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アドボカシー
(公開日:2025.11.10)

エイズ・結核・マラリアに立ち向かうために:グローバルファンドとセーブ・ザ・チルドレンのパートナーシップ

 

エイズ、結核、マラリアといった三大感染症は、今もなお多くの子どもたちを含む世界中の人々の命を脅かしています。特に低・中所得国では、医療へのアクセスが限られていることから、予防や治療が十分に行き届かず、命を落とすケースが少なくありません。

 

三大感染症の脅威に立ち向かい、根絶を目指すために2002年にスイスで設立されたのが「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)」です。官民パートナーシップとして、医療インフラの整備、医薬品や検査機器の供給、保健人材の育成、デジタルヘルスの推進など、包括的な支援を通じて、感染症対策と保健システムの強化に取り組んでいます。2023年までに、グローバルファンドの支援により約7,000万人の命が守られ、三大感染症の罹患率は42%、死亡率は63%減少したと報告されています[1]

 

グローバルファンドの取り組みは、各国政府のみならず、地域社会、市民社会、医療従事者、民間セクターとの連携を通じて推進されており、エイズ、結核、マラリアという三大感染症に対する包括的かつ持続可能な対応が可能となっています。この協働体制のもと、グローバルファンドは、すべての人々にとってより健康で、安全かつ衡平な未来の実現を目指し、感染症の予防・治療・ケアに関する取り組みを世界規模で展開しています。

 

セーブ・ザ・チルドレンは、グローバルファンドの資金受入責任機関(Principal Recipient[2]として、現地パートナーとも連携しながら、世界各地で感染症対策プログラムを展開しています。ここでは、ネパール、コートジボワール、バングラデシュにおける取り組みを紹介します。

 



ネパール:結核対策を支援


セーブ・ザ・チルドレンは、ネパールにおいて、結核対策の中心機関である「国立結核対策センター(NTCC)」と連携しながら結核対策を支援しました[3]。結核は空気感染する病気で、早期発見と治療が非常に重要です。グローバルファンドの助成金を活用し、ネパールでは結核対策の費用負担が特に高い42の地区で、症例の発見と診断を強化する取り組みが進められました。たとえば、AIを活用したデジタルX線によるスクリーニングや、WHOが推奨する分子診断法(Xpert MTB/RIF)を導入することで、より正確で迅速な診断が可能になりました。また、薬剤耐性結核(DR-TB)への対応として、専門的な検査機器や培養サービスが導入されました。GeneXpertという専門機器を使った検査場は2021年に72ヶ所から84ヶ所に拡大され、超多剤耐性結核(Pre-XDR TB)の診断も可能となりました。さらに、保健施設の職員に対する研修や、電子結核登録簿(eTB register)の導入によるデータ管理の強化など、保健システム全体の底上げにも取り組んでいます。地域の保健施設レベルまでデジタル化を進め、約5,000の報告施設から症例データを収集できる体制が整いました。これらの取り組みは、単なる医療支援にとどまらず、ネパールの保健システムそのものを強化し、持続可能な感染症対策の基盤づくりに貢献しています。

 


コートジボワール:地域に根ざしたマラリア対策


マラリアは蚊を媒介とする感染症で、特に子どもや妊婦にとって命に関わる病気です。セーブ・ザ・チルドレンは、2016年からコートジボワール政府と協力し、マラリア対策を進めました[4]。このプログラムでは、迅速診断検査や併用療法薬の使用、医療施設および地域レベルでの症例管理の改善、長期残効型殺虫剤処理蚊帳(LLIN)の配布、妊婦への間欠的予防投与(IPT)、アドボカシー、戦略的行動変容コミュニケーション(SBCC)、地域住民の参加、サーベイランス(疫学的監視)など、実証済みのエビデンスに基づく介入を拡大してきました。医療施設だけでなく、地域レベルでも症例管理を改善し、住民の参加を促すことで、予防と治療の両面からマラリア対策を強化しています。特に注目すべきは、iCCM(地域における統合的な小児疾病管理)の制度化です。これは、子どもの疾病を地域レベルで包括的に管理する仕組みで、保健省内の小児保健チームとマラリア対策チームの連携を強化し、保健情報管理システム(HMIS)や調達・供給管理システムへの統合も進められています。また、地域住民の参加を促すために、アドボカシー活動や行動変容コミュニケーションも展開し、これにより、マラリア予防の意識が高まり、蚊帳の使用や早期受診など、住民の行動にも変化が見られるようになりました。

 



バングラデシュ:幅広いエイズ対策


バングラデシュでは、セーブ・ザ・チルドレンが2004年から2023年まで、グローバルファンドのHIV助成金を5期連続で管理し、国家的なHIV/AIDS対策を牽引しました[5]HIVの感染拡大を最小限に抑え、疾病が個人・家族・地域社会・社会全体に与える影響を軽減することを目的に、さまざまな施策が展開されました。20212023年の助成期間では、注射薬使用者(PWID)や女性セックスワーカー(FSW)など、感染リスクの高い人々への支援を大幅に拡大しました。13の地区で14,035人のPWIDに支援を行い、必要とする人口の約48%に支援が行き届きました。また、3万人のFSWにサービスを提供しました。具体的な支援内容には、HIV検査、性感染症の治療、コンドームの配布、経口代替療法(OST)、抗レトロウイルス療法(ART)の提供などが含まれます。また、収入創出活動に関するピア教育や研修も行い、生活の向上や安定を支援しています。さらに、地域密着型の検査サービスの展開や、医療製品の安全な流通・廃棄メカニズムの整備など、保健システムの持続性を高める取り組みも進められました。これらの活動は、HIV陽性者が継続的に治療を受けられる環境づくりに貢献しています。

 

セーブ・ザ・チルドレンは、グローバルファンドの助成を受けながら、感染症対策を通じて子どもたちの命を守り、地域社会の健康を守る活動を続けています。これらの取り組みは、単なる医療支援にとどまらず、地域の声を政策に反映させ、衡平で強靭、持続可能な保健システムを築くための重要な一歩です。

 



今後も、誰一人取り残さない、包摂的な保健医療サービスのアクセス拡大に向けて、セーブ・ザ・チルドレンはさまざまなパートナーとともに取り組みを続けます。


[1]Global Fund 2025年成果報告書概要

[2]グローバルファンドの資金の受領者として一義的な法的責任を負う組織

[3]Global Fund Tuberculosis Program: Nepal Fact Sheet 2021-2023 - Save the Children’s Resource Centre

[4]Global Fund Malaria Program: Côte d’ivoire Fact Sheet 2021-2023 - Save the Children’s Resource Centre

[5]Global Fund HIV Program: Bangladesh Fact Sheet 2021-2023 - Save the Children’s Resource Centre


 

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