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アドボカシー
(公開日:2021.07.31)

世界教育サミット〜教育のための十分な資金は獲得できず

 

72829日、英国にて開催された世界教育サミットにおいて、教育に特化した国際機関である「教育のためのグローバルパートナーシップ(GPE)に対する各国ドナーからの拠出が表明されました。その結果は、世界中の何百万人もの子どもたちの学習の機会をさらに危険にさらすものでした。世界教育サミットで世界のリーダーたちが拠出した資金は40億ドル(約4,400億円)で、目標の50億ドル(約5,500億円)には及ばず、次世代への投資が後回しにされたことを示しています。この決断の代償を払うのは、最終的には子どもたちの未来です。

 

途上国政府が国内で資金を調達し予算を教育に振り分けることを約束した金額は合計で1,920億ドル(約21兆円)となった一方で、世界で最も豊かな国のうち何ヶ国かは、途上国の野心に呼応するレベルで、子どもたちの学びの危機に取り組み、 子どもたちが安全に学校に戻れるようにするために必要な資金を提供することができなかったのです。

 

これは、格差や差別による影響を受けている何百万人の子どもたち、パンデミックから公衆衛生を守るために学校が閉鎖され、学校に行けなくなった何百万人の子どもたちにとっての打撃です。パンデミック前にすでに25,800万人の子どもたちが教育を受ける権利を奪われていましたが、パンデミック発生により、公衆衛生を守るために学校が閉鎖され、何百万人もの子どもたちが学校に通う機会を失いました。学校が再開された後も、1,600万人もの子どもたちが二度と学校に戻れない可能性があります。

 

学校閉鎖により、低所得国の最も貧しい子どもたちが最も甚大な影響を受けています。パンデミック中に失われた生涯の通学日数は、豊かな国々の同世代の子どもたちと比較して66%も多い日数になっています。

 

今子どもたちに背を向けるべきではありません。この危機から立ち直るために、世界のリーダーたちが50億ドルの増資を果たすために拠出額を増やさなければ、パンデミックにより一世代を失うリスクがあります。

 

日本政府からは、茂木外務大臣がビデオにて登壇しました。ビデオメッセージにおいて教育の重要性が強調され、日本政府としてGPEへの支援の継続を含め、今後5年間で15億ドル(1,650億円)を超える教育支援を行っていくことを約束したことを評価します。しかし、2019年の教育分野ODAは約5.7億ドル(注1)であり、この水準を維持すると仮定すると、5年間で約28億ドルとなります。今回表明された15億ドルの内訳は不明ですが、今後5年間で15億ドルという数字は決して野心的とは言えないと私たちは考えます。また、15億ドルのうち、GPEに対する拠出金額は明確にされず、今回の教育サミットにおいて各国がGPEへの拠出を表明する中、日本が存在感を出せなかったことに失望せざるを得ません。

 

教育はインフラ等と違い、投資収益や経済的利益などが明確かつ短い年数後にもたらされるものではありません。しかしながら、教育は、子どもたちにとって将来の基盤となるだけではなく、児童労働や児童婚などの危険から守り、学校給食により栄養をとれるなどの多様な機能を果たします。日本が少しでも多くの資金を教育に振り分け、特に最も貧しく脆弱な立場にいる子どもたちの教育の権利を守ることを要望します。

 

1:外務省2020年版開発協力参考資料集」。無償資金協力及び技術協力の合算。数値は約束額ベース。


 

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