アドボカシー(公開日:2021.08.18)
【活動報告】SWOCユースチームがパレスチナ自治区の子どもたちとの意見交換会を実施しました―Stop the War on Children (SWOC)ユースチームvol.8
2021年8月2日、SWOCユースチームは、パレスチナ自治区で学校に通う子どもたちとオンラインでの意見交換会を実施しました。
1967年にイスラエルがヨルダン川西岸地区を占領して以来、パレスチナ自治区では、子どもたちが長期にわたり、心身への大きな影響を受けています。学校や教育への攻撃も続いており、イスラエル政府はこれまでにパレスチナ人の家屋と共に学校の取り壊しも行ってきました*1。2021年5月には、パレスチナ自治区ガザにある31校の学校が空爆を受け、そこで学ぶ2万4,000人以上の子どもたちの教育に深刻な影響が及びました*2。パレスチナ自治区に暮らす子どもたちにとって、自分たちが住む地域が不安定な状況、また教育を受けられない状況が続いています。
SWOCユースチームは、世界の子どもたちが、安心・安全な環境で教育を受ける権利をどうしたら守れるか考えるため、パレスチナ自治区の子どもたちと意見交換会を行いました。今回参加してくれたパレスチナ自治区に暮らす子どもたちは、教育を攻撃から守るための「学校保護宣言」や、子どもの権利について学び、社会に広める活動を行っている子どもたちでした。
■子どもたちから聞く生の声
意見交換会では、まずパレスチナ自治区の子どもたちから、教育に関する体験を共有してもらいました。
彼らにとって、通学中に不安に感じることの一つは検問所での対応だとのことです。パレスチナ自治区で子どもたちは、通学途中に、いくつかの検問所を通過しなければなりません。検問所では通行を止められるだけではなく、時に暴力を受けたり、催涙ガスをかけられたりすることもあり、これは心身ともに子どもたちに影響を及ぼし、学校に遅れたり行けなくなったりする原因になっているとのことでした。
また、2021年5月のイスラエル軍による空爆や砲撃*3の際の様子についても語られました。ガザ地区では多くの子どもたちが殺され、学校は空爆により破壊されました。避難所となり、多くの人が集まる学校は攻撃される危険性があること、また、卒業前に行われる最終試験が延期されたり、混乱のなか一部の子どもたちが教科書を失くしてしまったりするなど教育にも甚大な影響が及びました。安全とはいえない学校に、子どもたちを行かせないという判断をした保護者も多かったようです。
参加者の一人から、攻撃や暴力を受けることによる精神的な影響についても話がありました。難民キャンプから学校に通うその参加者は、攻撃を受けていることのストレスを常に感じていると言います。検問所での暴力や日常的に続く攻撃への恐怖は、パレスチナ自治区に暮らして学校に通う多くの子どもたちを苦しめています。
■日本にいる私たちができること
このような状況を受け、意見交換を行い、日本にいる私たちには何ができるかを考えました。
パレスチナの子どもたちは、教育を受けたいと願う自分たちが、危険にさらされ、安全に学校に通えない状況を、日本国内にもっと伝えてほしいと訴えました。彼らにも、世界の他の子どもたちと同じように教育を受ける権利があるということを、日本社会に届け、彼らの体験を広める必要性を認識しました。
また、日本のユースがパレスチナの子どもたちの声を広く伝えていくことは、日本政府の「学校保護宣言」への賛同にとっても重要であることがわかりました。彼らから、パレスチナで起きている教育への攻撃を止めるために、国際社会の一員として、日本が宣言に賛同することは意義があり、効果がもたらされるとの声がありました。
さらに、パレスチナの子どもたちと日本のユースが共同でイベントを行ったり、アドボカシー活動を行ったりすることで、それぞれの国でより多くの子どもたちやユースを力づけることができるという考えも共有されました。
■日本のユースのコメント
イベント後、意見交換会に参加した日本のユースからは、次のようなコメントがありました。
「イベントの前はパレスチナでどのような教育を受けているのかを聞きたいと思っていたが、それ以前に教育を受ける環境が整っていないこと、また攻撃の精神的な影響などについて知ることができた。また、パレスチナの子どもたちは、教育を自分たちの権利の問題として考えていると感じた」
「日本にいる私たちにできることを、パレスチナの子どもたちが考えていてくれたことに驚いた。私たちができることについて考えていくことの意義を、彼らから学んだ」
「紛争や衝突に関する情報をニュースなどで聞いたことはあったが、子どもたちの生の声を聞いたことで、今取り組んでいる『学校保護宣言』の重要性をより強く感じた。より積極的に活動したいと感じたので、今後もこのようなイベントを開催していきたい」
「検問所での不安など、子どもたちがありのまま発言してくれたのは、同世代だったから話してくれた部分もあるのではないか。この生の声を受け止め、これらを軸に行動していきたい」
今回の意見交換会は、パレスチナ自治区に暮らす子どもたちが日常的に攻撃の危険と恐怖にさらされ、安全な環境で教育を受けられていないこと、そして教育を受けるために日本政府が行動することに意義があると再認識する機会となりました。SWOCユースチームは、これからも紛争下の子どもたちの教育を守る「学校保護宣言」に日本政府が賛同するための政策提言活動や、日本社会に向けた社会啓発活動に、積極的に取り組んでいきます。
(執筆:アドボカシー室インターン/SWOCユースメンバー 大竹くるみ)
*1 【パレスチナ自治区】子どもたちが暮らす家屋の破壊−新型コロナウイルス感染症拡大中も増加
*2 【声明】イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区間の衝突に対するセーブ・ザ・チルドレンの声明
