アドボカシー(公開日:2020.07.21)
新型コロナウイルス感染症の影響により、1,000万人の子どもたちが復学できない可能性も
セーブ・ザ・チルドレンは、7月13日に発表した報告書『この危機から教育を救おう(SAVE OUR EDUCATION)』で、新型コロナウイルス感染症による大幅な教育予算の削減と、深刻化する貧困の影響で今年末までに少なくとも970万人の子どもたちが復学できず、さらに数百万人の子どもたちが学校再開後、学習面で遅れをとる可能性があると警鐘を鳴らしています。
報告書では、次にあげるさまざまなリスクを指摘しています。
・新型コロナウイルス感染症により、世界で最貧国の子どもたちへの教育費770億ドル(約8兆2,400億円)が不足していると試算
・イエメン、アフガニスタンなど12ヶ国の子どもたちは、この感染症が収束したとしても復学できないという大きなリスクにさらされる
・少女は、休校期間中に性的暴力や児童婚、10代での妊娠といったリスクにさらされる危険がある
セーブ・ザ・チルドレンは、この報告書の中で、各国政府およびドナー国に対して、この世界的な教育分野の緊急事態に対応し、数ヶ月もの休校期間を経て学校再開にあたり、緊急教育支援を行うよう求めています。
本報告書では、新型コロナウイルス感染症が学習にもたらす甚大な影響についても明らかにしています。景気後退の影響で、世界で最も貧しい国々の教育関係分野への不足額は今後18ヶ月間で、770億ドル(約8兆2,400億円)と推計されています。
エチオピアのアイシャ(15歳)さん
現在10億人以上の子どもたちが新型コロナウイルス感染症の影響で学校に行けません[1]。エチオピアのアイシャ(15歳)さんもその一人です。
「3ヶ月前は何事もうまくいっており、友人と遊んだり勉強をしたり、6年生の学校生活を楽しんでいました。そして、毎日給食もありました。今は、学校に行くこともできず、友人にも会えません。学校や友人がとても恋しいです。休校となってからの3ヶ月間は、ほとんどの時間を家畜の世話や、掃除や炊事など母の手伝いをしています。」
セーブ・ザ・チルドレンは、都市封鎖の間、遠隔学習を支援するために、本や自宅学習キットなどの提供や、ラジオ、テレビ、電話、ソーシャルメディア、メッセージアプリなどを通じた授業の提供などの支援を行ってきました。
ウガンダにて遠隔学習に取り組む少女
各国政府や支援団体による学びを保障するための取り組みにも関わらず、いまだ5億人を超える子どもたちが遠隔学習を利用することができていません[2]。数ヶ月にもわたり学ぶ機会を失ったことで、子どもたちは勉強に遅れが生じたり、退学の可能性が高くなります。
くわえて、私たちは、休校によって、子どもたちは学ぶ機会を失った以上に、友人と遊んだり、食事をしたり、家庭での暴力から守られることや、メンタルヘルスなどの保健医療サービスを利用できる安全な場所も失うなど、子どもたちに深刻な問題が起きていることも懸念しています。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長のインゲル・アッシンは次の通り訴えます。
「貴重な国家予算を、債務の返済に充当するのではなく教育支援へ充てるべきです。およそ1,000万人の子どもたちが復学できない恐れがあります。先例のない緊急事態であり、各国政府は、子どもたちの学ぶ権利の保障のために緊急に予算を確保し、投資する必要があります。教育分野に対する予算削減リスクは、富める者と貧しいもの、そして男子と女子の間の格差を増大させるでしょう。最も脆弱な立場におかれている子どもたちは、その影響を最も受けることになり、1学年の半分を、遠隔学習どころか、学ぶ機会を持てないまま過ごしています。
各国政府は、子どもの最善の利益を優先すべきです。すべての子どもは、難民キャンプや紛争下、都市部のスラム地域、地方の村など、どこに住んでいようとも、学び、成長し、親の世代よりも良い未来を築いていく権利があります。教育はその基礎となるものであり、新型コロナウイルス感染症により学ぶ機会を奪われてはなりません。
私たちは、各国政府や支援国に対し、学校に行けない子どもたちの遠隔学習や、給食、保健医療サービスの利用が保証され、安全かつ包摂的な形で 学校に戻れるように補習や適切な評価が実施されることを 求めます。そのため、世界銀行やその他の国際開発銀行による350億ドル(約3兆7,450億円)の教育資金の動員を要請します。 各国政府は教育予算への支出を優先し、新型コロナウイルス感染症の流行下で最も脆弱な立場にある子どもたちの学ぶ機会を保証することが重要です。」
■報告書『この危機から教育を救おう(SAVE OUR EDUCATION)』(英語、全文)はこちら
■報告書の概要(日本語)はこちら
[1]UNESCO:2020年7月1日現在の数字:
