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アドボカシー
(公開日:2025.07.31)

【気候危機】前例のない未来を生きる子どもたち:気候危機に関する最新報告書と、私たちに求められる行動−報告書『気候危機の中に生まれて2』を発表

 



2021年、セーブ・ザ・チルドレンはブリュッセル自由大学の科学者たちと共同で、報告書『気候危機の中に生まれて』を発表しました。この報告書では、パリ協定で誓約された排出削減目標に基づく気温上昇の結果、2020年に生まれた子どもたちは、1960年に生まれた祖父母の世代と比べて、生涯を通じて平均して2倍の山火事、2.8倍の農作物の不作、2.6倍の干ばつ、2.8倍の河川の氾濫、そして6.8倍の熱波を経験することになると示されています。



ハリケーン・ジョン直撃後のメキシコ・ゲレロ州の街並み(2024年9月)


今回新たに発表した報告書『気候危機の中に生まれて2』では、極端な気候現象が子どもたちにもたらす影響に関する最新のデータが追加されているほか、2021年以降の動向を反映して気候変動対策に関する提言が更新されています。 

さらに、セーブ・ザ・チルドレンが2022年に46ヶ国の5万8,000人の子どもたちと行った協議や、2024年に気候変動に関するアドボカシーやキャンペーンに主体的に参加した20ヶ国の子どもたち数百人から得られた、気候変動と経済的格差に関する声や経験も掲載しています。 

この報告書によると、2100年までに地球温暖化を1.5℃に抑えるというパリ協定の目標を達成できれば、2020年に生まれた1億2,000万人の子どものほぼ半数にあたる5,800万人が、生涯にわたる前例のない異常気象にさらされる事態から救われることになります 。 

※この文脈における「前例のない」とは、人間の活動による気候変動がない世界では生涯で経験する可能性が1万分の1しかないような極端な気候にさらされることと定義されます。 

しかし、パリ協定の目標が達成されない可能性は高く、現在の二酸化炭素(CO2)削減目標を中心とする環境対策や政策目標に基づくシナリオでは、2100年までに地球の気温は2.7℃上昇すると予測されています。また、今世紀末までに地球温暖化が3.5℃に達した場合、1億1,100万人の子どもたちが生涯にわたる前例のない熱波にさらされることになると予測され、1.5℃のシナリオで影響を受けると試算されている6,200万人よりも著しく影響範囲が拡大すると警告しています。 

一方、もし地球温暖化を1.5℃に抑えることに成功した場合、その恩恵は計り知れないものとなります。本レポートの主な調査結果について、控えめな見積もりでも以下のようなデータが示されています。



  • 3,800万人の子どもたちが、生涯にわたるこれまでにない規模の熱波から免れることができます 。 

  • 800万人の子どもたちが、生涯にわたるこれまでにない規模での農作物の不作による食料不安のリスクを回避できる可能性があります 。 

  • 500万人の子どもたちが、生涯にわたるこれまでにない規模の河川の氾濫の危険から救われることになります 。 

  • 500万人の子どもたちが、生涯にわたるこれまでにない規模の熱帯低気圧がもたらす被害の経験から免れるでしょう 。 

  • 200万人の子どもたちが、生涯にわたるこれまでにない規模の干ばつにさらされることを回避できるでしょう 。 

  • 150万人が、生涯にわたるこれまでにない規模の山火事による影響の経験から逃れられるでしょう 。 



これらの数字が示す厳しい現実の中でも、気候危機の影響はすべての子どもたちに平等に降りかかるわけではありません。低所得国の子どもたちは、世代に関わらず最も高いレベルで熱波にさらされることが示されています。これは単に地理的な問題ではなく、資源が最も少なく、気候変動に対する歴史的な責任が最も少ない人々が、最も深刻な影響に直面するという不公正な現実を浮き彫りにしています。気候危機に内在する不平等の問題は、最も考慮すべき重要な観点です。



ハリケーン・ジョンが襲った地域の通りを訪れるセーブ・ザ・チルドレンのチーム

以下、気候危機に対するイエメンとバヌアツに住む子どもたちの声を紹介します。気候危機が子どもに与える影響について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。 



イエメンに住むネハッドさん(13歳)は次の通り話します。 

「私の国では、気候変動が生まれてから思春期に至るまで、子どもたちの健康とウェルビーイングのほぼすべての側面に影響を及ぼしています。気温の上昇が学業に与える影響から、栄養不足につながる干ばつ、怪我や死者をもたらす洪水、そして新生児の健康への悪影響を増大させる大気汚染に至るまで、気候危機は子どもたちの健康に大きな打撃を与えているのです。」 

また、バヌアツに住むべパイメラさん(15歳)は以下の通り話します。 

「主要な汚染国は、私たちの環境や人々、特に気候変動に脆弱な小さな国々が受けている損害に対して、その責任を問われるべきです。気候危機のまさに最前線にいる小島嶼開発途上国の子どもたちの声や経験に、政治的な意思決定者が耳を傾けることは極めて重要です。なぜなら、私たちの視点は現地における気候変動の影響の全容を理解するために欠かせないからです。」 

 

セーブ・ザ・チルドレンは、世代間の気候変動の不公正に対処するためには、子どもの権利に根差したアプローチが必要不可欠であると考えます。子どもたちの生活のさまざまな側面に影響を及ぼしている気候危機の問題に対して、各国の政府およびコミュニティが子どもを対等なステークホルダーとして位置づけ、子どもの声に耳を傾け、解決策や政策立案への正式な参加を促進する仕組みを確立する必要があります。 

 

■報告書の概要(日本語)はこちら 

■報告書全文(英語)はこちら 

■子ども向けの概要説明はこちら(セーブ・ザ・チルドレンの子ども向けウェブサイト、「あすのコンパス」に飛びます) 

  

この記事を書いた人:アドボカシー部インターン ハギヤユカリ 


 

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