アドボカシー(公開日:2021.01.29)
最貧国の子どもたちに安全な復学を 生徒1人あたり370米ドルの投資が必要
セーブ・ザ・チルドレンは、最貧国で生活する1億3,600万人の子どもたちが安全に復学するために、500億米ドル(約5兆1,879億円)の投資が必要であることを分析から明らかにしました。
これは、59ヶ国の最貧国で、子どもたちを安全に復学させるためには1人あたり平均370米ドル(約38,000円)の費用が必要であることを意味しています。この分析は、セーブ・ザ・チルドレンが昨年発表した「新型コロナウイルス感染症の影響により、1,000万人の子どもたちが復学できない可能性がある」という結果を受けて行われました。
イエメンのホデイダ県に暮らすサアダさん(15歳)は、国内で長引く紛争のため避難生活を送っています。避難民キャンプにある仮設学習スペースは、新型コロナウイルス感染症の流行により2020年10月まで閉鎖され、現在は再開しているものの、通常よりも少ない学習内容で進められています。子どもたちは、ソーシャルディスタンスを確保するため、時間をずらして登校しています。
セーブ・ザ・チルドレンの調査によると、難民の子どもたちは経済的困難や国の教育支援の対象になっていないために、他の子どもたちよりも高い割合で退学していることが明らかになっています。最近実施した調査によると、シリア北東部のアル・ホル(Al Hol)やロジ(Roj)、アレシャ(Areesha)のキャンプでは、少なくとも5,500人の子どもたちが学校に通うことを止めており、教員の79%が退学の理由は家計を支えるためだと回答しています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が十分なデータがある国を対象に実施した調査によれば、新型コロナウイルス感染症流行以前でさえ、学齢期にある難民の子どもたちのおおよそ半分が退学を余儀なくされていると推計していました。
学校に通うことのできない子どもたちは、教育の機会を失うだけではなく、児童労働や児童婚、虐待などに対しても脆弱な立場に置かれます。昨年10月に、セーブ・ザ・チルドレンは、新型コロナウイルス感染症がもたらした経済的打撃により、5年間でさらに250万人の少女が児童婚の危険に晒され、2020年内にさらに100万の少女が妊娠する可能性があると発表しています。
ウガンダでは、再開した学校もある一方で、昨年3月末から現在までの期間、1,300万人以上の子どもたちが復学できておらず、そのうち60万人は難民の子どもたちです。警察や保健省によると、ウガンダ北部のナウォヤ県では、学校が閉鎖された昨年4月から6月の間に10代の少女の妊娠と児童婚が2倍になり、児童労働率は3倍増加したことが明らかになっています。しかし、こうした問題は報告されないことも多く、実態は、はるかに深刻な状況にある可能性が高いと考えられます。
南スーダンから避難し、現在ウガンダ東部の難民居住区で避難生活を送っているジョナサンさん(15歳)は、学校が恋しく、友だちを心配していると話します。
「昨年3月からさまざまなことがすっかり変わってしまいました。私が今心配しているのは、友だちのなかに、休校中に妊娠した女の子がいることです。結婚し学校を退学した友だちもいます。また、別の友だちで農園や市場に働きに行っている男の子もいて、非常に過酷な仕事をしているのに食べるものがないため、月末にはやせ細り、体調を崩しています。」
セーブ・ザ・チルドレンは、政府や国際社会に対して、新型コロナウイルス感染症による閉校以前に学校に通っていた子どもたちが安全に復学するために、以下の5つの対策を直ちにとるよう訴えます。
『Save Our Education Now: 今こそ教育を守ろう』
全文(英語)はこちら
概要(日本語)はこちら
これは、59ヶ国の最貧国で、子どもたちを安全に復学させるためには1人あたり平均370米ドル(約38,000円)の費用が必要であることを意味しています。この分析は、セーブ・ザ・チルドレンが昨年発表した「新型コロナウイルス感染症の影響により、1,000万人の子どもたちが復学できない可能性がある」という結果を受けて行われました。
