アドボカシー(公開日:2019.03.28)
第7回国際母子栄養改善議員連盟
「栄養サミット2020に向けた日本のリーダーシップ」報告
2019年2月14日、衆議院第一議員会館において第7回国際母子栄養改善議員連盟が開催されました。今回は、2017年のUHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)フォーラムで安倍総理大臣が2020年に日本での開催を発表した「栄養サミット」に向け、国際的な栄養改善の取り組みに携わる海外の専門家5人が、世界の栄養不良の現状や、同分野での日本の政策的、財政的リーダーシップへの期待について発言しました。
日本政府からは鈴木外務大臣政務官が出席し、また国会議員、関係省庁、大学関係者、国連機関、NGO関係者など100人以上が参加しました。
第7回国際母子栄養改善議員連盟の様子(正面左からビル&メリンダ・ゲイツ財団、SUN市民社会ネットワーク、ワールド・ビジョン、リザルツ教育基金/ACTION、国連WFPローマ本部の専門家)
はじめに、国際母子栄養改善議員連盟会長の山東昭子参議院議員より「2019年は元号も変わり、G20やTICAD7の開催で世界中から日本に注目が集まる年。この特別な年に栄養サミットを盛り上げていくことが重要」という挨拶で会合がはじまりました。
第7回国際母子栄養改善議員連盟の様子(正面左からビル&メリンダ・ゲイツ財団、SUN市民社会ネットワーク、ワールド・ビジョン、リザルツ教育基金/ACTION、国連WFPローマ本部の専門家)
はじめに、国際母子栄養改善議員連盟会長の山東昭子参議院議員より「2019年は元号も変わり、G20やTICAD7の開催で世界中から日本に注目が集まる年。この特別な年に栄養サミットを盛り上げていくことが重要」という挨拶で会合がはじまりました。
つづいて、議員連盟事務局長の牧島かれん議員より「オリンピックイヤーに栄養サミットが開催されるので、聖火リレーのバトンとともに栄養のバトンも引き継いでいこう」との呼びかけがありました。鈴木外務大臣政務官は、2015年から増加する世界飢餓人口の対策と同時に、子どもや成人の肥満問題など、いわゆる「栄養の2重負荷」に対してマルチセクター(さまざまな分野の連携)で取り組む重要性を訴えました。
同議連のこれまでの取り組みと、栄養サミットの重要性を訴える山東昭子参議院議員
海外からは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団よりケダール・マンカッド氏、SUN市民社会ネットワーク副議長/セーブ・ザ・チルドレンUK(英国)のキャサリン・リチャード氏、ワールド・ビジョンよりダン・イルヴァイン氏、リザルツ教育基金/ACTIONのナンディーニ・ピライ氏、さらに国連世界食糧計画(WFP)ローマ本部からファティハ・テルキ栄養部長が発言しました。
まず、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のケダール氏より、英国政府が2012年のロンドン・オリンピック期間中に開催した飢餓サミットおよび2013年の「成長のための栄養」サミットの背景が説明され、これを受け継ぐ栄養サミット2020の成功のため、東京オリンピック・パラリンピック期間中に安倍総理主催のハイレベル会合を実施することが提案されました。
次に、SUN市民社会ネットワークのリチャード氏からは、栄養不良改善へ1米ドル投資するごとに、16米ドルの経済的利益をもたらすにも関わらず、年間700億米ドルの資金不足に直面している現状に言及。世界保健総会が定めた、「母子栄養改善のための2025年までの国際目標」や、持続可能な開発目標(SDGs)の目標2に定められる「飢餓ゼロ」の世界を実現するため、資金基盤の強化が必須だと訴えました。
ワールド・ビジョンのダン氏は、終戦前後の混乱の中を生き抜こうとするきょうだいを描いた「火垂るの墓」を例に挙げ、「日本は深刻な食料不足、さらに多くの子どもたちが慢性的な栄養不良に苦しんだ歴史を経て世界トップの健康大国になった。その知見や経験を世界に発信し、栄養不良に苦しむ国々に手を差し伸べてほしい」と訴えました。
