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アドボカシー
(公開日:2024.09.19)

【開催報告】「危機下の教育支援のためにどのようなアドボカシー活動を進めるべきか 〜ロヒンギャ難民キャンプの教育を事例に〜」を開催しました

 
セーブ・ザ・チルドレンは毎年、国連が「教育を攻撃から守るための国際デー」と定めている9月9日にイベントを開催しています。
今年は国際協力機構(JICA)・教育協力NGOネットワーク(JNNE)・開発コンサルタント協力企業の共催で開催された「第4回教育協力ウィーク」の一環として、「危機下の教育支援のためにどのようなアドボカシー活動を進めるべきか 〜ロヒンギャ難民キャンプの教育を事例に〜」と題したセッションを実施しました。ロヒンギャ難民キャンプやホスト・コミュニティの教育を事例に、長期化する人道危機において、紛争下の子どもたちの学びが継続・推進されるためには、どのような政策上の取り組みが必要かを議論しました。
当団体アドボカシー部グローバル政策提言ヘッド・大野容子がモデレーターを務め、ほか3人の登壇者とそれぞれの専門分野の見地から、紛争下の教育支援のためのアドボカシー活動の進め方について、知見を共有しました。

まず、JNNEの事務局長を務める三宅隆史氏より、危機下における教育支援のための資金が慢性的に不足していること、また、教育はその特性から、食料支援などをはじめとする物資支援に比べて実施が難しい理由や背景について説明がありました。

続いて、世界で紛争下の教育支援に特化した基金であるEducation Cannot Wait(ECW:教育を後回しにはできない基金)の緊急下の教育マネージャーであるエディ・ダットン氏から、危機下の教育を支える諸機関の取り組みについて話がありました。ダットン氏は国際機関や各国政府、NGOなどさまざまなアクターが協働するパートナーシップの重要性を強調し、「教育に終わりはない」からこそ、継続的な支援が必要だと訴えました。

また、セーブ・ザ・チルドレンのバングラデシュ駐在員である田部井梢より、現地駐在先であるコックスバザールから、ロヒンギャ難民キャンプにおける教育事業について紹介がありました。現地の生活や教育事情とともに、今後ロヒンギャ難民キャンプや受け入れ先であるホスト・コミュニティにおいて、どのような教育アドボカシーが期待されるのかについて話がありました。

ロヒンギャ難民キャンプにおける教育事業の紹介

現地からの報告に続く形で、昨年ロヒンギャ難民キャンプを実際に訪問した現復興副大臣の平木大作参議院議員からのビデオメッセージを放映しました。難民キャンプにおいて、教育が子どもたちの希望になっているということに加え、二国間援助に留まらない多国間援助を通じた協働の重要性などについてお話しいただきました。 

平木参議院議員からのビデオメッセージ

イベント後半はパネルディスカッションの形式で、市民社会、アカデミア、国際機関、支援現場とそれぞれの見地から、紛争下において、どのように教育支援のためのアドボカシー活動を進めるべきかについて議論を行いました。参加者からは、教育事業を継続するうえでの現地の治安状況や、教育への資金配分の現状についても質問がありました。例えば、「教育への資金配分が足りない現状を鑑みて、教育協力に関わるアクターが共にできる活動にはどんなことがあるか」という質問に対して、登壇者からは「教育を教育だけでなく、他のセクターの達成にどう役立てるかという観点を持つこと」、「ラーニングセンターについて、コミュニティにおけるヘルスケアなどのプログラムとも連携できる」などの示唆が共有されました。
パネルディスカッションの様子


イベントには、教育協力に携わる実務者や研究者のほか、学生、官公庁、民間セクターを含め、計150人近くの参加がありました。イベント後のアンケートでは、「現地報告が非常に印象的でした」、「難民キャンプでの教育の現状、これから私たちが行っていくべき支援について知ることができた」、「二国間の協力と国際機関による支援の性格の違いがわかった」など、さまざまな感想が届きました。
セーブ・ザ・チルドレンは、今後もJNNEと協働しながら、紛争下における教育支援の重要性を継続的に訴え、一人でも多くの子どもが教育を受け希望を繋いでいける世界の実現を目指します。


* Education Cannot Wait (ECW)や9月9日「教育を攻撃から守るための国際デー」関連イベントについては、過去のイベントもご参照ください。

2023年:活動報告教育を攻撃から守るための国際デー記念イベント「専門家とユースと考えよう 〜教育を攻撃から守るために国際社会と私たちができること〜」を実施しました
2022年:【活動報告】ユース向けオンラインイベント:9月9日教育を攻撃から守るための国際デー「私たちの学校を攻撃しないで〜紛争下の子どもたちの声をつなごう」を実施しました
2021年:活動報告:9月11日に「教育を攻撃から守るための国際デー」にあわせ、参加型オンラインイベントを開催しました
2020年:活動報告:9月9日教育を攻撃から守るための国際デーに参加型オンラインイベントを開催しました

(アドボカシー部インターン 吉田莉々)


 

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