アドボカシー(公開日:2022.11.24)
【COP27】気候変動対策における子どもの権利の実現のための小さくとも重要な一歩と、損失と損害に関する重要な勝利
第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)に参加した世界のリーダーたちは、気候危機の影響を最も受ける子どもたちのために、子どもたちを変革の担い手として正式に認め、損失と損害のための基金を設立することにより、小さいながらも重要な一歩を踏み出しました。
しかし、子どもたちの未来を守るためには、さらに多くの対応が必要です。11月20日の「世界こどもの日」にあたり、セーブ・ザ・チルドレンは、今回のCOP27で大きく取り上げられた子どもたちの声を受けて、行動をとるよう指導者たちに呼びかけています。
しかし、子どもたちの未来を守るためには、さらに多くの対応が必要です。11月20日の「世界こどもの日」にあたり、セーブ・ザ・チルドレンは、今回のCOP27で大きく取り上げられた子どもたちの声を受けて、行動をとるよう指導者たちに呼びかけています。
COP27で声をあげるアシュラカットさん(左)や若者たち
セーブ・ザ・チルドレンの最近の報告書によると、世界の子ども人口全体の3分の1に当たる約7億7,400万人の子どもたちが、貧困と気候危機の高いリスクの両方による影響を受けながら生活していることが明らかになりました。
この調査では、ヒアリング調査を行った15ヶ国の子どもたちの83%が、気候危機または不平等、あるいはその両方が、自分たちを取り巻く世界に影響を与えていると回答しています。また、73%の子どもたちが、これらの問題に対処するために、大人がもっと努力するべきだと考えています。
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちがCOP27に参加し、自分たちの声を届けられるよう支援しました。
エジプト出身のアシュラカットさん(16歳)は、次のように述べています。
「この危機は、私たちが引き起こしたものではありませんが、私たちはこれを解決しようとしています。私は熱波の影響を受けたことがあります。窒息しそうで、通常の生活が送れませんでした。食事も勉強もできず、よく眠れませんでした。気候変動のせいで、私の基本的な権利はすべて奪われてしまったのです。」
エジプトのナイル川西岸にあるミニアに住むムスタファさん(12歳)は、ますます激しくなる雨のために洪水や停電が起こり、学校に行けず勉強もできないことがあると言います。
「私が気候危機を引き起こしたのではありません。工場を建てたことも、車を買ったことも、環境を汚染したこともありません。」
セーブ・ザ・チルドレンは、今回のCOPではじめて、各国政府が子どもたちを危機への対応における変化の担い手として正式に認識し、政府が気候関連政策の立案と実施に子どもたちを参加させることに合意したことを歓迎します[i]。
セーブ・ザ・チルドレンは、COP27で発表された損失と損害のための基金の設立の約束も歓迎しています。これは子どもや若者、先住民のグループを含む気候危機の影響を最も受けているコミュニティによる数十年にわたるキャンペーン活動によるところが大きいと考えています。
しかし、提案されている基金が、アシュラカットさんやムスタファさんなど、気候危機の最前線にいる子どもたちとそのコミュニティが抱える深刻なニーズに対応できるかどうか、詳細はまだ明らかにされていません。
また、損失と損害の基金とは別に、気候変動に対する資金拠出の誓約は引き続き不十分です。世界は、激しさを増す異常気象と、それがもたらす人的・経済的コストへの対処に苦闘しており、残された時間はあとわずかになっています[ii]。今、気候変動対策への投資を行うことで、将来のコストとリスク、特に子どもたちが成長するにつれて直面するであろうリスクを軽減することができます。
最後に、しかし極めて重要なこととして、化石燃料の使用と補助金を速やかに廃止するという約束がなければ、子どもたちの安定した安全な未来への展望は狭まるばかりです。セーブ・ザ・チルドレンとブリュッセル自由大学が昨年発表した報告書によると、2015年に採択されたパリ協定の排出削減目標の下では、2020年に生まれる子どもたちは、彼らの祖父母よりもはるかに多くの森林火災、熱波、干ばつ、農作物の不作、洪水などの異常気象に直面することになります。しかし、気温の上昇を1.5℃に抑えることができれば、その可能性は大幅に減少すると見られています。
セーブ・ザ・チルドレン中東・東欧・北アフリカ地域事務所所長イーキン・オグトグラリは、以下のように述べています。
「今年のCOPに子どもたちを招待したことで、気候危機のコストが、経済的な観点や人命に関する不正義だけではなく、学校に通うことや友だちと遊ぶこと、住まいや食べるものを失うといった、人間や社会のコストとしていかに測られるべきかをムスタファさんやアシュラカットさんたちから聴くことができました。
これは正しい方向への一歩ですが、気候変動交渉に子どもたちが有意義に参加できるようになるには、まだ多くの障壁が存在します。私たちは、意思決定プロセスに子どもたちを参加させるために、今後さらに多くのことが行われることを期待しています。
子どもたちのニーズや考えを理解するために、COPの前に子どもたちの意見を聴くべきです。各国政府は、気候変動や不平等の影響を最も受ける子どもたちの参加に特に焦点を当て、子どもたちがCOPに経験や提案をもたらす機会を確保するための仕組みづくりに力を尽くさなければなりません。」
この調査では、ヒアリング調査を行った15ヶ国の子どもたちの83%が、気候危機または不平等、あるいはその両方が、自分たちを取り巻く世界に影響を与えていると回答しています。また、73%の子どもたちが、これらの問題に対処するために、大人がもっと努力するべきだと考えています。
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちがCOP27に参加し、自分たちの声を届けられるよう支援しました。
エジプト出身のアシュラカットさん(16歳)は、次のように述べています。
「この危機は、私たちが引き起こしたものではありませんが、私たちはこれを解決しようとしています。私は熱波の影響を受けたことがあります。窒息しそうで、通常の生活が送れませんでした。食事も勉強もできず、よく眠れませんでした。気候変動のせいで、私の基本的な権利はすべて奪われてしまったのです。」
エジプトのナイル川西岸にあるミニアに住むムスタファさん(12歳)は、ますます激しくなる雨のために洪水や停電が起こり、学校に行けず勉強もできないことがあると言います。
「私が気候危機を引き起こしたのではありません。工場を建てたことも、車を買ったことも、環境を汚染したこともありません。」
