アドボカシー(公開日:2023.05.29)
【活動報告】子ども参加がこれからの地域を変える!〜意義ある子ども参加を進めるための勉強会〜を開催しました
「こども基本法」の施行により、2023年度から全国のすべての自治体において、子どもの最善の利益を実現する観点から、子どもに関わる施策について積極的かつ適切に、社会の構成員である子どもや若者の声を聴き、その声を反映させていくための取り組みが求められています。
セーブ・ザ・チルドレンは、2023年5月16日に、これらの取り組みが子どもの権利を基盤として進められるよう、自治体の職員を対象として、考慮すべきポイントについて共有するオンライン勉強会を開催しました。
当日は、こども家庭庁佐藤勇輔参事官より冒頭にあいさつがあり、続いて、兵庫県尼崎市、宮城県石巻市、神奈川県川崎市、名古屋県名古屋市で、日頃より子ども参加の取り組みを実践している担当者から、それぞれの取り組みの報告がありました。
その後、パネルディスカッションにおいて、1.取り組みの周知・広報、2.子どもの権利啓発、3.子どもと接する大人の人材育成というテーマについて議論を行い、Q&Aセッションにおいて、それぞれの報告者に対して事前に寄せられた質問への回答が行われました。
尼崎市立ユース交流センターの片岡一樹氏からは、若者が直面する課題や解決策を尼崎市に提案したほか、自ら実践していく取り組みである尼崎市ユースカウンシル事業「Up to you!」の開始にいたった経緯や概要、その下で展開されてきた「児童虐待を減らすための取り組み」、「校則に納得したい」、「尼崎に常設のスケートパークをつくる」といった個別プロジェクトについて紹介がありました。
石巻市保健福祉部子育て支援課の三條由佳氏からは、子どもの権利を柱として、子ども参加で運営されている児童館「石巻市子どもセンター らいつ」の指定管理者選定において、子どもの意見が反映されるよう、子どもたちが選定(プレゼン)の場に参加して、申請団体の発表を聴き、大人の選定委員に意見を伝えられるようにサポートする取り組みについて紹介がありました。
川崎市こども未来局総務部企画課の熊島豊和氏、 川崎市教育委員会事務局地域教育推進課の大原幸浩氏からは、全国に先駆けて「川崎市子どもの権利に関する条例」を施行し、子どもの意見表明や参加を促す取り組みを先駆的に行ってきた川崎市による、より幅広い子どもの声を聴くための今の時代にあわせた仕組みづくり(「子ども・若者の声募集箱」、「川崎市子ども会議」の取り組み)の紹介がありました。
名古屋市子ども青少年局企画経理課の水野健二氏からは、「なごや子どもの権利条例」に定める子どもの権利保障の観点から、市職員による子どもの社会参画の取り組みが継続的に進んでいくよう、子どもの社会参画の意義や基本的な流れ、留意点などについてとりまとめた「子どもの社会参画のよりどころとなる指針」の策定について報告がありました。
パネルディスカッションでは、実際の取り組みにおける工夫や苦労、見えてきた課題が共有されました。具体的には、学校との連携による取り組みの広報(川崎市、石巻市)、若者の興味を引くようなデザインのチラシによる周知(尼崎市)、人権啓発の取り組みによる子どもたちの変化(川崎市)、大人への子どもの人権啓発の重要性(名古屋市)、市民へのユースワーカー研修(尼崎市)などについて、共有されました。
今回の勉強会には、全国80を超える自治体から、136の子ども関連部署の職員の参加がありました。
事後に行ったアンケートでは、各自治体からの先駆的な取り組みが聞けたことで、具体的なイメージを持ちつつ、自分の自治体に置き換えて考えることができた、他自治体の事例の成果とともに課題感についても知ることができてよかった、取り組む側が、周囲の部署にどのように理解を得たかも聞きたかったなどの意見があがりました。
また、今後、国に期待する支援策としては、画一的なものではなく、各自治体の創意工夫によって実施される子ども参加事業への自由度の高い財政支援、子どもの声を聴き、子どもの本音を引き出すファシリテーターの派遣、またはファシリテーター養成研修の実施、子ども参加に注力する職員人件費への補助などの事例があげられました。
本勉強会に関するアンケート結果詳細および本勉強会を受けての提言については、こちらから。
セーブ・ザ・チルドレンは、今回の参加者からの声を、今後のアドボカシー活動に活かしていくとともに、引き続き、各自治体における子ども参加の取り組みが促進されるよう活動していきます。
(アドボカシー部 国内政策提言チーム 村上悠平)
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【お知らせ】
今回の勉強会は自治体職員向けに行いましたが、今後行政との連携により、地域の子ども施策に関わる予定の市民団体や、政策決定者で、本勉強会の視聴を希望される方は、所属・氏名・連絡先を明記の上、以下のお問い合わせ先までご連絡ください。
【お問い合わせ】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー部(担当:山内、村上)
メールアドレス:japan.advocacy@savethechildren.org
TEL:03-6859-0015(平日9:30〜18:00) FAX:03-6859-0069