しかし、多くの国々は新型コロナウイルス感染症流行の第2波を受けて、保健医療分野の対策を優先しており、この費用を負担することができません。そのために、国際社会が各国政府と協力して、すべての子どもたちが安全に復学できるよう資金拠出を行う必要があります。とくに優先すべきは、少女、難民や避難している子どもたち、障害のある子どもたちなど、最も貧しく、社会で最も周縁化されている子どもたちです。
イエメンのホデイダ県に暮らすサアダさん(15歳)は、国内で長引く紛争のため避難生活を送っています。避難民キャンプにある仮設学習スペースは、新型コロナウイルス感染症の流行により2020年10月まで閉鎖され、現在は再開しているものの、通常よりも少ない学習内容で進められています。子どもたちは、ソーシャルディスタンスを確保するため、時間をずらして登校しています。
セーブ・ザ・チルドレンの調査によると、難民の子どもたちは経済的困難や国の教育支援の対象になっていないために、他の子どもたちよりも高い割合で退学していることが明らかになっています。最近実施した調査によると、シリア北東部のアル・ホル(Al Hol)やロジ(Roj)、アレシャ(Areesha)のキャンプでは、少なくとも5,500人の子どもたちが学校に通うことを止めており、教員の79%が退学の理由は家計を支えるためだと回答しています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が十分なデータがある国を対象に実施した調査によれば、新型コロナウイルス感染症流行以前でさえ、学齢期にある難民の子どもたちのおおよそ半分が退学を余儀なくされていると推計していました。
学校に通うことのできない子どもたちは、教育の機会を失うだけではなく、児童労働や児童婚、虐待などに対しても脆弱な立場に置かれます。昨年10月に、セーブ・ザ・チルドレンは、新型コロナウイルス感染症がもたらした経済的打撃により、5年間でさらに250万人の少女が児童婚の危険に晒され、2020年内にさらに100万の少女が妊娠する可能性があると発表しています。
ウガンダでは、再開した学校もある一方で、昨年3月末から現在までの期間、1,300万人以上の子どもたちが復学できておらず、そのうち60万人は難民の子どもたちです。警察や保健省によると、ウガンダ北部のナウォヤ県では、学校が閉鎖された昨年4月から6月の間に10代の少女の妊娠と児童婚が2倍になり、児童労働率は3倍増加したことが明らかになっています。しかし、こうした問題は報告されないことも多く、実態は、はるかに深刻な状況にある可能性が高いと考えられます。
南スーダンから避難し、現在ウガンダ東部の難民居住区で避難生活を送っているジョナサンさん(15歳)は、学校が恋しく、友だちを心配していると話します。
「昨年3月からさまざまなことがすっかり変わってしまいました。私が今心配しているのは、友だちのなかに、休校中に妊娠した女の子がいることです。結婚し学校を退学した友だちもいます。また、別の友だちで農園や市場に働きに行っている男の子もいて、非常に過酷な仕事をしているのに食べるものがないため、月末にはやせ細り、体調を崩しています。」
セーブ・ザ・チルドレンは、政府や国際社会に対して、新型コロナウイルス感染症による閉校以前に学校に通っていた子どもたちが安全に復学するために、以下の5つの対策を直ちにとるよう訴えます。
- 家族が子どもたちを復学させ健康的な生活を送るために、最貧困層の家庭へ生計支援を行うこと
- 復学した子どもたちを対象に補習授業を実施すること
- 新型コロナウイルス感染症から子どもたちや教師、家族を守るために、学校に安全な水が利用できる設備や、衛生設備を設置すること
- 全国的な復学のための啓発キャンペーンを展開し、復学が子どもたちにとって安全であることを地域社会に伝えること
- 新型コロナウイルス感染症流行下で安全でいられるよう教員に効果的な研修を実施すること
『Save Our Education Now: 今こそ教育を守ろう』
全文(英語)はこちら
概要(日本語)はこちら