セーブ・ザ・チルドレンは、今回のCOPではじめて、各国政府が子どもたちを危機への対応における変化の担い手として正式に認識し、政府が気候関連政策の立案と実施に子どもたちを参加させることに合意したことを歓迎します[i]。
セーブ・ザ・チルドレンは、COP27で発表された損失と損害のための基金の設立の約束も歓迎しています。これは子どもや若者、先住民のグループを含む気候危機の影響を最も受けているコミュニティによる数十年にわたるキャンペーン活動によるところが大きいと考えています。
しかし、提案されている基金が、アシュラカットさんやムスタファさんなど、気候危機の最前線にいる子どもたちとそのコミュニティが抱える深刻なニーズに対応できるかどうか、詳細はまだ明らかにされていません。
また、損失と損害の基金とは別に、気候変動に対する資金拠出の誓約は引き続き不十分です。世界は、激しさを増す異常気象と、それがもたらす人的・経済的コストへの対処に苦闘しており、残された時間はあとわずかになっています[ii]。今、気候変動対策への投資を行うことで、将来のコストとリスク、特に子どもたちが成長するにつれて直面するであろうリスクを軽減することができます。
最後に、しかし極めて重要なこととして、化石燃料の使用と補助金を速やかに廃止するという約束がなければ、子どもたちの安定した安全な未来への展望は狭まるばかりです。セーブ・ザ・チルドレンとブリュッセル自由大学が昨年発表した報告書によると、2015年に採択されたパリ協定の排出削減目標の下では、2020年に生まれる子どもたちは、彼らの祖父母よりもはるかに多くの森林火災、熱波、干ばつ、農作物の不作、洪水などの異常気象に直面することになります。しかし、気温の上昇を1.5℃に抑えることができれば、その可能性は大幅に減少すると見られています。
セーブ・ザ・チルドレン中東・東欧・北アフリカ地域事務所所長イーキン・オグトグラリは、以下のように述べています。
「今年のCOPに子どもたちを招待したことで、気候危機のコストが、経済的な観点や人命に関する不正義だけではなく、学校に通うことや友だちと遊ぶこと、住まいや食べるものを失うといった、人間や社会のコストとしていかに測られるべきかをムスタファさんやアシュラカットさんたちから聴くことができました。
これは正しい方向への一歩ですが、気候変動交渉に子どもたちが有意義に参加できるようになるには、まだ多くの障壁が存在します。私たちは、意思決定プロセスに子どもたちを参加させるために、今後さらに多くのことが行われることを期待しています。
子どもたちのニーズや考えを理解するために、COPの前に子どもたちの意見を聴くべきです。各国政府は、気候変動や不平等の影響を最も受ける子どもたちの参加に特に焦点を当て、子どもたちがCOPに経験や提案をもたらす機会を確保するための仕組みづくりに力を尽くさなければなりません。」
[i]Countries from across the globe are, for the first time, formally recognizing children as agents of change in addressing and responding to climate change and encouraging governments to include children in the design and implementation of climate-related policies. Parties to the UNFCCC are now being encouraged to include children and youth along with negotiators in their national delegations, recognizing the importance of intergenerational equity and maintaining the stability of the climate for future generations.
[ii] Already, high-income and high-polluting countries have not yet met their pledge to provide 0 billion per year to support low and middle-income countries. Ahead of crucial negotiations next year around a new climate finance goal, Save the Children is calling for political will to go far beyond this – and to deliver – all in a way that puts children’s rights, voices and equity at the heart of this process. We need an even bigger increase in finance for adaptation to protect children who are most impacted by the climate emergency, the child rights organisation added.
[ii] Already, high-income and high-polluting countries have not yet met their pledge to provide 0 billion per year to support low and middle-income countries. Ahead of crucial negotiations next year around a new climate finance goal, Save the Children is calling for political will to go far beyond this – and to deliver – all in a way that puts children’s rights, voices and equity at the heart of this process. We need an even bigger increase in finance for adaptation to protect children who are most impacted by the climate emergency, the child rights organisation added.