日本(公開日:2019.05.15)
「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」子どもの権利条約採択30年−日本国内で子どもの権利を実現するために
2019年は、子どもの権利条約が国連で採択されて30年の節目の年です。セーブ・ザ・チルドレンの創設者であるエグランタイン・ジェブは、子どもの権利条約の前身である「ジュネーブ子どもの権利宣言」を起案しており、子どもの権利条約の理念は、セーブ・ザ・チルドレンの活動の柱となっています。
子どもの権利条約は、現在196の国と地域が批准しています。さまざまな人権条約の中で最も多くの国が批准している条約で、日本は1994年、世界で158番目に批准しました。それから25年の今年、子どもの権利を広めていこうと、日本国内で子どもに関する活動を行う団体が連携して「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」を4月に立ち上げました。
このキャンペーンは、日本社会において、「子どもの権利」の概念が浸透し、国や自治体、家庭などのあらゆるレベルにおいて、子どもの最善の利益が保障された社会状況をつくることを目的としており、セーブ・ザ・チルドレンは、このキャンペーンに実行委員会として参加しています。
また、この節目の年の1月16日と17日には、ジュネーブで約9年ぶりとなる子どもの権利委員会による第4回・第5回日本政府報告書審査が行われました。2月には、審査に基づいた日本政府への勧告が公表され、新聞やテレビで報道されるなど、日本国内の子どもの権利の現状について、関心が高まりました。
■キャンペーン・ローンチイベント開催−国内事業部長が体罰等禁止に向けて報告
日本が、子どもの権利条約を批准した日にあわせ4月22日に、衆議院第二議員会館で、広げよう!子どもの権利条約キャンペーン・ローンチイベント「子どもの権利条約を普及・実現し、子どもに対する暴力をなくす〜国連採択30年、日本批准25年、第4回・第5回国連審査を受けて〜」が行われました。
当日は、日本人として初めて国連子どもの権利委員会委員を務める大谷美紀子氏の基調講演や、子どもたちからの提言、国連子どもの権利委員会からの勧告についての報告などがなされました。報告に続いて、会場を埋め尽くした国会議員・市議会議員、報道関係者、子ども・子育て支援者、学生などさまざまな立場の来場者100人以上が、子どもの権利を普及することの重要性、子どもが参加することの必要性、支援者や社会ができることなどについて、活発な議論を行いました。
セーブ・ザ・チルドレンからは、国内事業部長の川上園子が「体罰禁止法制化と今後の課題」と題し、子どもの権利委員会による日本政府への勧告や、体罰法制化の動きと今後の国会審議に向けて求めること、欧州の教訓などを報告しました。
当日の様子は動画でご覧いただけますので、ぜひご視聴ください。
■日本国内で子どもの権利が実現されるために
本キャンペーンは、2019年から2022年まで3年間実施され、子どもに関わる団体同士のネットワーク構築や政策提言、子どもの権利の啓発を中心として活動します。2019年はスタートの年として、まずはより多くの人に、子どもの権利条約とその意義について知ってもらい、さまざまな関係者・機関間の連携を強化していくことを目指しています。そして、子どもの権利委員会による勧告が実施されるよう、政府に働きかけていきます。
セーブ・ザ・チルドレンは、キャンペーンの実行委員会の一員としても、日本国内で子どもたちの権利が実現されるよう活動を行っていきます。
(報告:東京事務所 田代光恵)