*3 【パレスチナ自治区ガザ地区】武力衝突の影響を受けた地域での水・衛生支援と子どもたちの心理社会的支援
1967年にイスラエルがヨルダン川西岸地区を占領して以来、パレスチナ自治区では、子どもたちが長期にわたり、心身への大きな影響を受けています。学校や教育への攻撃も続いており、イスラエル政府はこれまでにパレスチナ人の家屋と共に学校の取り壊しも行ってきました*1。2021年5月には、パレスチナ自治区ガザにある31校の学校が空爆を受け、そこで学ぶ2万4,000人以上の子どもたちの教育に深刻な影響が及びました*2。パレスチナ自治区に暮らす子どもたちにとって、自分たちが住む地域が不安定な状況、また教育を受けられない状況が続いています。
SWOCユースチームは、世界の子どもたちが、安心・安全な環境で教育を受ける権利をどうしたら守れるか考えるため、パレスチナ自治区の子どもたちと意見交換会を行いました。今回参加してくれたパレスチナ自治区に暮らす子どもたちは、教育を攻撃から守るための「学校保護宣言」や、子どもの権利について学び、社会に広める活動を行っている子どもたちでした。
■子どもたちから聞く生の声
意見交換会では、まずパレスチナ自治区の子どもたちから、教育に関する体験を共有してもらいました。
彼らにとって、通学中に不安に感じることの一つは検問所での対応だとのことです。パレスチナ自治区で子どもたちは、通学途中に、いくつかの検問所を通過しなければなりません。検問所では通行を止められるだけではなく、時に暴力を受けたり、催涙ガスをかけられたりすることもあり、これは心身ともに子どもたちに影響を及ぼし、学校に遅れたり行けなくなったりする原因になっているとのことでした。
また、2021年5月のイスラエル軍による空爆や砲撃*3の際の様子についても語られました。ガザ地区では多くの子どもたちが殺され、学校は空爆により破壊されました。避難所となり、多くの人が集まる学校は攻撃される危険性があること、また、卒業前に行われる最終試験が延期されたり、混乱のなか一部の子どもたちが教科書を失くしてしまったりするなど教育にも甚大な影響が及びました。安全とはいえない学校に、子どもたちを行かせないという判断をした保護者も多かったようです。
参加者の一人から、攻撃や暴力を受けることによる精神的な影響についても話がありました。難民キャンプから学校に通うその参加者は、攻撃を受けていることのストレスを常に感じていると言います。検問所での暴力や日常的に続く攻撃への恐怖は、パレスチナ自治区に暮らして学校に通う多くの子どもたちを苦しめています。
■日本にいる私たちができること
このような状況を受け、意見交換を行い、日本にいる私たちには何ができるかを考えました。
パレスチナの子どもたちは、教育を受けたいと願う自分たちが、危険にさらされ、安全に学校に通えない状況を、日本国内にもっと伝えてほしいと訴えました。彼らにも、世界の他の子どもたちと同じように教育を受ける権利があるということを、日本社会に届け、彼らの体験を広める必要性を認識しました。
また、日本のユースがパレスチナの子どもたちの声を広く伝えていくことは、日本政府の「学校保護宣言」への賛同にとっても重要であることがわかりました。彼らから、パレスチナで起きている教育への攻撃を止めるために、国際社会の一員として、日本が宣言に賛同することは意義があり、効果がもたらされるとの声がありました。
さらに、パレスチナの子どもたちと日本のユースが共同でイベントを行ったり、アドボカシー活動を行ったりすることで、それぞれの国でより多くの子どもたちやユースを力づけることができるという考えも共有されました。
■日本のユースのコメント
イベント後、意見交換会に参加した日本のユースからは、次のようなコメントがありました。
「イベントの前はパレスチナでどのような教育を受けているのかを聞きたいと思っていたが、それ以前に教育を受ける環境が整っていないこと、また攻撃の精神的な影響などについて知ることができた。また、パレスチナの子どもたちは、教育を自分たちの権利の問題として考えていると感じた」
「日本にいる私たちにできることを、パレスチナの子どもたちが考えていてくれたことに驚いた。私たちができることについて考えていくことの意義を、彼らから学んだ」
「紛争や衝突に関する情報をニュースなどで聞いたことはあったが、子どもたちの生の声を聞いたことで、今取り組んでいる『学校保護宣言』の重要性をより強く感じた。より積極的に活動したいと感じたので、今後もこのようなイベントを開催していきたい」
「検問所での不安など、子どもたちがありのまま発言してくれたのは、同世代だったから話してくれた部分もあるのではないか。この生の声を受け止め、これらを軸に行動していきたい」
今回の意見交換会は、パレスチナ自治区に暮らす子どもたちが日常的に攻撃の危険と恐怖にさらされ、安全な環境で教育を受けられていないこと、そして教育を受けるために日本政府が行動することに意義があると再認識する機会となりました。SWOCユースチームは、これからも紛争下の子どもたちの教育を守る「学校保護宣言」に日本政府が賛同するための政策提言活動や、日本社会に向けた社会啓発活動に、積極的に取り組んでいきます。
(執筆:アドボカシー室インターン/SWOCユースメンバー 大竹くるみ)
*1 【パレスチナ自治区】子どもたちが暮らす家屋の破壊−新型コロナウイルス感染症拡大中も増加
*2 【声明】イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区間の衝突に対するセーブ・ザ・チルドレンの声明
*3 【パレスチナ自治区ガザ地区】武力衝突の影響を受けた地域での水・衛生支援と子どもたちの心理社会的支援