つづいて、リザルツ教育基金/ACTIONのピライ氏より、国連総会が2016年に宣言した「栄養のための行動の10年」や2014年から毎年発行されている「世界栄養報告書」など、栄養改善に関する国際的な活動が紹介され、最後に、テルキ氏より、国連WFPが行う災害や紛争下にある地域での栄養価の高い食料支給プロジェクトや、2016年に国際協力機構(JICA)が立ち上げた「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA)」とのパートナーシップに関する発言がありました。
栄養改善分野での活動資金不足について語るリチャード氏
同議連のこれまでの取り組みと、栄養サミットの重要性を訴える山東昭子参議院議員
海外からは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団よりケダール・マンカッド氏、SUN市民社会ネットワーク副議長/セーブ・ザ・チルドレンUK(英国)のキャサリン・リチャード氏、ワールド・ビジョンよりダン・イルヴァイン氏、リザルツ教育基金/ACTIONのナンディーニ・ピライ氏、さらに国連世界食糧計画(WFP)ローマ本部からファティハ・テルキ栄養部長が発言しました。
まず、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のケダール氏より、英国政府が2012年のロンドン・オリンピック期間中に開催した飢餓サミットおよび2013年の「成長のための栄養」サミットの背景が説明され、これを受け継ぐ栄養サミット2020の成功のため、東京オリンピック・パラリンピック期間中に安倍総理主催のハイレベル会合を実施することが提案されました。
次に、SUN市民社会ネットワークのリチャード氏からは、栄養不良改善へ1米ドル投資するごとに、16米ドルの経済的利益をもたらすにも関わらず、年間700億米ドルの資金不足に直面している現状に言及。世界保健総会が定めた、「母子栄養改善のための2025年までの国際目標」や、持続可能な開発目標(SDGs)の目標2に定められる「飢餓ゼロ」の世界を実現するため、資金基盤の強化が必須だと訴えました。
ワールド・ビジョンのダン氏は、終戦前後の混乱の中を生き抜こうとするきょうだいを描いた「火垂るの墓」を例に挙げ、「日本は深刻な食料不足、さらに多くの子どもたちが慢性的な栄養不良に苦しんだ歴史を経て世界トップの健康大国になった。その知見や経験を世界に発信し、栄養不良に苦しむ国々に手を差し伸べてほしい」と訴えました。
つづいて、リザルツ教育基金/ACTIONのピライ氏より、国連総会が2016年に宣言した「栄養のための行動の10年」や2014年から毎年発行されている「世界栄養報告書」など、栄養改善に関する国際的な活動が紹介され、最後に、テルキ氏より、国連WFPが行う災害や紛争下にある地域での栄養価の高い食料支給プロジェクトや、2016年に国際協力機構(JICA)が立ち上げた「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA)」とのパートナーシップに関する発言がありました。
栄養改善分野での活動資金不足について語るリチャード氏
海外の専門家からのこうした発言を受け、参加した関係省庁からは、日本の国際栄養改善への取り組みや栄養サミットへ向けた活動の進捗および今後の方針について紹介されました。また、この議員連盟の副会長を務める逢沢一郎議員は、「国際栄養改善の支援強化のためには、支援の質と効果を裏付けるアカウンタビリティーが不可欠」とコメントし、栄養支援の具体的なあり方について発言がありました。
最後に、同議員連盟顧問の塩崎恭久議員より、来年に迫る栄養サミットの具体的な日程設定を早い段階で行い、今年のG20やTICAD7で栄養サミット開催の周知や各国への参加要請をすべきだと指摘があり、「国際母子栄養改善議員連盟、市民社会が各方面から安倍総理に訴えかけていこう」という力強い呼びかけで会合は閉会しました。
国際栄養改善のあり方について発言する逢沢一郎議員
最後に、同議員連盟顧問の塩崎恭久議員より、来年に迫る栄養サミットの具体的な日程設定を早い段階で行い、今年のG20やTICAD7で栄養サミット開催の周知や各国への参加要請をすべきだと指摘があり、「国際母子栄養改善議員連盟、市民社会が各方面から安倍総理に訴えかけていこう」という力強い呼びかけで会合は閉会しました。
国際栄養改善のあり方について発言する逢沢一郎議員
(アドボカシー・オフィサー 大沼照美)