アドボカシー(公開日:2023.01.11)
アフガニスタンでの女性NGOスタッフの就労禁止は多くの命を犠牲にする。人道援助組織が警告
アフガニスタンで活動している主要な国際NGO4団体は、2022年12月29日木曜日、タリバンがアフガニスタンでの女性のNGOでの就労禁止を直ちに撤回しなければ、女性と子どもの命が危険にさらされると警告しました。
同年12月24日の当局の禁止措置の発表を受け、セーブ・ザ・チルドレン、ワールド・ビジョン・インターナショナル、ケア・インターナショナル、ノルウェー難民評議会 (NRC) は、女性スタッフなしでは、支援を必要としている何百万人もの子どもたちや女性、男性に支援を届けることはできないとして、アフガニスタンでの活動を一時的に停止しました。
国際NGO4団体は、12月29日に開催した共同記者会見で、女性の大学進学が禁止されてから1週間後に発出された、女性NGO職員の就労禁止措置を直ちに撤回するよう求めました。女子はすでに中等学校への入学が禁止されており、11月には公園、ジム、公衆浴場への入場が禁止されていました。
共同記者会見の録画はこちら:https://www.youtube.com/watch?v=P5bYBeT_TgQ
最新のデータによると、アフガニスタンでは人口の半数以上にあたる約2,800万人 (うち1,400万人は子ども) が人道支援を必要としています。アフガニスタン国民の約97%が今年、貧困ラインを下回る危機に瀕しており、また、110万人を超える5歳未満の子どもたちが急性栄養不良に陥っています。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルの事務局長インゲル・アッシンは、セーブ・ザ・チルドレンが最も生命を脅かす形態の栄養不良に苦しむ73,000人の子どもたち、また、30,000人の女性を移動診療所で治療してきたこと、しかし、女性の医療スタッフがいなければ、このような子どもや女性の命が危険にさらされることになると述べました。
セーブ・ザ・チルドレンはアフガニスタンに5,700人のスタッフとコミュニティ・ワーカーを擁しており、そのうち2,490人が女性で、アフガニスタンで40年間働いていると彼女は述べました。2021年8月の政変以来、セーブ・ザ・チルドレンは200万人の子どもを含むおよそ400万人の人々を支援してきました。
「悲劇的なことは、事実上の当局がこの決定を下したとき、アフガニスタンの女性、男性、子どもたちは、記録的なレベルの飢餓を含む、世界最大級の人道危機に直面しているという事実です。アフガニスタンは、600万人が飢きんに直面していることをはじめ、記録開始以来最悪の食料危機に直面しているのです」
アッシンはオンライン記者会見で次のように述べました。「選択肢はありません。女性の同僚がいなければ、命を救うための支援ができません。活動を再開できなければ子どもたちは死んでしまう...それだけ深刻な状況なのです」
ワールド・ビジョン総裁/最高責任者であるアンドリュー・モーリーは次のように述べています。
「原則に基づいた人道支援を行うためには、女性スタッフは欠かすことのできない存在です。彼女たちは看護師、医師、教師、栄養の専門家、チームリーダー、地域の医療従事者、ワクチン接種の専門家です。ワールド・ビジョンの仕事は、アフガニスタンの子どもたちの命を救い、明るい未来を作ることです。そのためには、女性スタッフの全面的な関与とリーダーシップが必要なのです」
「ワールド・ビジョンは20年以上、多くの困難の中でアフガニスタンの子どもたちに寄り添ってきました。私たちは、女性スタッフが女子と女性のために豊かないのちをもたらし続けるために、早期の解決策を見つけなければなりません。女性スタッフはそれほど欠かすことができない存在なのです」
ワールド・ビジョンはアフガニスタンで21年間活動しています。600万人を支援しており、そのうち300万人は子どもです。2,280人のスタッフが支援活動に従事しており、そのうち約3割を占める700人以上が女性スタッフです。
ケア・インターナショナルには900人のスタッフがおり、そのうち38%は女性で、9つの州にまたがって活動しています。ケアは1961年にアフガニスタンで活動を開始しました。
ケア・インターナショナル事務総長のソフィア・シュプレヒマン・シネイロは記者会見で次のように述べました。
「推定600万人のアフガニスタンの人々が飢饉まであと一歩と迫っている現在、女性と女子はすでに最後に残されたものだけしか口にできない状況に置かれています。この新たな破壊的な決定が、すでに極度の困難に直面している人々に与える影響は計り知れないものです。女性の人道支援従事者は世界で最も効果的な働きをしている人々の一翼です。このことは、援助を実施するにあたって交渉の余地のない部分であり、差別することはできないのです」
ノルウェー難民評議会 (NRC)では現在、アフガニスタンに1,541人の職員を擁し、そのうち469人が女性です。 2021年8月15日以来、NRCのチームは、洪水、地震、干ばつへの緊急対応、教育、シェルター、法的支援、保護、生計手段、食料安全保障、水に至るまで、アフガニスタンの18の州で87万人以上の避難民を支援してきました。今年、NRCは3,700世帯に越冬に備えるための支援を提供しました。しかし、人命救助のためのこのような越冬支援活動は、現在は禁止措置のために一時中断されています。
NRCの地域責任者であるアダム・コムスは次のように述べています。
「女性スタッフなしでは私たちは機能しないのです。女性スタッフは私たちの人道支援活動の欠かすことのできない一部であり、労働力の約1/3を占めているのです。私たちは、男女を問わず、仕事への妨げられることのないアクセスを必要としているのです」