アドボカシー(公開日:2021.08.20)
【パレスチナ自治区】子どもたちが暮らす家屋の破壊−新型コロナウイルス感染症拡大中も増加
セーブ・ザ・チルドレンは、イスラエル政府によるパレスチナ自治区の家屋破壊に関する最新の報告書『がれきの下の希望(HOPE UNDER THE RUBBLE)』を発表しました。
報告書では、1967年にイスラエルがヨルダン川西岸地区を占領して以来、イスラエル政府はこれまでに推定2万8,000棟のパレスチナ人の家屋を破壊し、数万人の子どもたちを強制的に移動させ、彼らの基本的な権利を大きく損なう形で生活に影響を与えてきたことが示されています。
子どもの権利条約によると、子どもは家庭的な環境のもと、幸せや愛情、理解のある雰囲気の中で育つべきであり、すべての子どもは最善の方法で成長できるように安全な場所に住む権利があるとされています。パレスチナ自治区の占領国であるイスラエルには、これらの権利を守る義務があります。
新型コロナウイルス感染症の流行が続いているにもかかわらず、2020年のパレスチナ人に対する家屋の破壊や強制退去を余儀なくされたとする報告件数は、過去4年間で最も多い件数となっており、この状況は今後も続くと考えられます。2021年1月から3月の間、イスラエル当局は293軒のパレスチナ人所有の建物を取り壊し、または差し押さえましたが、これは前年の同時期の2倍の件数になります。
家屋を取り壊された子どもたちの多くが、世界から見放されたと感じており、両親やイスラエル当局、さらには国際社会など、自分たちの権利を守ってくれる存在を信じられなくなっています。
その結果、多くの子どもたちは、無力感や失望感を抱き、それらは将来に対する気持ちに大きな影響を及ぼしています。ファーディさん(16歳)は次のように話します。
「私たちの家や生活が破壊されることを、誰も止めなかったし、止めることもできませんでした。それなのに、未来のことを夢見る意味なんてあるのでしょうか」
家屋を取り壊された子どもたちとその家族は、地位や安定、生活を失い、また社会サービスの利用もできず、生活や将来に壊滅的な影響を受けます。セーブ・ザ・チルドレンがヨルダン川西岸地区で行ったインタビューでは、以下のことが明らかになりました。
・60%の子どもたちが、家屋を破壊された後に教育の機会を失ったり、妨げられたりしたと感じている
・80%の家族が、経済的安定性に壊滅的な影響を受けており、家屋を破壊された後に4分の1以上の家族が職を失っている
・76%の家族が、家を失った後、子どもを守ることができないと感じている
・80%の子どもたちは、世界から見放されたと感じており、両親やイスラエル政府、さらには国際社会など、自分たちの権利を守ってくれる存在を信じられなくなっている
セーブ・ザ・チルドレンは、イスラエル政府に対し、住宅や学校、重要なインフラに対する既存の破壊命令をすべて取り消すように求めています。これができなければ、家も教育も受けられない子どもたちが増え、また、新型コロナウイル感染症のパンデミックが日々の生活に与えている影響はさらに大きくなるでしょう。
パレスチナ自治区の人権状況に関する国連特別報告者であり、ウェスタン大学の准教授マイケル・リンク氏は、このように述べています。
「がれきの下に希望があるとすれば、それはパレスチナの子どもたちが、私たちの共通の空の下で対等に生きる権利を要求する勇気から生まれる希望にほかならないでしょう。」
パレスチナの人たちが暮らす家の破壊や土地の収用、それに伴う立ち退きや強制移動は、国際法違反であり、子どもの成長に適した生活水準を得る権利など、子どもの権利の実現を妨げるものです。これを止めるためには、国際社会が、対抗措置を取ることを含めイスラエル政府への責任追及を明確にする必要があります。
家や学校が取り壊され続け、最も代償を払っている子どもたちの未来のために、国際社会の強い姿勢と行動力が求められています。
全文(英語)はこちら
概要(日本語)はこちら
報告書では、1967年にイスラエルがヨルダン川西岸地区を占領して以来、イスラエル政府はこれまでに推定2万8,000棟のパレスチナ人の家屋を破壊し、数万人の子どもたちを強制的に移動させ、彼らの基本的な権利を大きく損なう形で生活に影響を与えてきたことが示されています。
子どもの権利条約によると、子どもは家庭的な環境のもと、幸せや愛情、理解のある雰囲気の中で育つべきであり、すべての子どもは最善の方法で成長できるように安全な場所に住む権利があるとされています。パレスチナ自治区の占領国であるイスラエルには、これらの権利を守る義務があります。
新型コロナウイルス感染症の流行が続いているにもかかわらず、2020年のパレスチナ人に対する家屋の破壊や強制退去を余儀なくされたとする報告件数は、過去4年間で最も多い件数となっており、この状況は今後も続くと考えられます。2021年1月から3月の間、イスラエル当局は293軒のパレスチナ人所有の建物を取り壊し、または差し押さえましたが、これは前年の同時期の2倍の件数になります。
5回も取り壊された自宅を見つめるリーさん(6歳)
家屋を取り壊された子どもたちの多くが、世界から見放されたと感じており、両親やイスラエル当局、さらには国際社会など、自分たちの権利を守ってくれる存在を信じられなくなっています。
その結果、多くの子どもたちは、無力感や失望感を抱き、それらは将来に対する気持ちに大きな影響を及ぼしています。ファーディさん(16歳)は次のように話します。
「私たちの家や生活が破壊されることを、誰も止めなかったし、止めることもできませんでした。それなのに、未来のことを夢見る意味なんてあるのでしょうか」
家屋を取り壊された子どもたちとその家族は、地位や安定、生活を失い、また社会サービスの利用もできず、生活や将来に壊滅的な影響を受けます。セーブ・ザ・チルドレンがヨルダン川西岸地区で行ったインタビューでは、以下のことが明らかになりました。
・60%の子どもたちが、家屋を破壊された後に教育の機会を失ったり、妨げられたりしたと感じている
・80%の家族が、経済的安定性に壊滅的な影響を受けており、家屋を破壊された後に4分の1以上の家族が職を失っている
・76%の家族が、家を失った後、子どもを守ることができないと感じている
・80%の子どもたちは、世界から見放されたと感じており、両親やイスラエル政府、さらには国際社会など、自分たちの権利を守ってくれる存在を信じられなくなっている
セーブ・ザ・チルドレンは、イスラエル政府に対し、住宅や学校、重要なインフラに対する既存の破壊命令をすべて取り消すように求めています。これができなければ、家も教育も受けられない子どもたちが増え、また、新型コロナウイル感染症のパンデミックが日々の生活に与えている影響はさらに大きくなるでしょう。
パレスチナ自治区の人権状況に関する国連特別報告者であり、ウェスタン大学の准教授マイケル・リンク氏は、このように述べています。
「がれきの下に希望があるとすれば、それはパレスチナの子どもたちが、私たちの共通の空の下で対等に生きる権利を要求する勇気から生まれる希望にほかならないでしょう。」
パレスチナの人たちが暮らす家の破壊や土地の収用、それに伴う立ち退きや強制移動は、国際法違反であり、子どもの成長に適した生活水準を得る権利など、子どもの権利の実現を妨げるものです。これを止めるためには、国際社会が、対抗措置を取ることを含めイスラエル政府への責任追及を明確にする必要があります。
家や学校が取り壊され続け、最も代償を払っている子どもたちの未来のために、国際社会の強い姿勢と行動力が求められています。
全文(英語)はこちら
概要(日本語)はこちら