アドボカシー(公開日:2023.12.27)
子どもも大人も学べる!「こどものケンリ」ウェブサイトを公開しました
セーブ・ザ・チルドレンでは、子どもの権利について学べるウェブサイト「こどものケンリ」を制作・公開しました。
子どもも大人も楽しく学べるよう、イラストや動画を交えて、やさしい表現で子どもの権利について解説しているほか、学校の授業などで活用いただけるアクティビティ教材もご紹介しています。
「こどものケンリ」ウェブサイト
https://www.savechildren.or.jp/oyakonomikata/kodomo-no-kenri/learning-kit/
ウェブサイトは、大きく3つのセクションに分かれています。
【1】こどものケンリのおはなし:子どもの権利とは何か、そのなりたちや日常生活との関わりなどについて、文章と動画で解説しています。
【2】子どもの権利条約条文一覧:国連「子どもの権利条約」の第1条〜42条をイラストつきで、やさしい表現でまとめたものです。一覧は、条文のみ表示させたり、読んだ条文にチェックを入れたりすることもできます。
【3】こどものケンリを学ぼう・考えよう:学校の授業などでも使っていただけるアクティビティ教材を紹介しています。各アクティビティとも所要時間は45分程度を想定しており、グループワークなどを通して子どもの権利について学ぶことができます。
アクティビティ教材はいずれも、子どもの権利について初めて知る人を念頭に、学びの入口として使っていただける内容を心がけました。教材は今後、段階的に増やしていく予定です。
教材の開発・改善のため、ウェブサイトの掲載資料を授業などで活用された場合は、その感想や意見もぜひお寄せください。
ウェブサイトの内容や教材は、各地の子どもたちや学校の先生たちと、パイロット授業やアクティビティ体験をおこなったり、フィードバックを得ながら検討・改善を重ねてきました。
特に、墨田区立吾嬬第二中学校(東京都)、埼玉県立伊奈学園中学校(埼玉県)、船橋市立南本町小学校(千葉県)、柏市立酒井根小学校(千葉県)、柏レイソル・アカデミー(千葉県)の教員、児童生徒、関係者のみなさまには、学校・団体として多大なご協力をいただきました。
これらの学校などで、開発中の教材を活用した授業・ワークショップを実施した際に寄せられた感想・意見をいくつかご紹介します。
<子どもたちの声>
【1】こどものケンリのおはなし:子どもの権利とは何か、そのなりたちや日常生活との関わりなどについて、文章と動画で解説しています。
【2】子どもの権利条約条文一覧:国連「子どもの権利条約」の第1条〜42条をイラストつきで、やさしい表現でまとめたものです。一覧は、条文のみ表示させたり、読んだ条文にチェックを入れたりすることもできます。
【3】こどものケンリを学ぼう・考えよう:学校の授業などでも使っていただけるアクティビティ教材を紹介しています。各アクティビティとも所要時間は45分程度を想定しており、グループワークなどを通して子どもの権利について学ぶことができます。
アクティビティ教材はいずれも、子どもの権利について初めて知る人を念頭に、学びの入口として使っていただける内容を心がけました。教材は今後、段階的に増やしていく予定です。
教材の開発・改善のため、ウェブサイトの掲載資料を授業などで活用された場合は、その感想や意見もぜひお寄せください。
<2023年12月時点では、2つのアクティビティ教材を紹介しています>
ウェブサイトの内容や教材は、各地の子どもたちや学校の先生たちと、パイロット授業やアクティビティ体験をおこなったり、フィードバックを得ながら検討・改善を重ねてきました。
特に、墨田区立吾嬬第二中学校(東京都)、埼玉県立伊奈学園中学校(埼玉県)、船橋市立南本町小学校(千葉県)、柏市立酒井根小学校(千葉県)、柏レイソル・アカデミー(千葉県)の教員、児童生徒、関係者のみなさまには、学校・団体として多大なご協力をいただきました。
これらの学校などで、開発中の教材を活用した授業・ワークショップを実施した際に寄せられた感想・意見をいくつかご紹介します。
<子どもたちの声>
●子どもの権利が意外と身近なのはびっくりした。
●グループワークで友だちと話し合いながら権利を見直すことで、「この権利もあるよ」と、自分では見つけることができずにいた権利を見つけて、友だちと共感をもてて良かったです。
●社会では習わなかった新しい権利について知れて、困ったときにも知識として使える。
●一人ひとりに権利があるからどんな国の人でも大切にしていきたい。自分が大人になっても大切にしていきたいと思っている一つのことです。
●子どもの権利を知ることで、人には人の意見や考え方があって、それは自分と違うだけでそれに傷つくこともないし悲しむこともない、またお互いを認め合え、お互いを尊重し合う事ができる物だと感じている。
子どもの権利、まずは知るところから
今回、「こどものケンリ」ウェブサイトを制作した背景には、日本国内において子どもの権利が十分に認知・理解されていないこと、そして教育現場などにおいて子どもの権利を教える・学ぶことへの後押しが不足していることへの課題認識があります。
2019年にセーブ・ザ・チルドレンが実施した、全国の市民3万人の意識調査では、子どもの権利条約について「聞いたことがない」と回答した大人は42.9%、子どもは31.5%、「名前だけ聞いたことがある」との回答もそれぞれ40.7%、35.5%となりました。
また、全国の小・中・高校など現職教員を対象とした2022年のアンケート調査(回答468名)では、子どもの権利について「名前だけ知っている」、「全く知らない」との回答が合わせて30.0%となりました。