https://en.unesco.org/covid19/educationresponse
[2] https://gemreportunesco.wordpress.com/2020/05/15/distance-learning-denied/#more-12982
報告書では、次にあげるさまざまなリスクを指摘しています。
・新型コロナウイルス感染症により、世界で最貧国の子どもたちへの教育費770億ドル(約8兆2,400億円)が不足していると試算
・イエメン、アフガニスタンなど12ヶ国の子どもたちは、この感染症が収束したとしても復学できないという大きなリスクにさらされる
・少女は、休校期間中に性的暴力や児童婚、10代での妊娠といったリスクにさらされる危険がある
セーブ・ザ・チルドレンは、この報告書の中で、各国政府およびドナー国に対して、この世界的な教育分野の緊急事態に対応し、数ヶ月もの休校期間を経て学校再開にあたり、緊急教育支援を行うよう求めています。
本報告書では、新型コロナウイルス感染症が学習にもたらす甚大な影響についても明らかにしています。景気後退の影響で、世界で最も貧しい国々の教育関係分野への不足額は今後18ヶ月間で、770億ドル(約8兆2,400億円)と推計されています。
エチオピアのアイシャ(15歳)さん
現在10億人以上の子どもたちが新型コロナウイルス感染症の影響で学校に行けません[1]。エチオピアのアイシャ(15歳)さんもその一人です。
「3ヶ月前は何事もうまくいっており、友人と遊んだり勉強をしたり、6年生の学校生活を楽しんでいました。そして、毎日給食もありました。今は、学校に行くこともできず、友人にも会えません。学校や友人がとても恋しいです。休校となってからの3ヶ月間は、ほとんどの時間を家畜の世話や、掃除や炊事など母の手伝いをしています。」
セーブ・ザ・チルドレンは、都市封鎖の間、遠隔学習を支援するために、本や自宅学習キットなどの提供や、ラジオ、テレビ、電話、ソーシャルメディア、メッセージアプリなどを通じた授業の提供などの支援を行ってきました。
ウガンダにて遠隔学習に取り組む少女
各国政府や支援団体による学びを保障するための取り組みにも関わらず、いまだ5億人を超える子どもたちが遠隔学習を利用することができていません[2]。数ヶ月にもわたり学ぶ機会を失ったことで、子どもたちは勉強に遅れが生じたり、退学の可能性が高くなります。
くわえて、私たちは、休校によって、子どもたちは学ぶ機会を失った以上に、友人と遊んだり、食事をしたり、家庭での暴力から守られることや、メンタルヘルスなどの保健医療サービスを利用できる安全な場所も失うなど、子どもたちに深刻な問題が起きていることも懸念しています。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長のインゲル・アッシンは次の通り訴えます。
「貴重な国家予算を、債務の返済に充当するのではなく教育支援へ充てるべきです。およそ1,000万人の子どもたちが復学できない恐れがあります。先例のない緊急事態であり、各国政府は、子どもたちの学ぶ権利の保障のために緊急に予算を確保し、投資する必要があります。教育分野に対する予算削減リスクは、富める者と貧しいもの、そして男子と女子の間の格差を増大させるでしょう。最も脆弱な立場におかれている子どもたちは、その影響を最も受けることになり、1学年の半分を、遠隔学習どころか、学ぶ機会を持てないまま過ごしています。
各国政府は、子どもの最善の利益を優先すべきです。すべての子どもは、難民キャンプや紛争下、都市部のスラム地域、地方の村など、どこに住んでいようとも、学び、成長し、親の世代よりも良い未来を築いていく権利があります。教育はその基礎となるものであり、新型コロナウイルス感染症により学ぶ機会を奪われてはなりません。
私たちは、各国政府や支援国に対し、学校に行けない子どもたちの遠隔学習や、給食、保健医療サービスの利用が保証され、安全かつ包摂的な形で 学校に戻れるように補習や適切な評価が実施されることを 求めます。そのため、世界銀行やその他の国際開発銀行による350億ドル(約3兆7,450億円)の教育資金の動員を要請します。 各国政府は教育予算への支出を優先し、新型コロナウイルス感染症の流行下で最も脆弱な立場にある子どもたちの学ぶ機会を保証することが重要です。」
■報告書『この危機から教育を救おう(SAVE OUR EDUCATION)』(英語、全文)はこちら
■報告書の概要(日本語)はこちら
[1]UNESCO:2020年7月1日現在の数字:
https://en.unesco.org/covid19/educationresponse
[2] https://gemreportunesco.wordpress.com/2020/05/15/distance-learning-denied/#more-12982