アドボカシー(公開日:2017.11.08)
国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが報告書を発表:肺炎で1分間に2人の割合で子どもたちが犠牲に
報告書では、忘れ去られた子どもの死亡原因である肺炎は、世界の5歳未満の子どもの死因の第1位であり、1分間に2人の割合で犠牲になっていると指摘しています。この割合は、マラリアや、下痢症、はしかで犠牲になる人数を合わせたものよりも多い割合です。さらに、5歳未満の子どもの犠牲者のうち約8割を2歳未満の子どもたちが占めており、その多くは、栄養不良や不十分な母乳育児によって免疫システムが弱くなり、感染症にかかりやすい状態に置かれた子どもたちです。また、乳幼児においては、生後数週間がもっとも脆弱な状態にあります。
セーブ・ザ・チルドレンは、この喫緊の課題に取り組み、肺炎による犠牲者数を減少させるために、主要国首脳会議の開催を求めるとともに、具体的には国際社会が以下の点に取り組むことを求めています。
- ◆各国政府は、肺炎予防のための安価なワクチンの普及と予防接種へのさらなる資金を投資すること
- ◆各国政府は、子どもたちが一定の訓練を受けたヘルス・ワーカーによる正確でかつ早期の診断がいつでも、どこにいても受けられることが約束された肺炎予防のための行動計画(Pneumonia Action Plan)を採用すること
- ◆各国政府や、ドナー国、支援団体は、命を守ることができる抗生物質が利用できるよう保障すること
- ◆官民が連携し、肺炎等が原因で呼吸困難な状態にあるより多くの子どもたちが、酸素吸入を利用できるようにすること
抗生物質アモキシシリンの治療費は、30ペンス(およそ45円)で、3日から5日の投与によって肺炎に罹患した一人の子どもの命を守ることができます。しかし、タンザニアやコンゴ民主共和国など、肺炎により子どもたちが犠牲になっている国々の医療施設では手に入れることが困難です。
セーブ・ザ・チルドレンUK 事務局長であり、この報告書の筆頭執筆者であるケビン・ワトキンスは、「この病気は、脆弱な状態にある子どもたちを呼吸困難に陥れ、親や保護者を不安に陥れます。そして、多くの場合命が犠牲になることで、保護者らは悲しみや心的外傷(トラウマ)に苦しむことになります。命を守るための知識や手段がありながら、子どもたちの命が奪われているのを見過ごすことはできません」と訴えます。
セーブ・ザ・チルドレンは、2歳未満の子どもたち1億6,600万人が予防接種を受けることや、世界で保健医療を受けることができない4億人の人々への国際社会の支援を求めます。
報告書全文(英語PDFファイル)はこちら
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