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アドボカシー
(公開日:2021.10.29)

「私たちの未来は危機に瀕している」−子どもたちが語る気候変動問題への不安とは

 
国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)開催にあたり、子どもたちが、各国政府や代表に対して、気候危機から世界中の子どもや若者の今と未来を守るため、今すぐ行動を起こしてほしいと訴えました。

ノルウェーやスリランカ、ザンビア出身の子どもたちは、地球温暖化を産業革命前と比べ1.5度に抑え、「世代間の不公平」を防ぐためには、一刻の猶予もないと述べました。 

干ばつが続くマダガスカル南部の農村地域

セーブ・ザ・チルドレンとブリュッセル自由大学(VUB)が発表した最新の調査によると、2015年に採択されたパリ協定の排出削減目標では不十分であり、2020年に生まれる子どもたちは、祖父母の世代よりはるかに多くの熱波、洪水、干ばつ、森林火災に直面すると予測されています。なかでも、低・中所得国や周縁化された地域の子どもたちが最も大きな影響を受けると報告されています。 

スリランカ出身のディルマニさん(14歳)は、次のように述べています。

「私の国では、干ばつや洪水、地滑りなど、気候変動の影響をよく目にします。子どもたちは、自然災害が起これば通学路が寸断され、学校に行くことができなくなります。気候変動による問題が、すでに教育に影響を及ぼしていることを、この国では目の当たりにします。教育は重要であり、私たちの未来を左右するので、とても残念です。」


気候変動の活動家であり、ノルウェーの子ども気候パネルの一員でもあるエマニュエルさん(14歳)は、こう話します。
「私たち子どもは気候科学者ではありませんが、これだけはわかっています。手遅れになる前に、後悔する前に、私たちは今すぐ行動しなければなりません。世界のリーダーたちは、人類の未来を、私たちの未来を背負っているのです。」


セーブ・ザ・チルドレンとブリュッセル自由大学の報告書『気候危機の中に生まれて:子どもの権利を守るために、なぜいま行動を起こさなければならないのか(Born into the Climate Crisis: Why we must act now to secure children’s rights)』によると、昨年生まれた子どもたちは、60年前に生まれた子どもたちと比べて、平均して7倍の熱波、2.6倍の干ばつ、2.8倍の河川の氾濫、約3倍の農作物の不作、2倍の森林火災に直面すると予測されています。


水不足が深刻なシリア北東部。アル・カブール川を見つめるバイラサンさんと母

世界の多くの子どもたちが、すでに気候危機の影響を感じています。バイラサンさん(13歳)と彼女の家族が住むシリア北東部の町では、干ばつ、河川の水位低下、インフラの破損により、数百万人が水不足に直面しています。そのため、バイラサンさんの家族は4年間農作物が収穫できない状況です。いま、他の家族とともに、新しい土地を求めて、この地域から離れることを真剣に考えています。 

バイラサンさんは、自分が育った地域の自然が、干ばつで破壊されてしまったと嘆いています。「以前は草木がとてもきれいでした。ザクロやオリーブの木がありました。大きなブルーベリーの木もありました。その実をいつも食べていました。父が木の上にブランコを作ってくれたので、きょうだいと一緒に遊んでいましたが、川に水がなくなったため、草木はすべて枯れてしまいました。私の思い出も、あの木と一緒に消えてしまったのです。」 

セーブ・チルドレンは、高所得国や高排出国が排出量を削減し、温暖化を1.5℃に抑えるための抜本的な緩和策を講じなければ、気候危機の最も危険な影響を受けるのは子どもたちであると警鐘を鳴らします。そして、気候危機という自ら作り出したものではない問題を背負う子どもたちにとっての最善の利益を考慮して行動すべきだと訴えます。

一方、公衆衛生の専門家は、環境問題に悩む子どもや若者の精神的な問題が深刻化していると指摘しています。 
セーブ・ザ・チルドレン子どもの貧困と気候に関するグローバル・ディレクターのヨランド・ライトは次のように述べています。 
「私たちが関わっている子どもたちは毎日、各国の政府や代表が、壊滅的な気候変動を抑えるために十分な努力をしていないこと、そしてさらなる行動が必要であると私たちに訴えています。子どもたち、特に低所得国の子どもたちは、気候危機の原因とは最も遠い状況にあるにも関わらず、今後、最も負の影響を受けることになります。 世界各国の政府や代表は、子どもたちの懸念に耳を傾け、彼らの未来を守るためにできることはすべて行う必要があります。 

今回のCOP26は、気候変動の緊急事態を収束させ、上昇する気温を安定させる最後の機会のひとつです。COP26の成果は、各国政府や代表の熱意とリーダーシップに、そして子どもたちの声を聴き、子どもたちの未来を守れるかどうかにかかっています。

私たちは、COP26に参加する世界各国の首脳や代表に、気候危機に対して早急に行動を起こすことを要請します。そして、気候変動の影響をすでに受けている低・中所得国への支援のため、さらなる資金拠出を求めます。」


 

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