アドボカシー(公開日:2020.08.25)
ロヒンギャ危機3年:奪われる未来 バングラデシュとミャンマーの難民・避難民キャンプで誕生した10万人以上の子どもたち
セーブ・ザ・チルドレンは、過去数年間で、バングラデシュとミャンマーの難民・避難民キャンプで誕生した子どもたち(その多くはロヒンギャの子どもたち)は、推計10万8,037人にのぼると発表しました。教育の機会や、保健医療の利用は限られ、移動の自由もなく、ほぼ完全に支援に頼った生活を送る状況は、子どもたちにとって好ましい環境であるとは言えません。
国連が「民族浄化の典型的な例」と表現したほどの残虐な暴力により、70万人以上のロヒンギャの人々がミャンマーから逃れてから8月25日で3年が経過しました。セーブ・ザ・チルドレンは、この日を前に、2017年8月以降のバングラデシュの難民キャンプの人口データと、2012年以降のミャンマー西部ラカイン州の避難民キャンプの人口データを分析しました。
2020年5月31日現在の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のデータによれば、バングラデシュ南東部コックスバザールの難民キャンプに暮らす3歳未満の子どもたちの人数は7万5,971人にのぼり、これは全体の9%にあたります。この数値が意味することは、これだけの人数の子どもたちのほとんどが、母親がバングラデシュに避難後に誕生したということです。
ルナさん(3歳)は、母親がミャンマーとバングラデシュの国境を超える命がけの旅のさなかに生まれました。ルナさんは、慢性的な栄養不良に苦しんでいます。母親のハミダさんは次のように話します。「子どもの教育、未来、そしてふるまいについて心配しています。お金がないために、子どもたちが望む物を与えることができず、夢をかなえてあげることもできません。そして、子どもたちに十分に愛情を注ぎ世話をすることもできません。とても悲しいです。栄養のある食事を準備することもできません。何か欲しいものがあっても、子どもたちに何もあげられないのです。」
ミャンマーにおける民族間の争いにより、ラカイン州中心地の避難民キャンプには、2012年以降、カマン・ムスリムとロヒンギャ・ムスリムが住んでいます。セーブ・ザ・チルドレンは21ヶ所のキャンプで、避難民の25%にあたる3万2,066人の7歳未満の子どもが暮らしていると考えています(2019年12月現在のUNHCRのデータ参考)。
ハディージャさん家族は、2012年におきたラカイン州でのロヒンギャの人たちと、ラカインの人たちとの間の暴力により国内避難民キャンプでの避難生活を余儀なくされています。現在7人の子どもがいますが、このうち2人は、国内避難民キャンプで生まれました。ハディージャさんは次のように話します。
「私は、子どもたちの世話をしなければなりません。ご飯を食べさせて、学校に行かせて、なんとかしないといけないのです。私たちはここに避難した後も、たくさん苦しみました。食べることも、眠ることも、子どもたちに薬を与えることもできなかったのです。彼らは家を焼き尽くし、市場で数人を生きたまま焼いたのです。その時、子どもたちと一緒に生きて逃げられるとは思いませんでした。」
- Save the Children calculated 108,037 children born in the camps of Cox’s Bazar and Rakhine by using population data from UNHCR. In Bangladesh, the figure of 75,971 children under three was calculated by dividing the population of children aged 1-4 by two and adding that to the population of children aged under one, to arrive at an estimate of children born since August 2017 in Cox’s Bazar, following the brutal escalation of violence in Myanmar which led to 700,000 people fleeing to Cox’s Bazar. In Myanmar, the figure of 32,066 was calculated by dividing the population of children aged 6-11 by six to establish the estimated population of ages 6-7 and adding that to the population of children aged 0-5, to arrive at an estimated population of children born in displacement camps in Myanmar, which were set up in 2012.
- Save the Children supports over 230,000 people from various ethnic and religious communities in central Rakhine state, which includes some 130,000 displaced Rohingya and Kaman people across 21 displacement camps The aid agency provides support to the community in several ways, through programmes in education, health, nutrition, water and sanitation, cash transfers and child protection services.
- Save the Children has been working in Myanmar since 1995, across nine states in the country. Its programmes in Myanmar include: improving children’s access to health and nutrition; ensuring all children in Myanmar are protected from harm; upholding children’s rights; ensuring every child receives quality education; addressing household poverty.