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アドボカシー
(公開日:2022.04.19)

【調査結果】「学校生活において子どもの権利を尊重していますか?」−学校の先生向けのアンケート調査

 
日本に暮らす子どもたちが自分たちの権利について学べる機会をもっと持てるよう、セーブ・ザ・チルドレンでは、国や自治体などに働きかけるとともに、学校や一般の方向けの啓発活動も行っています。 

その一環として、2022年3月、現職の教員を対象としたアンケート調査を実施しました。この調査では、子どもにとって最も身近な大人ともいえる「学校の先生」に向けて、子どもの権利についてどのように考えているか、そして、多くの子どもたちが一日の大半を過ごす学校において、子どもの権利をどのように尊重しているかなど、計6問を尋ねています。 
今回、アンケート結果がまとまりましたので、ご紹介します。

アンケート結果全文はこちら



【期間】 2022年3月11日〜3月14日 【有効回答数】 468人 【調査地域】 47都道府県 【調査方法】 インターネット調査ツール「QiQUMO」提携先会員の教員による任意回答 ※このアンケート調査は、(株)クロス・マーケティングの協力により実施しました。
「子どもの権利を知っていますか?」という質問では、
「内容までよく知っている」教員は、約5人に1人(
21.6%)「全く知らない」、「名前だけ知っている」教員は、合わせて3割にのぼりました(30.0%)。



子どもの権利の内容の理解に関する質問では、子どもの権利と、子どもの権利ではない項目を混ぜて並べ、「子どもの権利としてふさわしいと思うこと」を回答してもらいました(複数選択可)。 


その結果、「子どもは遊んだり、休んだりする権利を持っている」を選んだ教員は約6割(59.8%)、「子どもは自分と関わりあるすべての事について意見を表明でき、その意見は正当に重視される」を選んだ教員も、約6割(64.1%とどまりました。この2つはどちらも、国連子どもの権利条約によって定められた権利です(それぞれ同条約第31条、第12条)。 


また、子どもの権利は基本的人権であり、生まれながらにすべての子どもが有する権利で、なんらかの義務や責任を果たすことが条件ではありませんが、「子どもは義務や責任を果たすことで権利を行使することができる」を選択した教員は、4人に1人を超えました(27.6%)。 




「学校において、子どもの権利を尊重していますか?」という質問では、約半数の教員が「尊重している」(48.5%)と回答し「ある程度尊重している」 と答えた教員も半数近くにのぼりました(45.3%)。一方で「子どもの権利について考えたことがなかった」、「あまり尊重していない・尊重していない」と回答した教員は、わせて6.2%いました。 


学校の授業などにおける、子どもの権利を伝える取り組みに関する質問では、直近1年間では「特に何もしていない」教員約半数(47.0%)となりました。 


加えて、学校で子どもの権利教育を行う際の課題として、上位3つに「適切な教材がない」(35.7%)、「教員が多忙で子どもの権利について授業を実施する準備ができない」(32.1%)、「子どもに関心を持ってもらうのが難しい」(32.1%)があがりました。また、「教育課程・カリキュラムが詰まっていて子どもの権利について教える授業をする時間がない」も3割(30.8%)を超えたほか、自由記述として「どの教科の授業で、どのタイミングで指導するか計画されていない」との回答もあり、子どもの権利が学校で教える内容として確立されていないことによる課題も示唆されした 



これらの調査結果をもとに、セーブ・ザ・チルドレンでは、多くの子どもたちが一日の大半を過ごす学校において子どもの権利を学ぶ機会が保障されるよう、教員・学校関係者を中心に、子どもの権利や子どもたちをめぐる諸課題の啓発活動を継続するとともに、子どもの権利教材の開発・普及も進めていきます。権利教材の開発にあたっては、教員の負担を増やすことなく、子どもが関心を持って取り組めるよう、学ぶ当事者である子どもたちや教員の方たちの意見を聴き、内容に反映していく予定です。 「子どもの権利の教材づくりに関心がある」、「意見を伝えたい」という子どものみなさんや教員、学校関係者の方がいらっしゃいましたら、こちらのリンク先ページ末尾のお問い合わせ先までご連絡ください。

また、現在行われている第208回通常国会にて、2023年春発足予定のこども家庭庁や、新たな子どもに関する基本法の制定などが議論されています。新しい省庁や法律においては「子どもの権利の擁護」について明記され、子どもの権利の周知に関する内容が盛り込まれる予定です。そうした国の動きも受け、セーブ・ザ・チルドレンでは学校における子どもの権利教育の実施を求める政策提言も行っていきます。

(アドボカシー部 松山晶)





 

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