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アドボカシー
(公開日:2024.02.20)

世界で 14 億人の子どもたちが社会的保護を受けられず

 
国際労働機関(ILO)、国連児童基金(ユニセフ)、セーブ・ザ・チルドレンが2024年2月14日に発表したデータによると、世界で、0歳から15歳までの14億人の子どもたちが、社会的保護(児童手当・家族手当など)を受けられず、病気や栄養不良、貧困の危険に晒されていることが明らかになりました。

ユニセフの社会政策・社会的保護担当ディレクターは、次のように述べています。
「世界には、1日2.15米ドル未満で暮らす極度の貧困状態で生活する子どもたちが3億3,300万人おり、多次元の貧困に苦しむ子どもたちは10億人近くいます。このままでは、持続可能な開発目標(SDGs)で掲げた貧困削減の目標を達成することはできません。これは受け入れがたいことです。

しかし、子どもの貧困に終止符を打つことは、政策の選択です。
貧困削減に向け、子どもの社会的保護のカバー率を拡大することは、児童手当の一律給付の漸進的な実現も含め、極めて重要です。」

2009年から2023年にかけて児童手当のカバー率の地域別内訳は以下の通りです。
ー東アジア・太平洋地域では、カバー率は 2009 年の 9.2%から、2023 年には 16.0%へと上昇
ー東部・南部アフリカ地域では、カバー率は9.6%から12.3%に増加
ー西部・中央アフリカ地域では、カバー率は3.1%から11.8%に増加
ー東欧・中央アジア地域では、カバー率が59.0%から61.4%に増加
ー北米地域ではカバー率が78.1%から84.0%に増加
ー西欧地域では、カバー率は91.0%から93.2%に増加

同時期に、より顕著な改善が見られたのは以下の地域です。
ーラテンアメリカとカリブ海諸国地域では、30.8%から41.9%に増加
ー中東・北アフリカ地域では、22.7%から32.5%へ増加
ー南アジア地域では9.2%から24.3%へ増加

ILO の社会保護部ディレクターは、以下のように述べています。
「これは、給付の対象となっていない10億人以上の子どもたちと、その子どもたちが暮らす国々にとっての危機です。保護の格差を是正するための効果的な政策立案が急務です。ほとんどの地域で、保護の適用範囲の改善はわずかであり、あまりにも多くの子どもたちが取り残されています。」

セーブ・ザ・チルドレン、ILO、ユニセフは、児童手当のカバー率を把握し、格差是正に向けた政府やドナーに働きかけを強化するためのオンラインプラットフォーム「Global Child Benefits Tracker(グローバル・チャイルド・ベネフィット・トラッカー)」を開発しました。

このプラットフォームは、世界全体で8億2,900万人の子どもが、1人当たりの所得が1日3.65米ドル未満の世帯で暮らしており、子どもの貧困削減への取り組みが停滞しているという、最新のデータが明らかになった重要なタイミングで立ち上げられました。

セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルの子どもの貧困担当グローバル・ポリシー アドボカシーリーダーは次のように話します。
「社会的保護制度は、家族がより良い栄養、健康、教育、保護を受けられるよう支援するものであり、子どもたちの権利を実現し、将来の可能性を高め、包括的で強靭な経済を構築するために不可欠です。

しかし、 残念ながら、多くの国々は社会的保護への投資を優先してきませんでした。
私たちは、オンラインプラットフォーム『グローバル・チャイルド・ベネフィット・トラッカー』を通して、世界の子どもの貧困の規模、そして進捗を確認し、政治的に働きかけ、子どもに配慮した社会的保護制度への投資を拡大することを目指しています。」

3組織は、政策立案者と支援国に対し、すべての子どもたちのための普遍的な社会的保護を実現するために、以下のような思い切った措置を講じるよう強く求めています。

ー権利を基盤としてジェンダーに配慮した包摂的かつ危機に対応できる社会的保護制度を構築することで、不公平に対処し、少女や女性、障害のある子ども、移民の子ども、児童労働を強いられている子どもたちの状況を改善する。

ー保護の格差の是正に必要な「経済的格差」の削減に取り組む。すべての子どもに対する児童手当などへの投資は、子どもの貧困対策に取り組み、子どもたちの成長を支えるための、実績のある費用対効果の高い方法である。

ー国の社会的保護制度を通じて、さまざまな手当などを提供し、世帯が、質の高い保育を無償または安価で受けられるなど、重要な保健・社会サービスを利用できるようにする。

ー国内の財源を動員するとともに、子どもたちへの投資を増やすことで、 社会的保護制度の持続可能な財源を確保する。

ー十分な失業、病気、出産、障害などに関する手当や年金、働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を保障することにより、親と養育者に対する社会的保護を強化する。

 

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