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アドボカシー
(公開日:2024.07.19)

【活動報告】国会議員エチオピア視察‐強靭で持続可能な保健システム強化のためのGaviとグローバルファンドの役割

 

セーブ・ザ・チルドレンは、72日から75日にかけて、国会議員のエチオピア視察を実施しました。

 

視察の目的は、開発途上国において、持続可能で強靭な保健システムの構築に取り組んできた「Gaviワクチンアライアンス」、および「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)」が、エチオピアにおけるグローバルヘルス課題の解決のために果たしてきた役割について理解を深めるとともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する上でパートナー間の連携をさらに促進することです。


視察には、山本左近衆議院議員、藤井一博参議院議員、友納理緒参議院議員が参加。政府関係者との面会や、Gaviの支援による政府主導の予防接種拡大プログラム、グローバルファンドによる三大感染症の予防、診断、治療に対する支援内容の視察などを通して、エチオピアの母子の命と健康を守るための包括的な取り組みとそのシナジーへの認識を深めました。


初日はエチオピア保健省を訪問し、メクデス・ダバ保健大臣、デレジェ・ドゥグマ保健副大臣をはじめ、Gaviやグローバルファンドとの連携を担当している官僚との意見交換を行いました。保健大臣からは、日本政府がグローバルファンドやGaviへの資金拠出などを通して、エチオピアに対する継続的な支援を提供してきたことに対する感謝の意が表明され、日本とのさらなる連携への期待が示されました。


その後視察したアディスアベバ市内のケタマ・ヘルスセンターでは、プライマリーヘルスケアとして、産前・産後ケアやHIV診断、抗レトロウィルス療法、結核スクリーニングの実施状況について説明を受けました。子どもたちの予防接種率を向上させ、一度も予防接種を受けたことのないゼロドース・チルドレンを減らすためのモニタリングなども行われていました。



視察2日目にはソマリ州のジジガに移動。地域で保健医療サービスを提供しているヘルスポストやヘルスセンターを訪問しました。ヘルスポストは、コミュニティの人たちが最初に保健医療サービスにアクセスできるエントリーポイントとなっており、トレーニングを受けたヘルス・エクステンションワーカー(HEW)によって、予防接種をはじめ、マラリアの検査や治療など、さまざまな保健医療サービスが提供されていました。通常2人で対応するところ、視察したグルスム地区ドゥフェスカ・ヘルスポストでは、一時的に1人ですべてを担っており、保健医療人材不足の深刻さを目の当たりにしました。





ファフェン・ヘルスセンターでは、Gaviの支援で導入されたワクチン冷蔵保管庫が役立てられ、またグローバルファンドの支援による感染症の予防、診断、治療体制が充実しており、特に結核の診断、治療、経過観察に至るまで、患者に対してきめ細やかなサポートが行われている様子が伺えました。



デゲハブル地区にあるオバレ・ヘルスセンターでは、予防接種プログラムを視察しました。これは、母子保健事業の一環としてセーブ・ザ・チルドレンが5年間支援を行ってきたプログラムです。支援が終了してから2年経っても、ワクチンの冷蔵保管庫や、ワクチン・カレンダーなどが活用されているのを確認できたとともに、Gaviから調達されたワクチンが、女性のヘルスワーカーによって母親に連れてこられた子どもたちに接種されている様子を視察することができました。



ソマリ州保健局では地域の保健医療の現状についても話を聞くことができました。ソマリ州で最も深刻な課題は、広大な土地に暮らす遊牧民や、さらには干ばつや洪水といった自然災害などで移動を余儀なくされた人たちへのアウトリーチの難しさです。最も脆弱な立場に置かれたコミュニティが保健医療サービスにアクセスできるよう、遠隔地で産前・産後ケアや予防接種を提供するモバイルクリニックの導入が始まっており、人々のライフスタイルに合わせたタイムリーな支援が求められています。そうした中、Gaviの支援による予防接種プログラムの拡大やワクチン配布の効率化、グローバルファンドが取り組む保健施設への水タンク供給などにより、ソマリ州の保健医療サービス提供の持続可能性が構築されつつあることも垣間見えました。一方、課題として資金不足やデジタル化の遅れ、保健医療サービスを提供する人材の不足などが挙げられました。

 

最終日は、アディスアベバ市内にある、エチオピア医薬品供給サービスを訪問しました。見学した巨大な倉庫内には、グローバルファンドの支援によって供給されるHIV、結核、マラリアの検査薬・治療薬など数多くの医薬品が保管されていました。エチオピアでは、ワクチンや医薬品を末端のコミュニティの保健施設まで届けるラストマイル配送が特に課題となっていますが、Gaviがコールドチェーンの整備、ソーラー式のワクチン保管用の冷蔵庫、ワクチンを届けるためのオートバイを支援したことにより、さまざまな地域の保健施設にワクチンを行き渡らせることが可能になってきたということでした。最後に訪問したエチオピア公衆衛生研究所は、HIV、マラリア、結核のサーベイランス等においてグローバルファンドと連携しており、グローバルファンドの支援を受けて導入された機器を活用して結核の診断技術を研究するラボラトリー内を見学しました。



この視察全体を通して、Gaviとグローバルファンドの支援がエチオピアの保健システム強化と、特に脆弱性の高い末端のコミュニティの人たちへの保健医療サービスの提供において欠かすことのできない役割を果たしていることが明らかとなりました。加えて、疾病予防のみならず治療体制をより確立していく必要があること、労働負荷の改善も含む保健医療人材の不足への対応、そのためのさらなるリソースの投入の必要性なども改めて確認されました。

 

セーブ・ザ・チルドレンはこれからも、Gaviやグローバルファンド、グローバル・ファイナンシング・ファシリティなどのグローバルヘルス・イニシアティブの役割や成果について広く伝えていくとともに、日本が主要ドナーとしてさらに支援を拡充していけるよう、働きかけを続けていきます。








 

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