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アドボカシー
(公開日:2020.05.14)

報告書『危険が私たちの現実〜DANGER IS OUR REALITY』を発表―パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区において紛争と占領が教育に与える影響が明らかに

 

セーブ・ザ・チルドレンは、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区において紛争と占領が教育にどのような影響を与えているかを明らかにするために、同地区において400人以上の子どもたちに対して調査を行いました。調査の結果、子どもたちの4分の3が学校への攻撃を経験していることが明らかになりました。


タラさん(17歳)が描いた絵


本調査によると、ヨルダン川西岸地区において、子どもたちが経験した攻撃のうち最も多く見られるものが催涙ガス攻撃と軍による襲撃であることが分かりました。その他、次のようなことが明らかとなっています。


  • 4分の3の子どもたちが、通学する学校が襲撃にあったことがあると回答しました。また、ナーブルス市に住む子どもたちの93%が、そのような経験があると回答しました。
  • 4分の3の子どもたちが、通学路で軍や入植者と遭遇した際に、暴言を浴びせられたり、催涙ガスの噴射や暴行を加えられるかもしれない恐怖を感じていました。
  • 4分の1の子どもたちが、学校が安全な場所ではないと感じ、不安やストレスの感情の現れとして、自分では抑えられない震えや失神、自身の喪失や絶望感などの身体的症状を報告しました。
  • ・約3分の1にあたる子どもたちからは、教室で集中できないという問題も報告されました。そのうち80%の子どもたちは、集中できない主たる要因として「恐怖」をあげました。


西岸地区に暮らす少年が学校での日々を描いた絵


新型コロナウイルス感染症感染拡大とそれに伴う休校措置がなされて以降、学校内外における催涙ガスを使用した攻撃は発生していません。これは、感染が収束した後も維持すべき傾向です。しかし、新型コロナウイルス感染症以前の状況を見ると、
20193月には47件の教育への攻撃が確認され、うち9件は学校や生徒に対して催涙ガスが使用されるなど、催涙ガスを使用した攻撃件数は2018年から2019年にかけて倍増していました。

リマさん(13歳)は、ベツレヘムの学校で経験した攻撃について次のように話します。
「兵士たちが催涙ガスを放ち、泣き始めた学生もいれば、ガスで窒息してしまった学生もいました。ガスのにおいがして、目が焼けたように熱くなりました。学校には、私たちが自分たちの手当てをするための十分な設備もありませんでした。痛くて、怖かったです。」

ヘブロンに住むファレアさん(12歳)は、次のように話します。
「去年、兵士たちは、学校を3回か4回攻撃しました。催涙ガスを放ち、実弾も打ってきました。先生や学生たちのなかには呼吸困難に陥った人もいて、救急車が来ました。みんな一斉に家に帰りました。」

催涙ガスは、少なくとも短中期的には、肺に炎症を起こし、損傷を与えます。新型コロナウイルスは、過去に肺疾患や炎症、損傷を負った人にとって、特に致命的だと言われています。新型コロナウイルス感染症に関する初期の調査では、子どもは大人に比べて感染や重症化する可能性が低いとされていますが、セーブ・ザ・チルドレンは、催涙ガスへ慢性的に晒されていることが、感染リスクを高めることになりかねないと懸念しています。


ルマさん(16歳)が催涙ガスから逃げる子どもたちを描いた絵


子どもたちのメッセージは明確です。私たちの教育への攻撃を止めて、私たちの学校を安全で通いやすく、楽しい場所にしてください。

イスラエル政府およびパレスチナ自治政府、国際社会、そして多くの支援国は、子どもたちのこの要求に応え、パレスチナの子どもたちの希望が、世界中の子どもたちにとってそうあるべきなように、現実のものになるよう即座に措置を講ずる必要があります。セーブ・ザ・チルドレンはすべての紛争当事者に対し、国際法で定められた義務に則り、あらゆる子どもたちの教育へのアクセスを守る義務を遂行するよう求めます。


報告書全文(英語)はこちら
報告書概要(日本語)はこちら
STOP THE WAR ON CHILDREN−紛争下の子どもを守ろう− 特設サイト




新型コロナウイルス感染症 緊急子ども支援
https://www.savechildren.or.jp/lp/coronavirus/

 

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