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アドボカシー
(公開日:2020.06.04)

毎年9月9日は「教育を攻撃から守る国際デー」に −国連総会で全会一致で決定

 

2020年5月28日、国連総会は、毎年9月9日を「教育を攻撃から守る国際デー(International Day to Protect Education from Attack)」とする決議を採択し、紛争下における武力攻撃から教育を守り、紛争下においてもすべての人が安全な環境で教育を受けられるよう、世界各国が責任をもって取り組むことに改めて合意しました。 







2020年2月25日、シリア北西部イドリブ県にある学校10校が攻撃され、少女1人が死亡し市民9人が負傷



今回の決議(A/RES/74/275)[1]は、カタールが主導し60ヶ国が共同提案したもので、全会一致で採択されました。同決議の採択は、セーブ・ザ・チルドレンがこれまでアドボカシー活動を行ってきた 「学校保護宣言」[2]の策定5周年にあたる日に行われ、同宣言についてもこの決議のなかで言及されています。

「学校保護宣言」は、2020年6月現在、104ヶ国[3]によって支持されており、各国政府による学校を軍事利用しないなど、教育を攻撃から守るための政策の導入や実際の軍事行動などにもプラスの変化を及ぼしています[4]。結果として実際に多くの命が救われ、生徒や教育関係者の保護につながっています。

そのような進歩がある一方、「教育を攻撃から守る世界連合(GCPEA)」[5]の調査によると、過去5年の間に37ヶ国での教育に対する攻撃や、34ヶ国での学校や大学などの教育施設の軍事利用が明らかになっています。また、軍隊や武装勢力による女子生徒や女性教師を対象とした性暴力なども続いています。

今回の国連決議にあわせて実施された、GCPEAによる教育への攻撃の調査結果(『攻撃される教育2020(Education under Attack2020)』[6]を発表するオンラインイベントでは、バージニア・ガンバ国連事務総長特別代表(子どもと武力紛争担当)が、未だ続く子どもに対する6つの重大な暴力[7]の実態を明らかにしました。また、同イベント内で、ナイジェリアが2021年に学校保護宣言に関する第4回国際会議の開催国となることも発表され、教育や子どもたちを攻撃から守ることを、世界のリーダーたちが改めて約束しました。日本政府は未だ「学校保護宣言」に支持を表明していませんが、来年の国際会議の場、またはそれ以前に支持を表明することが国際社会から求められています。


オンラインイベントの動画

紛争が起きている国だけではなく、日本のように紛争が起きていない国でも世界の子どもたちを守ることへの行動を積極的に起こす必要があります。私たちセーブ・ザ・チルドレンは、日本政府に対し「学校保護宣言」への支持のほか、紛争などの緊急下における教育支援に特化した国際基金である「教育を後回しにはできない(Education Cannot Wait)」[8]への資金拠出を求めていきます。また「紛争下の子どもを守ろう:Stop The War On Childrenキャンペーン」[9]の推進、および各国における人道支援活動を、日本のみなさんの賛同やご支援をもとに引き続き進めていきます。

【「学校保護宣言」に関するセーブ・ザ・チルドレンの過去の記事】
2019.12.11   ウクライナ政府が賛同を示し、「学校保護宣言」の支持国は世界100ヶ国に
2019.06.05 「学校保護宣言」に関する第3回国際会議が開催され、支持を示す国が国連加盟国の約半数、90ヶ国に
2018.11.28 「学校保護宣言」に関するセミナーを議員会館にて実施
2018.05.28  報告書『攻撃される教育 2018(Education under Attack 2018)』を発表
2018.04.23  学校を軍事利用から守る「学校保護宣言」に日本政府も調印を



[1] 
国連決議A/RES/74/275 
[2「学校保護宣言」 「武装紛争下で学校や大学を軍事目的使用から守るためのガイドライン」
[3] 「学校保護宣言」支持国
[4] “Practical Impact of the Safe Schools Declaration / Fact Sheet”, October 2019  
[
5] 教育を攻撃から守る世界連合(GCPEA) 
[6] 2020年6月末に報告書全文が公表予定。同ブログにて日本語概要及び英語全文を掲載予定。
[7] 子どもに対する6つの重大な暴力:1)子どもの殺害と傷害行為、2)子どもの軍への徴兵と利用、3)子どもに対する性的暴力、4)子どもの誘拐、5)学校や病院に対する攻撃、6)子どもに対する人道支援のアクセスの拒否
[8] 教育を後回しにはできない基金(Education Cannot Wait)
緊急下の子どもたちの教育についてのセーブ・ザ・チルドレンの報告
[9] 紛争下の子どもを守ろう:Stop The War On Childrenキャンペーン



 

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