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アドボカシー
(公開日:2021.04.19)

気候危機 リスクの高い国に住む子どもたちは7億1千万人

 
セーブ・ザ・チルドレンは、気候変動の影響を受けるリスクが最も高い45ヶ国に、推定7億1千万人の0歳から17歳の子どもたちが暮らし、これらの国々の子どもたちは、食料不足、病気やその他の健康上のリスク、水不足、水位上昇などのリスク、さらにこれらの要因の複合的な影響を受けていると警鐘をならします。


また、気候危機が食料生産に与える影響は、地域の食料不足や価格高騰につながる可能性が高く、最も貧しい世帯に壊滅的な影響を与えるため、子どもたちとその家族が現在および将来の気候変動に対応できるよう、抜本的な対策を講じる必要があります。

もし、抜本的な対策を講じなければ、今後数十年のうちに、気候危機の影響はさらに数百万人の子どもたちに及ぶだろうと考えています。特に、社会的なセーフティネットが整備されていない国では、気候変動による影響が増すと、そのたびに家族がその影響から回復するのが困難になり、さらなる貧困に追い込まれたり、住み慣れた地域を去ることを余儀なくされたりすることになります。

セーブ・ザ・チルドレンの分析によると、以下のようなことが分かっています。
●気候変動の影響を受けるリスクの高い国の70%はアフリカの国々である
●気候変動の影響は、紛争により深刻な食料不足に陥っているイエメンのすでに悲惨な状況を悪化させており、数百万人の子どもたちが飢餓の危機に晒されている
●バングラデシュの子どもたちは、洪水やサイクロン、海面上昇の影響を強く受けている
●コンゴ民主共和国では、すでにマラリアやデング熱が子どもたちを苦しめている。異常気象の増加は、保健システムがすでにひっ迫しているなかで、新たな健康リスクを引き起こす可能性がある

すべての子どもたちが気候変動の影響を受けますが、貧困や紛争、飢餓のなかで生活している子どもたちや、災害が多い地域の子どもたちは、すでに基本的なニーズを奪われていることが多いため、最も被害を受けることになります。リスクが低いとされる国々の子どもたちも、森林火災や洪水、干ばつ、その他の不規則な気象現象など、同じように脅威に晒されています。

モザンビークに住む14歳のバプティスタさんは、2019年に発生したサイクロン「ケネス」による被害を次の通り話します。
「私が忘れられないのは、大量の雨と強風のために多くの家が崩れているのを見たことです。なぜ、あのような大雨が降って、強風が吹いたのか分かりません。その後、私たちは自宅を失い、食べ物もない状態になり、ひどい目に遭いました。」

セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長インゲル・アッシンは、次のとおり話します。
「気候変動は、国境や世代を超えて、子どもたちとその権利の実現にとって最大の脅威となっています。新型コロナウイルス感染症の発生は、すでに数百万人の子どもたちや家族を貧困に追い込み、飢餓や栄養不良を増加させています。しかし、洪水やハリケーン、干ばつなども子どもたちの栄養不良を引き起こしています。

子どもたちは、私たちが直面している危機に関与したわけではないのに、最も高い代償を払うことになるでしょう。私たちは、真にグローバルな活動を通じて気候変動問題をリードする子どもたちの力を目の当たりにしてきました。しかし、もっと多くのことをしなければなりません。

子どもたちの声に耳を傾け、子どもたちの声に基づいて政府が行動を起こす必要があります。各国政府は、最も弱い立場に置かれた子どもたちを含む子どもたちの提言を、気候変動政策に盛り込むために、オンライン、オフラインを問わず、子どもに優しいメカニズムやプラットフォームを構築する必要があります。」

ジョー・バイデン米大統領が、4月22日のアースデイから「気候変動サミット」を開催します。セーブ・ザ・チルドレンは、サミットに参加する世界のリーダーたちに対して、最初に最も被害を受ける、最も周縁化された貧困層を含む子どもたちの声に耳を傾けるべきだと訴えます。

そして、すべての政府に対し、気候変動の不公正に正面から取り組み、子どもとその家族へのさらなる壊滅的な影響を回避するために、迅速かつ抜本的な行動をとるよう要請します。
これには、以下のような行動が含まれます。
●気候変動の危機は、最初に、そして最悪の形で子どもたちに影響を与える、子どもの権利の危機であることを認識すること
●貧困国の子どもたちに焦点をあてた適応策を中心とした気候変動対策資金を増額し、助成金として支給すること
●ミラノで開催されるユースサミットや、今年末にグラスゴーで開催されるCOP26など、今後予定されている気候変動に関する国際会議で、特に最も周縁化されたコミュニティの子どもたちに焦点をあてること。子どもたちは、気候変動に対処するための対等なステークホルダーであり、その提言をすべての気候関連政策に盛り込む必要があること
●気候変動が子どもとその家族に与える影響の増大に対応するため、母親や子どもへの助成金など、適応性があり、災害の影響に対応する社会的保護制度を拡充すること。すべての子どもを貧困から守る子どもの権利条約の実現に向けて、たとえば、子どもの健やかな成長(well-being)と回復力を高めるための一律給付による児童手当の支給など、より多くの国が努力する必要があること

【分析方法】
国のランキングは、Notre Dame Global Adaptation Initiative (ND-GAIN), 2018 (最新のデータセット)を使用しています。適応スコアが25%低い国をすべて抽出し、これらの国は他国に比べて気候ショックのリスクが高いとしました。これらの45ヶ国については、2021年の国連人口データを用いて、子どもの人口(0歳〜17歳)を算出しました。
ND-GAINでは、気候変動の影響を受ける可能性の高い6つの分野(生態系、食料、健康、人間の居住環境、インフラ、水)を考慮しています。ND-GAINは、RCP4.5シナリオに対して算出された予測トレンドを使用しています。IPCCによると、RCP4.5では、2045年頃までに二酸化炭素(CO2)の排出量が減少し始め、2100年には2050年の約半分のレベルになることが求められています。

 

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