関する活動に参加しなかった理由」を聞いたところ、1番多かったのは「勉強で忙しい」で49%、次いで「情報を得る機会がなかった」が25%でした。また、「イベントが本当の変化を起こすと思わない」と答えた子どもも14%いました。
それでは、どのように子どもたちの活動への参加を促すことができるでしょうか。「参加のためにあると役立つこと、必要なこと」は何かを聞いた質問に対して、最も多かった回答は、「気候変動に関するより多くの情報」でした。続いて多かったのは、「より多くの子どものキャンペーンや子ども・若者が主導するイベントの機会」、「さまざまな人が参加できるより多くの機会」で、子どもたちが参加できるよう情報や機会が求められていることが明らかになりました。
子どもたちから、世界のリーダーへ
【行動を求める声が多数】
自由回答では、「気候変動や環境に関する世界のリーダーへのメッセージ」や、子どもたちが求める変化について聞きました。「自分たちの世代ではあまり悪影響がないからと言って、私たちやそれより後の世代に問題を先送りにしないで欲しい」、「今だけではなく、未来も考えてほしい」といった、これからの未来を想う切実な声から、「原子力・火力発電から再生可能エネルギーへの迅速な移行、二酸化炭素削減への具体的な取り組みへの資金的な支援」、「クリーンエネルギーの開発、排出量や化石燃料の規制」といった取り組みの推進、さらには「既存の利害やお金にこだわり、出来ない理由を探すのはやめにしてほしい」、「早めに行動しないと取り返しがつかなくなる」、「今、本当に現状を変えられる人が何もしないと若い人たちが守る世界がなくなる」など、対策が遅れている現状を指摘し、行動を求める声も多くありました。
【子どもが理解できるような情報発信、参加の機会を】
また、「子どもが気候変動や環境問題に興味を持ったときに調べられるよう、国や組織が運営しているホームページを子どもでも理解できるように作ってほしい。もしくは、子ども用のホームページを作ってほしい」や、「どんな対策をしているのかを若者にもわかるように教えてほしい。気軽に自分の意見を伝えられる手段が欲しい」といった、気候変動への取り組みについて子どもたちや若者が理解できるような情報発信や参加の機会を求める声もありました。
さまざまなメッセージが寄せられましたが、最後に紹介したい回答は、「地球は1つしかないので各国が1つになって、議論して環境問題を考えてほしい」という声です。
いま、子どもたちから日本をはじめとする各国のリーダーに対し、各国が一丸となり、迅速な議論と対策を講じることが求められています。
「気候変動に対する子どもアンケート」は、日本以外にアジア地域の数ヶ国で実施されています。今後、日本を含む各国のデータをまとめた報告書を出す予定です。
また、セーブ・ザ・チルドレンは、7月5日から8月15日まで、気候変動をテーマとした「国際アートコンテスト」を開催しています。対象は17歳以下の子どもたちで、世界で起きている気候変動に対する思いやメッセージを、アート作品を通じて表すコンテストです。多くの子どもたちの参加をお待ちしています。
国際アートコンテストについて詳しくはこちらのサイトをご確認ください。
*日本での調査概要
・調査期間:2021年5月25日から27日
・対象者など:日本国内に居住する15歳から17歳までの子ども