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アドボカシー
(公開日:2023.11.29)

【活動報告】保育・教育現場向けに「子どもの権利に関するアンケート調査」と対談を実施しました(株式会社コドモンとの共同調査)

 
2023年4月に「こども基本法」が新たに施行されました。同法では、子どもの権利を広く一般に知らせること(第15条)、子ども施策を進めるうえで教育・保健・療育などの関係機関が連携を図ること(第13条)も盛り込まれました。

2023年9月に、セーブ・ザ・チルドレンを支援している株式会社コドモンとの共同調査として、保育・教育施設を対象に 子どもの権利に関するアンケート調査を実施しました。
質問内容は、2022年3月にセーブ・ザ・チルドレンが学校の教員を対象に行ったアンケートをもとにしており、子どもの権利についてどのように考えているか、日々子どもたちと接する中でどのようなことを心がけているかなど、計7問です。

11月には、アンケートに回答した施設のうち、こども園と放課後児童クラブ(学童保育)の2施設の皆さんと、それぞれの現場での取り組みや求めたい政策などについてオンライン対談も行いました。

今回、アンケート結果と対談がまとまりましたのでご紹介します。
アンケート結果の詳細はこちら
対談全文はこちら



【コドモン×セーブ・ザ・チルドレン共同調査】
子どもの権利に関する保育・教育現場向けアンケート


【期間】 2023年9月5日(火)〜 9月24日(日)
【対象】 CoDMON(コドモン)を利用する全国の保育・教育施設
【方法】 メール案内、WEB回答方式
【有効回答数】 272件
【回答施設の属性】 保育施設84.6%、学童6.3%、幼稚園1.5%、その他7.7%
【調査主体】 株式会社コドモン、セーブ・ザ・チルドレン


アンケート調査の結果、子どもの権利について「内容までよく知っている」の回答者は27.9%、「内容について少し知っている」の回答者は58.5%となりました【アンケートのQ1】。 実際に、「普段、子どもと接する中で心がけていること」として、「性別・障害・人種・生まれや文化(ルーツ)・経済状況などにより差別せず子どもと接している」(97.8%)といった項目選択が各項目で8割を超えるなど、多くの施設で子どもの権利保障が意識されていることがうかがえます【Q4】。

一方、「子どもの権利としてふさわしい内容」としては、「子どもは自分と関わりあるすべての事について意見を表明でき、その意見は正当に重視される」を選んだ回答者は85.7%となるなど、理解浸透の余地もあることが示唆されました【Q2】。

「子どもの権利の尊重・推進のため国や自治体に求めたいこと」についても、下記の順に多くの声が寄せられています【Q7】。



自由記述の質問項目では、全体的に非常に多くの回答がありました。

例えば、直近1年間に行った取り組み例では、「子どもの人権擁護に関わるチェックリストを使用し、気付きについてグループトークを実施した」など職員間での取り組み、「遊びの際のルールや決め事は、子どもたちの話し合いにより決めている」など子どもの意見を聴く実践、「子どもの権利条約を保護者さんにも説明会で伝えている」など保護者への働きかけを中心に、たくさんの事例・アイディアの紹介がありました【Q5】。

アンケート結果について、詳しくはこちらをご覧ください。


社会のみんなで子どもを育てている・・・だから誰もが人権・子どもの権利についてもっと知る機会があるといい

アンケートに寄せられた現場の声について理解を深めるため、回答くださった施設のうち企業主導型保育施設と放課後児童クラブの2施設の方々に、インタビュー対談にご協力いただきました。

【対談者】
◆新潟県燕市の「燕あたごこども園」(運営:社会福祉法人愛宕福祉会)
園長・小池裕子さん
◆兵庫県尼崎市の児童ホーム「つくし」(運営:NPO法人サニーサイド)
施設長・北林和樹さん
◆セーブ・ザ・チルドレン
アドボカシー部・松山晶、パートナーリレーションズ部・山田有理恵
◆〈モデレーター〉 コドモン
広報・岡田咲月さん
【実施日】 2023年11月2日(オンライン実施)


現場での子どもの権利保障の取り組み例として、小池さんの保育園では、全国保育士会の「保育所・認定こども園等における人権擁護のためのセルフチェックリスト」をもとに、園の環境に合わせてオリジナルシートを作っているそうです。毎月そのシートを見ながら、「こういうとき、どうしたらいいかな」、「私はこんな風に関わっているよ」というように、保育園の先生たち同士での振り返り・学び合いに役立てているそうです。

北林さんの学童保育では、時間割をなくし、子どもの生活リズムに合わせてその場でやることを決めているとのこと。また、「自分を大切にする、相手も大切にする」といった基本だけを共有し、ルールを極力なくすことで、「今は、5人しかいないんだから、少し走れるんじゃない?」「なら、この机は危ないから、たたんでしまおう」「みんな靴下は滑るから脱ごう」など、子どもたちが当事者同士で話し合って決めることにもつながっているとのお話でした。



国や行政に求めたいことについては、北林さんより、「何か課されたものから解放されている時間が放課後だと思っていて、子どもたちはありのままの自分を表現していることが多い。学童の横のつながりを強くすることで、子どものリアルな声を集める、そしてそれを国に知ってもらうということはすごく大事」との指摘。

小池さんからも、「現場は保育士不足で悩んでいて、このままではどんどんなり手がいなくなってしまうんじゃないかという危機感もある」、「保護者の方が働く企業や身近な大人、そして国にも、子どもが本当に求めていることって何かというのを考えてもらえると嬉しい」との発言がありました。

対談の全文は、こちらをご覧ください。


今回の調査・対談を通じて、子どもたちが人生の早い時期から自身の権利を尊重され、その経験が積み重ねられることの大切さや、そのために日々各地の保育・教育現場で工夫と実践が行われていることについて、実態への理解が深まったと感じています。

それらの取り組みを後押しするうえでも、セーブ・ザ・チルドレンでは、子どもも大人も子どもの権利を学び、実践を考えていく機会が増えるよう、国や自治体をはじめ、社会のさまざまなステークホルダーに働きかけを続けていきます。

(アドボカシー部 松山晶)

 

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