アドボカシー(公開日:2019.09.11)
TICAD7公式サイドイベント「アフリカの栄養改善〜東京栄養サミット2020に向けて〜」開催報告
2019年8月28日から30日に、アフリカ53ヶ国から42人の首脳級参加のもと、パシフィコ横浜を会場に第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が開催され、「横浜宣言2019」とこれを後押しするための「横浜行動計画2019」が採択されました。
サイドイベントに登壇し、アフリカの飢餓根絶を訴える国連世界食糧計画(WFP)のデイビッド・ビーズリー事務局長
TICAD2日目、セーブ・ザ・チルドレンは、TICAD7公式サイドイベントとしてビル&メリンダ・ゲイツ財団と日本リザルツ、アフリカ開発銀行グループなどのパートナー団体との共催で、アフリカの栄養改善に関するハイレベル・イベント「アフリカの栄養改善〜東京栄養サミット2020に向けて〜」を開催。
ブルンジやセネガル、ガーナの政府高官、外務省などの日本政府関係者、国際機関、市民社会、ユースなど24人の多様なスピーカーを招き、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)や食料安全保障の観点から、3時間にわたりアフリカ地域における栄養への取り組みの重要性について議論をしました。会場には国際栄養に従事する国内外の関係者や、TICAD7に来場した一般参加者も含め200人以上が参加し、本分野への関心の高さがうかがえました。
基調講演者の1人であるアフリカ開発銀行のアキンウミ・アデシナ総裁は、「アフリカ地域において、栄養不良はマラリアや結核以上の脅威。将来を担う子どもたちへの栄養改善なくしてアフリカの経済発展は成しえない」と述べ、栄養が政治・経済アジェンダ(課題)おいて重要であることを強調し、アフリカ全土で栄養不良をなくすためのイニシアティブAfricanLeaders for Nutrition(ALN)や政府開発援助(ODA)などを通じた、栄養における財政ギャップの是正を呼びかけました。
また、TICAD7のために来日した、途上国での栄養不良対策を進める世界的に活動するSUN市民社会ネットワーク(Scaling Up Nutrition)のユース・リーダー5人(ケニア、ザンビア、ルワンダ、ジンバブエ、マラウイ)のうち3人が登壇し、忘れられがちな思春期の若者への栄養不良対策や、学校や地域医療に栄養教育を取り入れること、さらに栄養価の高い食品加工に従事する中小企業に対する支援強化を訴えました。
アフリカ開発銀行のアキンウミ・アデシナ総裁(ALN議長)(左)
農業分野のイノベーションと積極的な若者の雇用を通じて、食料安全保障および栄養改善を訴えるSUNユース・リーダーのマイク・クンガさん(右)
ケニアで栄養士として働くジェイン・ナパイ・ランキサさんは、「栄養はさまざまな疾患の対策としてだけでなく、予防の観点から注視されるべき」と主張し、それを推進するためには草の根レベルでの啓発活動が不可欠だと述べました。さらにイベントでは、安倍内閣総理大臣がTICAD7開会式の基調演説でも触れた「東京栄養サミット」を見据えて、外務省から栄養サミットへのロード・マップが配布され、サミット開催に向けた日本のリーダーシップ強化に期待が寄せられました。
栄養教育の重要性を訴える、SUNユース・リーダーのジェイン・ナパイ・ランキサさん
東京栄養サミット2020に向けて、セーブ・ザ・チルドレンは国内外の多様なステークホルダーとともに、国際栄養改善へのアドボカシーに引き続き取り組んでいきます。
(アドボカシー室 大沼)