さらに、2023年9月に株式会社コドモンと共同実施した保育・教育現場向けのアンケート調査(回答272名)では、普段子どもと接する中で心がけていることとして「施設等の活動において子どもの意見を聞きその意見を取り入れている」を選んだ回答は78.7%、「教職員同士で子どもの権利の理解を高める取り組みをしている」の回答は50.4%に留まるなど、現場での子どもの権利尊重の実践に改善の余地を示す結果となりました。
アンケート調査を通じて、学校の先生や保育現場の方々から共通して伝わってくるのは、子どもの権利を伝え・保障していくうえでも、教育・保育現場を取り巻く構造を変えていく必要がある、ということです。
子どもの権利に関する授業や取り組みを実施するうえでの難しさをたずねたところ、両アンケートととも、上位2つに「適切な教材がない」(教員35.7%、保育・教育現場25.7%)、「教員・職員が多忙で子どもの権利についての授業・保育を実施する準備ができない」(教員32.1%、保育・教育現場40.1%)があがりました。
現時点では、学習指導要領にも子どもの権利の指導が盛り込まれておらず、各地の教員・保育士などの先生方が自分で調べたり教材を作ったりして、子どもたちに権利を伝える努力を個別に行っている、という現状があります。
●グループワークで友だちと話し合いながら権利を見直すことで、「この権利もあるよ」と、自分では見つけることができずにいた権利を見つけて、友だちと共感をもてて良かったです。
●社会では習わなかった新しい権利について知れて、困ったときにも知識として使える。
●一人ひとりに権利があるからどんな国の人でも大切にしていきたい。自分が大人になっても大切にしていきたいと思っている一つのことです。
●子どもの権利を知ることで、人には人の意見や考え方があって、それは自分と違うだけでそれに傷つくこともないし悲しむこともない、またお互いを認め合え、お互いを尊重し合う事ができる物だと感じている。
<子どもの権利条約を イラスト付きでやさしい表現でまとめた一覧もあります>
子どもの権利、まずは知るところから
今回、「こどものケンリ」ウェブサイトを制作した背景には、日本国内において子どもの権利が十分に認知・理解されていないこと、そして教育現場などにおいて子どもの権利を教える・学ぶことへの後押しが不足していることへの課題認識があります。
2019年にセーブ・ザ・チルドレンが実施した、全国の市民3万人の意識調査では、子どもの権利条約について「聞いたことがない」と回答した大人は42.9%、子どもは31.5%、「名前だけ聞いたことがある」との回答もそれぞれ40.7%、35.5%となりました。
また、全国の小・中・高校など現職教員を対象とした2022年のアンケート調査(回答468名)では、子どもの権利について「名前だけ知っている」、「全く知らない」との回答が合わせて30.0%となりました。
さらに、2023年9月に株式会社コドモンと共同実施した保育・教育現場向けのアンケート調査(回答272名)では、普段子どもと接する中で心がけていることとして「施設等の活動において子どもの意見を聞きその意見を取り入れている」を選んだ回答は78.7%、「教職員同士で子どもの権利の理解を高める取り組みをしている」の回答は50.4%に留まるなど、現場での子どもの権利尊重の実践に改善の余地を示す結果となりました。
<ウェブサイトでは、子どもの権利について 文章と動画でも解説しています>
アンケート調査を通じて、学校の先生や保育現場の方々から共通して伝わってくるのは、子どもの権利を伝え・保障していくうえでも、教育・保育現場を取り巻く構造を変えていく必要がある、ということです。
子どもの権利に関する授業や取り組みを実施するうえでの難しさをたずねたところ、両アンケートととも、上位2つに「適切な教材がない」(教員35.7%、保育・教育現場25.7%)、「教員・職員が多忙で子どもの権利についての授業・保育を実施する準備ができない」(教員32.1%、保育・教育現場40.1%)があがりました。
現時点では、学習指導要領にも子どもの権利の指導が盛り込まれておらず、各地の教員・保育士などの先生方が自分で調べたり教材を作ったりして、子どもたちに権利を伝える努力を個別に行っている、という現状があります。
<PC・タブレットで、カードを動かしながら学べるアクティビティ>
今回、「こどものケンリ」ウェブサイトで紹介している教材では、学校・保育現場の先生たちの負担をなるべく増やすことなく、すぐに授業などで使っていただける内容を目指しました。
子どもたちにとっても、知識として学ぶだけでなく、権利を日常生活に引きつけて考えたり、関わりある場面について想像を膨らませたりして、子どもの権利について「まずは知る」ということに活用していただきたいと考えています。
セーブ・ザ・チルドレンでは、教材の制作にとどまらず、子どもの権利の啓発・教育が社会のさまざまな場に広がるよう、引き続き、国や自治体にも働きかけていきます。
「こどものケンリ」ウェブサイトの内容や関連の活動について、お問い合わせなどあれば、ウェブサイト内の専用フォームからお寄せください。
(アドボカシー部 松山晶)
子どもたちにとっても、知識として学ぶだけでなく、権利を日常生活に引きつけて考えたり、関わりある場面について想像を膨らませたりして、子どもの権利について「まずは知る」ということに活用していただきたいと考えています。
<教材のワークシートは、ダウンロード・印刷しても使えます>
セーブ・ザ・チルドレンでは、教材の制作にとどまらず、子どもの権利の啓発・教育が社会のさまざまな場に広がるよう、引き続き、国や自治体にも働きかけていきます。
「こどものケンリ」ウェブサイトの内容や関連の活動について、お問い合わせなどあれば、ウェブサイト内の専用フォームからお寄せください。
(アドボカシー部 松山晶)