アドボカシー(公開日:2020.11.16)
11月20日は世界こどもの日 〜後編〜
11月20日は世界のこどもの日。今年で、採択から31年目を迎える子どもの権利条約について、皆さんに伝えたい4つのことを前編と後編の2回に分けてご紹介しています。(前編はこちら)
2.54条から成り立つ子どもの権利条約に書かれていること
子どもの権利条約は、第二次世界大戦後、国際的に子どもの権利を保障する新たな条約の制定を促す動きが高まるなか、およそ10年の議論を経て、1989年に国連で採択されました。子どもの権利条約は、「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の4グループに分けることができ、全部で54の条文があります。各条文それぞれに示される子どもの権利はひとしく重要です。この条約では、子どもは権利を持つ主体と位置づけられ、一人の人間としての人権が認められています。
3.人権条約としては歴史上最も多くの国・地域が批准している条約
子どもの権利条約は、2020年11月時点で、196の国と地域が批准する世界で最も広く承認されている人権条約です。日本は、1994年に世界で158番目に批准しました。条約を批准した各国には、それぞれの国の法律や政策を通じて、子どもの権利条約に定められている権利を守る義務があります。
条約には、各締約国は、条約により設置された子どもの権利委員会により、定期的に、国内において条約に定められた子どもの権利が守られているかを審査されることや、国際協力を奨励することも定められています。そして、審査の過程で、市民社会が子どもの権利委員会に情報を提供することができます。
4.すべての子どもたちは、権利を保障されるべき―日本を含む世界の子どもの権利は守られている?
子どもの権利条約の締約国は、この条約に定められている権利を、いかなる時も、尊重し、保障し、そして実現する必要があります。日本や世界では、子どもの権利は守られているのでしょうか。
国連子どもの権利委員会は、日本に対して、子どもの意見の尊重や差別の禁止など、さまざまな分野で長年にわたって勧告しています。その中で体罰については、家庭を含めた全面禁止の必要性が指摘されていました。この点においては、2020年4月に、親や養育者などによる体罰禁止の法律が施行されるなど、日本の子どもたちを取り巻く問題の解決に向けて前進が見られました。子どもの貧困については、政府の貧困対策として実効性を伴った予算措置や家庭への支援が重要であるといった具体的な勧告がされています。そして、政府から独立して、子どもの権利が国内で守られているか調査し、守られていない場合は法律や政策の改善を政府に提言したり、子どもの権利条約を広く社会に啓発したりするための国内人権機関をつくることなども勧告されています。
また、今年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、世界各地で、子どもの権利は脅かされています。この感染症が流行する前の時点でも、2億5,800万人の子どもたちが学校に行くことができていませんでしたが、感染の拡大により、16億人以上の子どもたちが学校に通うことができなくなりました。また、セーブ・ザ・チルドレンは子どもたちを対象に調査を実施し報告書『Protect A Generation』を発表しました。この調査に回答した子どもたちは、各国政府の指導者に対し、学校の再開や遠隔学習の実現や医療へのアクセスを求めるほか、新型コロナウイルス感染症流行下で、暴力が増加したとして保護を求めるなど、自らの権利の実現を訴えています。
こうした子どもたちの訴えに応えることは「善意に基づく行動」ではなく、国の義務と責任であるということを、私たちは忘れてはなりません。セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちの権利が尊重される社会の実現のために、今後も活動を展開していきます。
■子どもの権利について詳しく知りたい方はこちら
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11月20日は 世界こどもの日〜前編〜 へ
2.54条から成り立つ子どもの権利条約に書かれていること
子どもの権利条約は、第二次世界大戦後、国際的に子どもの権利を保障する新たな条約の制定を促す動きが高まるなか、およそ10年の議論を経て、1989年に国連で採択されました。子どもの権利条約は、「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の4グループに分けることができ、全部で54の条文があります。各条文それぞれに示される子どもの権利はひとしく重要です。この条約では、子どもは権利を持つ主体と位置づけられ、一人の人間としての人権が認められています。
3.人権条約としては歴史上最も多くの国・地域が批准している条約
子どもの権利条約は、2020年11月時点で、196の国と地域が批准する世界で最も広く承認されている人権条約です。日本は、1994年に世界で158番目に批准しました。条約を批准した各国には、それぞれの国の法律や政策を通じて、子どもの権利条約に定められている権利を守る義務があります。
条約には、各締約国は、条約により設置された子どもの権利委員会により、定期的に、国内において条約に定められた子どもの権利が守られているかを審査されることや、国際協力を奨励することも定められています。そして、審査の過程で、市民社会が子どもの権利委員会に情報を提供することができます。
4.すべての子どもたちは、権利を保障されるべき―日本を含む世界の子どもの権利は守られている?
子どもの権利条約の締約国は、この条約に定められている権利を、いかなる時も、尊重し、保障し、そして実現する必要があります。日本や世界では、子どもの権利は守られているのでしょうか。
国連子どもの権利委員会は、日本に対して、子どもの意見の尊重や差別の禁止など、さまざまな分野で長年にわたって勧告しています。その中で体罰については、家庭を含めた全面禁止の必要性が指摘されていました。この点においては、2020年4月に、親や養育者などによる体罰禁止の法律が施行されるなど、日本の子どもたちを取り巻く問題の解決に向けて前進が見られました。子どもの貧困については、政府の貧困対策として実効性を伴った予算措置や家庭への支援が重要であるといった具体的な勧告がされています。そして、政府から独立して、子どもの権利が国内で守られているか調査し、守られていない場合は法律や政策の改善を政府に提言したり、子どもの権利条約を広く社会に啓発したりするための国内人権機関をつくることなども勧告されています。
また、今年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、世界各地で、子どもの権利は脅かされています。この感染症が流行する前の時点でも、2億5,800万人の子どもたちが学校に行くことができていませんでしたが、感染の拡大により、16億人以上の子どもたちが学校に通うことができなくなりました。また、セーブ・ザ・チルドレンは子どもたちを対象に調査を実施し報告書『Protect A Generation』を発表しました。この調査に回答した子どもたちは、各国政府の指導者に対し、学校の再開や遠隔学習の実現や医療へのアクセスを求めるほか、新型コロナウイルス感染症流行下で、暴力が増加したとして保護を求めるなど、自らの権利の実現を訴えています。
こうした子どもたちの訴えに応えることは「善意に基づく行動」ではなく、国の義務と責任であるということを、私たちは忘れてはなりません。セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちの権利が尊重される社会の実現のために、今後も活動を展開していきます。
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